日曜ワイド「越後純情刑事 早乙女真子」[デ][解][字] 2018.01.28
おばあちゃんこんにちは。
あれまあ真子ちゃんねえ。
刑事になりたてのうちの新人。
一緒にあいさつ回りしてるの。
木下です。
何かありましたらすぐ連絡を。
はいどうも。
あっ…ちいとばかし待っててや。
あっなんも構わんで…。
いいから…!あっ…。
近藤大臣人気だなあ。
幹事長の候補にもなってるんすよね?
(シャッター音)何してるんすか?えっ?雲面白い形してない?
(シャッター音)ちょっとよくわかんないですけど…。
えっ?見ればわかるさあれほら。
真子ちゃん。
まだお昼食うてないろ?これ持っていきないね。
えっだってこの間も…。
いいんだすって。
いつも稲刈りも手伝うてもろてはかいったっすけ。
ありがとね。
新人さんもだ。
木下です。
ありがとうございます。
じゃあ頂きます。
頂きます。
う〜んおいしい!やっぱ新潟の米最高っすね!うん。
うん?あっ花沢さんこんにちは。
(花沢)あっこんにちは。
うーんかわいい。
今日も元気だね。
フフフ。
なんでアルパカがここにいるんですか?うん?ちょっと持ってて。
はあ〜。
今日もきれいだな弥彦山。
(カメラのシャッター音)ありがとうございました。
ごちそうさまでした。
(鬼平貫一)うん「makotonomakoto」…。
うん。
どこの誰だか知らねえがこいつ暇だな。
いいね!
(着信音)おう鬼平…。
爆弾!?はい。
犯人を名乗る人間から署に電話が…。
いいか一度しか言わないからよく聞け。
今日の午後1時アオーレ長岡を爆破する。
1時!?あと40分しかねえじゃねえか!なんでアルパカ?フフッいっぱい見てくれてる私の写真。
職務中っすよ先輩。
これも私の大事な情報網なの。
(着信音)げっ…。
(着信音)もしもし?あっあの今新人と一緒に…。
えっ?爆破予告!?持ってて!ちょっ…先輩?先輩!大変だ大変だ!急げ!周囲300メートルは立ち入り禁止だ。
規制線を張れ!額が額だけに…緊張しますね。
心配するな。
はい。
しかし10億か…。
(サイレン)なんだ?
(サイレン)何かあったんでしょうか?「長岡中央署の者です。
すぐに車を止めなさい!」おい!1時まであと15分だぞ。
県警本部の爆発物処理班は?まだです!くそっ!
(鬼平)早乙女!おめえ遅えって!すみません!あの…犯人の目的はなんなんですか?まだなんの要求もねえ!とにかく手分けして爆弾を見つけだせ!
(3人)はい!越後総合銀行の笹本です。
あの一体何が…?長岡市内で爆破予告がありこの輸送車にも爆弾が仕掛けられています!爆弾?あと3分…。
時間がねえ!退避しろ!全員退避!わし麻呂なかのんかわぐっちまりん…。
先輩何やってんすか?よいたんるんるんおぐりんあぶらげんしん小太郎ナッちゃんみしまる太くん…。
ぬいぐるみなんてどうだっていいすけ!急げ!退避だ!違う…。
この子だけ長岡のご当地キャラじゃない!
(真子の声)昨日買い物に来た時この子はいませんでした!買い物?おめえそんな時間いつあったんだ?この野郎!おめ…!早乙女勝手なまねすんなって!離れてください!危険です!急いで離れて!車から降りてください。
急いで!ああ待って。
キーを渡してください。
でも…!いいからよこせ!
(中村)何するんですか!あっ…。
大丈夫ですか?
(車のエンジン音)先輩!ちょっ…先輩!あと5秒!投げれ!あっ…。
うわっ!あっ…。
(爆発音)何?これ…。
くそ!犯人の野郎めなめくさって!…にしても先輩よく気づいたっすねあのクマ。
抜群の記憶力だな…。
(鬼平)何が記憶力だよ。
あいつは食いもんとか自分が興味あるものしか覚えねえ。
現におめえの名前も覚えてねえぞ。
まさか…。
だって自分赴任してもう1週間経つんすよ。
ああ〜よかった。
あっ…大丈夫だった?山下くん。
あっ俺木下っす…。
(鬼平)ハッ…。
(無線の受信音)俺も早乙女も無事だ。
…何?今度は10億円が盗まれた。
(鬼平)怪我人がいるのか?
(大友)犯人が輸送車のキーを奪う際に…。
救急車は要請済みです。
偽の刑事が10億円を…。
まるで昔あった3億円事件みたい。
(鬼平)余計な事は言うな。
何よオニカン。
オニカン?鬼平貫一略してオニカン。
ああ〜なるほど。
しかし爆弾と言われて信じるもんですか?
