壮一朗くんは聴覚が過敏で、外出が苦手です。
学校に行くため起きる時間になっても、なかなか布団から出られません。
向さんは壮一朗くんの心の葛藤を感じとり、無理に起こそうとはしません。
向仁子さん
「焦らない。
今は待てる時期なのでひたすら待つ。」
1時間後。
自ら起きて、制服に着替えることができました。
ところが、学校に着いてからも、なかなか車を降りようとしません。
そこでも向さんはじっと待ちます。
10分後、自分で車を降りて登校することができました。
壮一朗くんの意思を尊重することを大切にしている向さん。
そう考えるようになった、きっかけがありました。
壮一朗くんは2年ほど前まで、かんしゃくを起こして家の壁を蹴るなど、不安定な状態が続いていました。
いやがる学校行事に参加させるなど無理をさせた結果、行動はエスカレートしていきました。
家族の負担も重くなり、思いつめていった向さん。
そんな時、出会った専門家からアドバイスを受け、壮一朗くんの行動の裏にある気持ちをくみ取るようになったといいます。
向仁子さん
「行きたくないんだよという思いを伝えていたんだと思うんですね。
明確に何がいやなのかというのも、私の中で上手に理解できていなかった。
本人を苦しめる要因として、それを取り除けるものがあるならば、まずは取り除こう、その努力をしようと方向転換できた。」