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知事、鳥類保護を強く要求 米原・関ケ原境の風力発電計画 

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 米原市と岐阜県関ケ原町にまたがる山林で計画されている風力発電施設について、県は三十日、事業想定区域に国の天然記念物のイヌワシやクマタカの生息域が含まれることを踏まえ、「鳥類について重大な影響を回避、または十分に低減できない場合には、事業取りやめも含めた抜本的見直しを行うこと」などとする知事意見をまとめ、事業者側に送付した。

 鳥類への影響を調べる期間は、環境省の指針などを踏まえ「繁殖期を含む最低二年間は実施すること」とした。専門家でつくる県環境影響評価審査会は今月、米原市などの意見を踏まえて意見案を作成。知事に報告していた。

 知事意見は十四項目で構成され、事業全般の配慮事項のほか、水質や騒音、動物への配慮を求めた。このうち鳥類保護の項目では、案にはなかった「本事業の取りやめも含め」という強い表現が加えられた。三日月大造知事は同日の定例会見で、西日本に生息するイヌワシのつがいが二十組と少ないことを挙げ、「一羽でもバードストライク(風車への衝突)は避けるべきだ」と理由を述べた。

 風力発電施設は「ジャパン・リニューアブル・エナジー」(東京)が計画し、一帯の山林約百六十四ヘクタールに風車を最大七基建て、二万三千八百キロワットを発電する。施設は二〇二〇年度着工、二一年度運転開始の予定だが、事業の見直しを行った場合はスケジュールが遅れる可能性があるという。同社は知事意見について「内容を精査したい」とコメントした。

 計画は環境影響評価(アセスメント)の初期にあたる「環境配慮書」の段階で、事業者は今後、アセスメントの調査方法を記した「方法書」の策定手続きに入るかどうかを検討する。

◆知事の勇気感じた

 <事業中止を求め県などに意見書を提出していた日本イヌワシ研究会の須藤明子副会長の話> 審査会での発言がくみ取られた意見だ。知事という難しい立場でありながら、このような強い表現で意見を出してもらい、勇気を感じた。事業者には、引き続き現段階での中止を求めたい。

 (鈴木啓紀)

 

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