(江川)僕らが嘘ついてるって言うんですか!?よすんだ。
犯人の特徴で何か覚えてる事はありますか?それがとっさの事で…。
背格好や着ている服とメガネが同じだった事しか…。
おたくは?私も気が動転してしまって…。
大丈夫ですか?ああ…はい。
(携帯電話の着信音)もしもし早乙女…。
あっ伯父さん。
(早乙女実)真子。
長岡で爆弾騒ぎがあったらしいけど怪我とかしちゃいないだろうな?伯父さん心配してくれるのはありがたいけどいちいち電話してこないで。
何言ってんだよ?かわいい姪の心配して何が悪いんだよ!もういくつだと思ってんの?今仕事中だからまたね。
おい真子!真子…。
ああっちょっとこぼれますってこぼれますって!ちょっとこぼれちゃったんじゃないの?真っすぐ行ってくださいよ。
大丈夫かな?ああ…ほら!何?これ…。
だからほらそこ…。
そこ持って!両手ふさがってるから…。
置けばいいじゃん。
いや置きたいですけど…。
(横山和也)申し訳ないですがコーヒーはあとにしてもらえませんか?捜査がはかどるように心を込めて淹れたの。
ちょっとぐらい待ったって…。
(横山)確かにいい香りです。
淹れ方が上手なんですね。
なんだろう?この感じ。
(せき払い)何?見かけない顔だけど応援に来たの?
(鬼平)横山管理官!お待ちしておりました。
えっ?管理官?さっ中へどうぞ。
あなたのコーヒーあとで頂きます。
知的な感じの管理官っすね。
どこが?ただ気取ってるだけじゃない。
何が「あなたのコーヒーあとで頂きます」よ。
全然似てないっすよ先輩。
うるさい!なんなんですか?急に…。
あいつの特徴もう一つ教えてやる。
どうしようもなく一目惚れしやすい。
一目惚れ?えっまさか管理官に?それも態度が真逆になる。
面倒くさいこじらせ女子じゃないっすか。
どうぞ…。
(大友)現場には防犯カメラはなく目撃者もいません。
また犯人の2人組ですがいずれも区別がつかない変装をしており遺留品も残してはおりません。
現金輸送車のGPSは?奪ったと同時に破壊した模様で追尾は不可能です。
極めて計画的です。
この事件とアオーレ長岡の爆弾事件この2つは関連性があるものと思われます。
爆破予告は我々警察の目をアオーレ長岡へ向けさせるためだと?コーヒーを淹れるのが得意な君はどう思いますか?えっ?あっ…その…。
今日10億円が運ばれる事を犯人たちがなぜ知り得たか…。
おかしいですよねえ。
わかってるなら聞くなよ…。
管理官のおっしゃるとおりです。
本来なら10億円は越後総合銀行の送金システムで堂島建設の口座に振り込まれる予定でした。
しかし送金直前コンピューターの誤作動が発覚し急遽現金で運ばれる事になった。
そんな不測の事態にもかかわらず犯人は10億円の輸送ルートを把握し爆弾騒ぎを起こす陽動作戦まで行っています。
つまり10億の輸送を事前に知る事の出来る銀行か警備会社の内部に共犯者がいる可能性は高い。
おっしゃるとおりです。
(横山)現金輸送に携わった4人を中心に越後総合銀行とソリッド警備の人間を徹底的に洗ってください。
以上。
(一同)はい!先輩行きますよ。
んっ…わかってるよ!早く行きましょうよ。
もう…ちょっと待って。
君名前は?早乙女です…。
覚えておきましょう。
何よ偉そうに…。
でも覚えてもらえたじゃないですか。
まあねえ…。
えっ?おい!おめえたちに仕事だ。
事件発生後匿名で本部に届いたメールだ。
目撃情報や犯人に繋がるネタが含まれてるかもしれない。
しっかり精査しろ。
300以上あるからな。
いいな?しっかりな。
ちょっと…!もう〜オニカンめ!先輩と組んでるとこういう仕事しか回ってこないのかな…。
どういう意味?えっ?あっ…。
えっ?仕事しましょう。
仕事!「1億円って10キロあるそうです。
ですから10億円は100キロ」「絶対犯人はプロレスラーだと思います」マジ!?1億円って10キロもあるの?単純だなあ。
食いつかなくていいんですよこんなの。
「ササモトヨウヘイが怪しい」フフッ…これもイタズラよね。
クラスメートを面白半分に。
あり得ますね。
中2っすよきっと。
ササモトって…あの銀行の人と同じ名前だ。
えっ?あっ本当っすね。
何してるんすか?ん〜?聞き込み。
(岩瀬厚一郎)昨日送金システムの故障がわかったのは開店の30分前でした。
なので急遽10億円を堂島建設の新潟支社まで運ぶ事になったんです。
支店長の指示を受け私が取引のあるソリッド警備に現金輸送の依頼を致しました。
そうですか…。
しかし10億円もの現金をそう簡単に用意出来るもんですか?それは…。
それは来月現金で土地取引をなさるお客様がいらしたからです。
たまたま10億円があった?はい。
…なるほど。
10億を運べと言われたのは昨日の午前中でした。
確か10時過ぎに急に言われてドライバーの中村と私しか空いていなかったので輸送に当たりました。
10億円の輸送ルートを聞いたのはいつ?はっきりした事は…。
ただ銀行に着いて10億円を車に積んでからだと思います。
(中村の声)上司の大磯さんが会社から連絡を受けてたんで…。
(大友)嘘を言ってるようには思えませんね。
大磯をもう一度当たりましょうか。
(携帯電話の着信音)鬼平。
うん…。
うん?うん…。
わかった。
妙だなあ…妙!ソリッド警備で越後総合銀行の笹本の息子が臨時でアルバイトしてたらしい。
(大友)笹本って副支店長の?笹本の息子…。
それも一昨日でソリッド警備を辞めてる。
事件の前の日に?すぐに当たるぞ。
息子の住所を調べさせろ。
はい。
洋平…。
なんだ?突然…。
どういう事なんだ?10億だよ…。
あれって親父が…。
なんの話だ?とぼけんなよ!洋平お前何を…。
(ドアの開く音)笹本くん…。
どうした?
(笹本)あっ別に…。
あれは確か君の…。
あっ…。
何かあったのか?いえ…。
「長岡のダーツバーUP’sで見かけたよ」ここか。
だけど先輩そんな情報当てになるんすか?あっ…。
私ダーツ得意なんだよね。
ちょっと勝手に…。
ちょっと先輩!あっ…。
すみません手が滑っちゃって。
(机をたたく音)あっ…ごめんなさい。
あの…!笹本洋平って知ってる?ちょっと人を探してまして…。
ねえ?なんだ?この野郎…。
えっ…。
先輩ちょっ…!
(マスター)はいはいはい…!はい!ダーツやろう。
はい!ほい!ダーツ。
洋平なら今日はまだ来ちゃいないよ。
知ってるんですか?恐らく寺泊の魚市場だ。
仲間が働いてる。
ありがとうございます。
(呼び出し音)
(篠原)洋平またバイト辞めたって本当かよ?ああ…。
まあ警備なんて向いてないしな。
もうすぐ休憩だろ?飯おごってやるよ。
マジか!じゃあその辺で待ってて。
あっ…すみません。
笹本洋平って人知りませんか?長岡中央署の者です。
洋平なら…。
あっ!あっ!係長。
笹本洋平です。
(鬼平)急げ!おい…。
逃がすな!
(施錠音)
(大友)んっ!
(鬼平)クッソ!洋平が…?息子が事件に関わってるなんて…証拠はあるんですか?我々を振り切って逃走したまま行方がわからない。
それが何よりの証拠です。
下手に隠し立てするとあなたに容疑が及びかねませんよ。
私に…?何を言ってるんですか!笹本さん。
息子さんに10億円の輸送情報を漏らしたそういった事実は本当にないんですね?ありません!息子はおろか私は誰にも言っちゃいない…。
笹本洋平は工業高校出身なんすね。
…って事は時限爆弾だって作れるかも。
ホシの一人は笹本洋平で決まりじゃないっすかね?う〜ん。
でもこのメール一体誰が…。
10億円の分け前の事で仲間割れしたんすよきっと。
(横山)令状を取りました。
これから笹本洋平の実家とアパートの家宅捜索を行います。
2班に分かれる。
実家の捜索は…。
私も行きます!行かせてください。
(鳥のさえずり)笹本洋平の爆破予告及び強盗被疑事件の疑いにより捜索を開始します。
洋平が…?孫が一体何をしたと…。
(せき込み)大丈夫ですか?
(花江)…大丈夫だ。
笹本洋平の部屋を見せて頂けますか?高校の時におった部屋なら…。
(せき)
(柱時計の時報)あっ…お水持ってきますね。
はいどうぞ。
ありがとうね。
いいえ。
きれいな方ですね…。
亡うなった嫁の由紀子だ。
洋平さんのお母さん?んだ。
3年前病気で…。
そうですか…。
それじゃ今は笹本さんとお二人で?いいや洋平は出て行きよったが瞳が…。
ヒトミ?
(せき)
(足音)ちょっと…!鍵がかかった部屋からいきなりあの子が…。
(花江)洋平の妹の瞳だ。
妹さんがいたんですね。
あの子は確か高校生のはずですが学校には?そいが高校には入ったども行がねくなったがね。
(花江)元はと言やあ父ちゃんの明に刃向かったのが始まりさ。
明は仕事に明け暮れる毎日で…由紀子の病気にさえ気づかねかったんだ。
お母さん…。
お母さん…!
(瞳の泣き声)
(戸の開く音)今まで何を…?何度も電話したんだ!どうしても外せない会議だった。
(嗚咽)大丈夫か?瞳…。
触らないで!お母さんが死んだのはお父さんのせいよ!お袋は具合が悪いのをずっと我慢してた。
なんでかわかるか!?あんたの仕事の邪魔をしたくなかったからだ。
なのにあんたは…。
あんたがもっと早く病気に気づいてやっていれば手遅れにならずに済んだんだ!お袋を殺したのはあんただ。
許さない。
俺は絶対許さない…!
(花江)ほいで洋平は家を出て行きおった。
瞳にはおらの面倒ば見てくれやって。
おらの事由紀子ばようけ面倒見てくれよったあね。
ほいで余計に疲れがたまったんだわ。
なんも明だけのせいでないって。
おらさえこんげ体ばならんかったら…。
(せき)
(瞳)違う!お父さんのせいよ!お父さんがお母さんを殺したの!
(花江)瞳…。
(花江)悪いねえ見苦しいとこさを…。
いえ。
何も出ません。
そうですか。
瞳ちゃん今日はごめんね。
何か話したい事があったらいつでも連絡して。
(横山)笹本洋平のアパートから証拠が出たというのは本当ですか?
(鬼平)はい。
アパートの天井裏からこれらが。
(大友)設計図はアオーレ長岡で使用された時限爆弾のもので同じ部品同じ成分の火薬だと鑑識からの報告を受けたところです。
(鬼平)笹本洋平で決まりですよ管理官。
待ってください。
この設計図に書かれた数字なんですがさっき笹本洋平の部屋で見た数字と違う気がするんです。
マジ変な記憶力…。
爆弾を作ったのは笹本洋平じゃねえっていうのか?奴のアパートからこの設計図が見つかったんだぞ。
だからって…。
数学のノートは高校時代のものです。
漢字やひらがなもそうですが大人になるに従って数字の形も変わるかもしれませんよ。
ですよね。
どっちなんですか?
(携帯電話の着信音)
(笹本の声)「お前たちと母さんとで行った奥只見湖は良い思い出だった」「これから死ぬ許してくれ」こんばんは。
先輩今度は何を確かめようっていうんですか?すいません!これと同じように笹本洋平さんが日付を書いたものってありませんか?日付?待ってな。
こいつが洋平のだ。
数学のノートと同じだ。
大人になっても変わってない。
あの設計図の数字は笹本洋平のものじゃない。
確かに違うっすね。
あの…他の人のも見せてもらえませんか?いいけどここ半年ぐらいのもんしかないよ。
構いません。
すいません。
先輩何を…?笹本洋平のアパートに設計図を置けるとしたら友達の可能性が高いでしょ?もしかしたらここで知り合った人間の中にいるかもしれない。
そんなうまい事いくわけない…。
あった!えっ?先輩これ似てませんか?この数字。
あっ!本当だ。
やれば出来るじゃん!山下くん。
木下です。
あ…ちょっと待って。
これって…。
あっ…。
怪我したソリッド警備の中村?あっあの…彼ここの常連なんですか?ああ。
洋平に警備員のバイトを紹介したのもその中村だよ。
(携帯電話の着信音)もしもし。
瞳ちゃん?父からメールが…。
私どうしていいかわからなくて…。
今からすぐ行く。
待ってて。
あっ山下くんこれを鑑識に。
筆跡鑑定してもらって。
木下だってば…。
わかりました。
(携帯電話の着信音)真子か。
伯父さんにお願いがあるの。
新潟県警に言ってすぐに越後総合銀行の笹本明って人を捜させて。
笹本さんが自殺するかもしれないの。
詳しい事はあとで話すから急いで!真子…もう手遅れだ。
えっ?たった今長岡市内で飛び降り自殺があったと報告があった。
(カメラのシャッター音)自殺…。
「間違いない」10億円強盗事件に関しては新潟県警に逐一報告をくれるよう頼んでおいたんだ。
(泣き声)お父さん…。
お父さん…!瞳ちゃん…。
お父さん…。
(岩瀬)笹本が思い詰めていたのは事実です。
10億を奪われた揚げ句子供に容疑が掛かったんですから当然といえば当然ですよ。
自殺は我々のせいだとでも?そうは言ってません。
笹本は責任感のある男だったと言ってるんです。
せっかく汚名返上して副支店長にまでなったのに…。
汚名返上というと?もう4年前になりますが彼が率先して行っていた融資先が倒産しましてね。
8億の焦げ付きが生じました。
以来それまで以上に必死に仕事して信頼を取り戻してきたんですよ。
今回の事でその努力が無駄になると思ったのも自殺の一因かもしれません。
4年前の仕事のつまずきがあったから笹本さんは家庭を顧みずに仕事をしていたんですね。
とにかく笹本洋平を捕まえねえと埒が明かねえな。
いったん捜査本部に戻るぞ。
あっ私これから瞳ちゃんのところに。
おめえ捜査する気ねえのか?違います!寄り添うのも私たちの仕事だと思うんです。
勝手にしろ。
あっ…。
まーた怒らせちゃったオニカン。
管理官?
(鳥のさえずり)瞳ちゃん。
きっとここだろうっておばあちゃんが教えてくれたんだ。
ここ祖父の田んぼだったんです。
おじいちゃんの?兄がよく連れてきてくれました。
おじいちゃん体を壊して泣く泣くこの田んぼを手放したんだそうです。
だから兄はいつかここを買い戻しておじいちゃんみたいにおいしいお米を作るのが夢だって話してました。
そうだったんだ。
お父さんは兄を自分のように安定した仕事に就かせようとしてたんです。
でも兄はお父さんみたいに会社に縛られたくなかったんだと思います。
私と同じ。
洋平さん。
私も決められた道を歩くのが嫌で死んだお母さんのふるさとに来たの。
そうしたらここを離れられなくなっちゃった。
お母さん病気で?ううん事故よ。
両親とも。
お父さんも…。
うん。
…なんてかっこつけて言ってるけど口うるさい伯父さんがいてね。
その伯父さんから逃げてきたの。
フフッ…。
あの…見てほしいものがあるんです。
お父さんから来たメールなんだか変なんです。
変?
(瞳)みんなで行った思い出の場所が違うんです。
お母さんが死ぬ前に行った最後のドライブでした。
(瞳の声)そこって奥只見湖じゃなく柳市池だったんです。
(カメラのシャッター音)それをお父さんが間違えるなんて…。
(携帯電話の着信音)ん?新潟県警の本部長は同期なんだ。
それで今度の事で話を聞きに来たんだが余計な昔話までして昼飯食いそびれた。
おかげで腹がペコペコだ。
だからってこんなにいっぱい…。
ねっ?変でしょこの伯父さん。
変ってなんだよ。
新潟にはおいしいものがたっくさんあるだろ。
だから…。
ありがとうございます。
私のために…。
うん。
他人行儀はなしだ。
でメールの変な点っていうのはなんなの?これなんだけど…。
思い出の場所が違うらしいの。
君の記憶違いって事は?いいえ。
お父さんも間違えるはずありません。
伯父さん誰かが笹本さんになりすましてメールを出したとは考えられない?それで地名を間違えたっていうのか?うん。
そしてメールを送ってそのあと…。
しかし新潟県警によると笹本さんが亡くなった現場に不審な点はなかったと…。
そっか…。
だが気になる事はある。
10億円を運んだソリッド警備は国交大臣の弟が経営する会社だ。
ん?それが?相変わらずお前って奴は…。
国交大臣の近藤朝子はこの新潟県選出の代議士だ。
ああ…あの人か。
あっ…。
近藤大臣人気だなあ。
幹事長になるかもしれないっていう…。
うん。
その近藤大臣にはいろいろと黒い噂がある。
まさか今回の事件にも関係してるって事?そこまでは言ってない。
だが捜査をする中で近藤大臣にぶち当たったらすぐに俺に連絡しろ。
相手は現職の大臣だ。
お前なんか簡単に潰される。
「お前なんか」?わかりました。
伯父さんの出世には響かないように注意します。
俺の出世なんか関係ないんだよ!俺はお前の母親と約束したんだ。
きっと真子を立派な人間に育てるって!うんはいはい。
それ1億回は聞いてる。
1億…。
俺は真剣に…!
(携帯電話の着信音)はい早乙女。
先輩ビンゴっすよ。
筆跡鑑定の結果爆弾の設計図の数字とソリッド警備の中村が写真に書いてた数字同一人物の可能性が非常に高いそうっす。
ありがとう。
あっ伯父さん食事が済んだら瞳ちゃんを家まで送ってあげて。
何!?ごめんねまたね。
おい真子!お前ごちそうこんなにいっぱい頼んだのにどうするんだよお前…。
食べようか…。
はい。
中村さん。
先輩!おおっ…。
あれ?中村は?中村いません!おかしいっすね。
あっあっ…ああーっ!先輩!あそこ…。
誰がこんな…。
管理官…。
筆跡鑑定の結果を知って来たんですが…。
(鬼平)病院及び周辺の防犯カメラを調べた結果笹本洋平が確認出来ました。
(横山)爆弾の設計図が殺害された中村克己が作ったものと判明した今10億円強盗事件とアオーレ長岡の爆破事件は笹本洋平と中村克己の計画によって起こされ10億円を輸送車ごと奪った実行犯の2人は彼らの仲間であると思われます。
中村が実行犯に殴られたのは疑いを向けられないための偽装工作と見て間違いないでしょう。
はい。
そして中村克己が殺害された理由ですが笹本洋平による口封じだと考えるのが自然です。
(鬼平)おっしゃるとおりです。
(横山)逃亡に備え緊急配備を本部に要請し駅や空港埠頭に捜査員を配置します。
以上。
(捜査員たち)はい!
(鬼平)よし行くぞ!
(大友)はい。
どうしました?私がもっと早く行っていれば笹本洋平に罪を重ねさせずに済み中村の命も救えたかもしれません…。
この仕事をしていると後悔する事はあります。
我々は万能ではありませんよ。
(コーヒーを淹れる音)君が淹れたコーヒーのファンになりました。
どうもです…。
君はどうして刑事に?特に志があったわけじゃ…。
事故で両親を失って母の兄である伯父に育てられました。
伯父には感謝していますが伯父の言うような生き方私には出来なくて…。
それってどんな?結婚です。
口を開けば結婚結婚って本当にうるさくって。
伯父の勧めで何回お見合いしたかわかりません。
だけど私は…私なりに人のためになる仕事がしたかったんです。
それで刑事に…。
でもなぜ長岡で?出身は東京でしょう?長岡は母のふるさとなんです。
母が生まれ育ったところで仕事がしたくて。
これ…。
(横山)へえ〜。
いい写真ばかりですね。
ありがとうございます。
温かい人たちと豊かな自然がなかったら私今頃どうなっていたかわかりません。
だったら恩返しをしなきゃいけませんね。
お母さんやあなたにとってのふるさとで起きた犯罪と向き合う。
それがあなたの役目です。
はい。
私恩返しします!うん。
じゃあいってきます!はい。
あっ…ごちそうさまでした。
(くしゃみ)びっくりした!何してるの?何って…先輩を待ってたんじゃないですか。
あっごめん…。
管理官と話してて。
管理官と?あの人不思議っすよね。
どうして?だって中村の筆跡鑑定の結果俺先輩にしか話してないんすよ。
(木下の声)でも管理官病院に駆けつけたでしょ。
筆跡鑑定の結果を知って来たんですが…。
なんか都合いいっていうかなんていうか…。
痛っ…。
管理官の悪口言うんじゃないの!新人のくせに。
行くよ!
(携帯電話の着信音)もしもし。
(本間清)すいません。
はい。
(本間)失礼ですが…。
仕事で来てるんです。
(近藤朝子)どうしたの?近藤大臣っすよ。
(本間)長岡中央署の人間のようです。
あの…確かこのソリッド警備は大臣の弟さんの会社でしたね。
それが?10億円強盗事件の捜査をしているんです。
今日はどんなご用で?あなたの相手をしてる暇はないの。
なんか感じ悪いっすね。
(遠山雅子)お疲れさまです。
おはようございます。
大変ですね毎日。
(雅子)大変やけど仕事やから。
プロだなあ。
あの…会社の車って帰ってきた時は全部ここでチェックするんですか?そう。
車の整備があるしガソリンも入れなあかんでしょ。
出発前もやけどね。
出発前も?はあ〜やっぱり大変だな。
ちなみに10月23日にも当然…。
ああ〜!あの事件があった日は急に10億円の輸送が決まったから大忙し!輸送車は全部他の仕事で使われとったから予備の車を使うたんよ。
予備の車?
(雅子)そう。
それって日報ですか?ああそうや。
よかったら見せてもらえませんか?
(鬼平)殺害された中村が事件の前日する必要のねえ輸送車の整備をしてガソリンを入れてたっていうのか?はい。
奪われた輸送車は本来予備の車で翌日使用される予定はなかったにもかかわらずです。
…って事は前の日から10億が輸送車で運ばれるって事を中村が知ってたって事に…。
変っすよね。
10億円は銀行の送金システムが故障したから現金輸送に切り替わったんすよ。
それも現金の輸送が決まったのは事件当日の午前中。
なのに前の日から輸送の準備がされていた…。
あっ管理官。
今ソリッド警備の輸送車についてオニカンに報告を。
オニカン?その件で今ソリッド警備から連絡がありました。
あなたが聞いた話は配車係の勘違いだったという事です。
事件前日に給油された事実はないそうですよ。
でも日報には…。
それからソリッド警備ですが今後捜査をする場合私に断って行ってください。
もし無断で捜査をした場合処分の対象とさせてもらいます。
処分…?鬼平警部補もよろしくお願いします。
ああはい。
どうして?急に…。
勘違いって…。
おめえ今度から裏を取ってから報告しろ。
それから俺の事をオニカンなんて呼ぶな。
略すな。
なんかにおわないっすか?ん?横山管理官っすよ。
もしかしたら県警の上層部や管理官に圧力があったのかも。
圧力…?まさかソリッド警備から?ソリッド警備が国交大臣の弟の会社って先輩言ってたっすよね。
なんか裏がありそうっすよ。
(大友)早乙女。
面会だ。
瞳ちゃん…。
えっ?お兄さんから電話が?
(瞳)はい。
公衆電話から…。
お兄さんは何を…?新潟で犯人を見つけるって…それだけ言ってすぐに電話を切りました。
新潟…?兄は捕まるんでしょうか?お兄ちゃんは人を殺してなんかいません!とにかく新潟に行こう。
お兄さんと話がしたい。
き…君は笹本くんの…。
親父を殺したのは誰だ?…何を言ってるんだ。
笹本くんは自殺したんだ。
違う!親父を殺したのは誰なんだ!だ…誰か…。
誰か…!ああ…。
(警備員)何をしてるんだ!
(洋平)くそっ!はあはあ…。
大丈夫ですか?すぐに警察を。
いやその必要はない。
ただのチンピラだ。
はあ…。
(警笛)来たのはいいけどどうやって見つけたら…。
(朝子)「私子供が大好きなんですよ」「だから近く長岡で開催されるこども作文コンクールの審査委員長を引き受けました」「子供の純粋な心を政治は忘れてはならない」「常々そう思ってるんです」
(洋平の声)10億だよ…。
あれって親父が…。
これに全てが…。
預かっていてくれ。
ただし警察は信用するな。
(携帯電話の着信音)兄からです。
えっ?もしもしお兄ちゃん。
今どこ?私も新潟に来てるんだよ。
来てくれたのか…。
長く話せない。
だからよく聞いてくれ。
今夜9時新潟港の汽船ターミナルに来るんだ。
わかった。
必ず行く。
気をつけてな。
お兄ちゃん…。
お兄さんはなんて…?
(汽笛)
(洋平)瞳。
お兄ちゃん!長岡中央署の者です。
(洋平)まさか…。
違う。
瞳ちゃんはずっとあなたを信じてる。
だったらなんで…!私は本当の事が知りたいだけ。
あなただって本当の事を話したいはずよ。
お願い。
あなたが知っている事を話して。
お兄ちゃんお願い!話して!…聞いたんだ。
病気のばあちゃんのお見舞いにこっそり実家に帰った時…。
(笹本)はい大丈夫です。
計画どおりに進んでいるとお伝えください。
明日10億は強盗されてそちらへ…。
私やソリッド警備の一部の人間以外この事を知る者はいません。
(洋平の声)半信半疑だった。
だからこの目で確かめようと思って…。
越後総合銀行の笹本です。
あの一体何が…?長岡市内で爆破予告がありこの輸送車にも爆弾が仕掛けられています!爆弾?離れてくだい!危険です!離れて急いで!車から降りてください!ああ待って。
キーを渡してください。
でも…!いいからよこせ!
(車のエンジン音)
(洋平の声)親父が話してたとおりの事が目の前で起きてた。
中村はわざと殴られたんだ。
なぜその事を警察に…。
まだ何かの間違いだと思ってた。
だから親父に確かめてから警察に行くつもりで…。
でも…。
親父は殺された。
殺されたってどうして?親父からメールが来たんだ。
お袋と最後に行った柳市池を親父が忘れるわけない。
親父は殺される事を知ってあのメールを送ったんだ。
私にも同じメールが…。
私もお父さんは殺されたんだって思ってる。
中村を殺したのも俺じゃない。
でもあなたは病院に…。
中村に白状させようと思った。
10億円の事件がでっちあげの事件だって…。
(洋平の声)だけど中村は病室にいなかった。
あっあっ…ああーっ!本当ね?今の話。
ああ…。
一緒に行こう。
正直に話せばわかってくれる。
…まだ駄目だ。
俺はこの手で親父の仇を取る。
何言ってるの?馬鹿なまねはやめて!親父から事件の証拠を預かった。
それを餌に親父を殺した奴を同じ目に遭わせてやるんだよ!事件の証拠を?だったらなおさら復讐なんて…。
その証拠を警察に渡せばあなたへの疑いは晴れる。
駄目だ!親父を殺された俺や瞳の気持ちもわからねえで適当な事言うな!…甘えないで。
お父さんは人として良心の呵責に苦しんであなたに証拠を渡したんだと思う。
父親として恥ずかしくないように生きようとして…。
そして事件の証拠と一緒に瞳ちゃんをあなたに託したの。
だからあなたがすべき事は瞳ちゃんを守ってあげる事。
仕事に没頭したお父さんはあなたたちにとって理想の父親とはかけ離れたものだったかもしれない。
でもそれは仕事の失敗で失った信頼を懸命に取り戻そうとしていたから…。
だから毎日毎日必死に働いて…。
不器用だけどそれがお父さんなりの家族への愛情だった。
どうかそれをわかってあげて。
でも親父は…。
そうどんな理由かはわからないけどお父さんは利用されて殺された…。
でも考えて。
その悔しさは復讐なんかじゃ消えないと思う。
事件の真相を明かしてこそお父さんの悔しさは晴れるのよ。
お願い私と一緒に…。
…俺には出来ない。
洋平さん…。
俺に…俺に親父は言ったんだ。
警察は信用するなって。
瞳きっと俺は帰って来る。
(瞳)お兄ちゃん!待って!
(瞳)待って!あっ…。
瞳ちゃん!お兄ちゃん…。
約束する。
お兄さんは必ず守る。
(携帯電話の着信音)真子か。
何?圧力が…?多分県警や署の上層部に。
大臣の近藤朝子の事もっと知りたいの。
う〜ん…だがな真子。
お前下手すると警察官でいられなくなるかもしれないぞ。
平気よ。
それで真実がわかるなら…。
頑固なとこは母親そっくりだな。
(鬼平)笹本洋平と会っただと!?報告せず申し訳ありません。
でも会ってみてはっきりわかったんです。
彼は一連の事件の犯人じゃありません。
彼が逃亡しているのは10億円を奪い父親を殺した犯人を突き止めるためなんです。
だからって逃がしたわけじゃないっすよね?そんな事するように見える?そんなに胸を張られても…。
わかりました。
本来ならただちに捜査を外れてもらうところですが笹本洋平がまだ新潟にとどまっているとわかったのは朗報です。
県警に連絡し今すぐ新潟市内の緊急配備を要請します。
待ってください!2度目はありません。
いいですね?おめえこのままじゃ処分の対象だぞ。
なんでそこまでして…。
話があります。
ああうめえな。
うまっ。
笹本洋平は父親から事件の証拠を預かったと言っていました。
もしそれが事実なら越後総合銀行は被害者じゃないかもしれません。
何?銀行ぐるみの犯行だって言うんすか?そう。
笹本さんは4年前に融資の失敗をして多額の損失を銀行にもたらした。
そのつまずきもあって上から強要され強盗事件に加担せざるを得なくなった。
そう思えてならないの。
それで最後は口を封じられて…?はい。
犯行の首謀者たちは洋平さんに容疑がかかった事で父親である笹本さんの自首を恐れたのかもしれません。
だとしたらソリッド警備の中村も口封じか?恐らく。
事件に加担しているのは銀行だけじゃないと思うんです。
10億円が運ばれる予定だった堂島建設や10億円の輸送をしたソリッド警備も。
だからソリッド警備が近藤大臣を通して県警や横山管理官に圧力をかけて事件をうやむやにしようと?そうよ。
国交大臣が?まさか10億円は近藤への闇献金?だとしたら強盗事件という名で偽装工作をして10億はマネーロンダリングされて近藤の派閥の懐に…。
さすがオニカン!だからおめえ略すな!せめてさん付けしろ。
オニカンさん!ああ…すいません。
(携帯電話の着信音)瞳ちゃん…。
もしもし。
あっ…瞳ちゃん!おばあちゃんに付き添って病院に行ったの。
そして家に帰ったら家中荒らされてて…。
(花江)盗まれたものはなんもねえのさ。
ただの泥棒じゃねえと思って余計おっかなくなって…。
もしかすると兄が言ってた証拠を探しに…!おめえもしかしたらつけられて…笹本洋平と会ってた事が犯人に…。
じゃねえと笹本洋平が証拠つかんでるってわかるわけねえだろうが。
確かにオニカンさんの言うとおりっすよ。
お前まで…略すな!一体誰が…。
近藤先生。
警察庁刑事局長の早乙女と申します。
先生のおひざ元で起きた10億円強盗事件の件でお伺い致しました。
あなたの事は耳にした事があるわ。
かなりのやり手だそうね。
でも時間がないの。
よければ車で。
確かにソリッド警備は弟の会社です。
信用はお金では買えない。
輸送車ごと奪われた失態は当分の間払拭出来ないでしょうね。
だけどその件と私になんの関係が?実は妙な噂を耳にしましてね。
奪われた10億円は先生への裏金ではと…。
(笑い声)ネットの住民が好みそうな話。
ですが火のないところに煙は立たないと…。
そういう話でしたらここまで。
止めて。
あなたの立場であまりふざけた事を言うとのちのち後悔しますよ。
車にはドライブレコーダーというものがあります。
…なるほど。
お邪魔しました。
またお会い出来るのを楽しみにしています。
あなたも元気で。
(操作音)自分の部屋だと思って使うといい。
ありがとう。
おばあちゃんは病院のほうに。
ああ。
真子の汚い部屋よりは安心だな。
えっ?どうした?いつもだったらここで噛みつくところだろう。
いや…感謝してるの。
なんだかんだ言って頼れるのは伯父さんだけだって。
フフフ…。
(せき払い)それで捜査本部に犯人の仲間がいるっていうのは本当か?もしかすると管理官が…。
横山か。
(真子の声)私がソリッド警備の中村克己の死体を見つけた時彼はすぐに駆けつけた。
その中村の筆跡鑑定の結果も彼は誰よりも早く知っていたし何よりアパートに爆弾の設計図や部品を置けるのも横山管理官が人を使って裏で動いていたとしたら…。
(実の声)笹本洋平を罠にはめるためにか?
(真子の声)設計図の数字が笹本洋平じゃなく中村のものだってわかったから横山管理官に命じられた誰かが中村の口を封じて瞳ちゃんのお父さんも…。
新潟に行った私が尾行されていたとすれば洋平さんが証拠を握っている話が聞かれていても不思議じゃない。
だが今のは全部お前の推論だろう。
いやそうだけど…。
(携帯電話の着信音)もしもし。
ああ山下くん?木下です。
そんな事より先輩長岡駅に配備された顔認証システムに笹本洋平が引っかかったんすよ。
長岡駅?わかった。
すぐ行く。
兄のいる場所が?約束は守る。
信じて。
心配いらないよ。
入り口のカメラに映ってたんでこっち見てみましょう。
うん。
(携帯電話の着信音)お兄ちゃん。
(洋平)瞳。
あっ…。
これはお前が持っててくれ。
おじいちゃんの…?でもどうして?いいか?瞳。
お前の人生はお前だけのものだ。
自分の道を歩くんだ。
きっとまた会える。
あっお兄ちゃん…!ここにいたのか。
捜したんだよ。
お兄さん来たの?
(笑い声)飲ませすぎなんだよお前…。
(スタンガンの音)
(携帯電話の着信音)もしもし。
…えっ!?ちょっと…どうしたんですか?先輩!?笹本洋平がこれを預けていったそうだ。
本来なら瞳ちゃんのお父さんが持っているはずのおじいさんの形見だそうだ。
ねっ。
笹本さんから預かった証拠ってもしかして…。
俺も調べてみたが何もない。
捜査本部に知らせて笹本洋平の保護をすべきだ。
だけど横山管理官が犯人の仲間だったら中村のように…。
それはお前の推論にすぎない。
いいか?真子。
笹本洋平の身の安全を第一に考えろ。
俺が県警にかけ合ってもいい。
(携帯電話の着信音)お兄ちゃん!私が説得してみる。
(携帯電話の着信音)もしもし。
(ボイスチェンジャーの声)「あいにくだが笹本洋平は電話に出られない」誰?
(ボイスチェンジャーの声)「誰だろうが関係ない」「笹本洋平から預かったものを渡せ」「さもないと奴の命はない」駄目だ瞳。
俺はどうなってもいい。
絶対に渡すんじゃない!お兄ちゃん!
(ボイスチェンジャーの声)「いいか?」「一度しか言わないからよく聞け」「今日の午後10時長岡市営スキー場に笹本洋平から預かったものを持ってこい」「ただし来るのは妹1人だ」「約束を守らなければ笹本洋平は死ぬ」
(洋平)駄目だ!絶対に来るんじゃない!瞳!おい!
(電話が切れる音)お兄ちゃん…お兄ちゃん!瞳ちゃん待って!離して!お兄ちゃんが殺される!落ち着いて!離して!うっ…。
これって…10億円が輸送されるルートよ。
見てみろ真子。
この地図が作られた日付は事件の1週間前だ。
10億円の現金が運ばれるのが1週間前に決められていたっていう動かぬ証拠ね。
送金システムの故障も計画の内だ。
全ては仕組まれたものだったんだ。
あっ…。
(爆発音)
(刑事)長岡市内で爆破予告がありこの輸送車にも爆弾が仕掛けられています!爆弾?
(刑事)危険です!急いで離れて!ああ待って。
キーを渡してください。
でも…!いいからよこせ!あっ…。
大丈夫ですか?
(車のエンジン音)爆破予告の段取りもメールでやり取りしてる。
これではっきりしたぞ。
笹本明は計画に加担したものの罪の呵責で心が揺らいだ。
だから証拠をSDカードに入れて息子笹本洋平に渡した。
(笹本)これに全てが…。
預かっていてくれ。
だがその事を犯人が察知した。
そして…。
(カメラのシャッター音)まさか…兄もお父さんみたいに…?大丈夫。
お兄さんは必ず助ける。
新潟県警に連絡してくる。
うん。
あっ…瞳ちゃん!早乙女だ。
至急本部長に繋いでくれ。
(瞳)お兄ちゃんはどこ!?
(柴山和宏)ご対面!
(洋平)瞳!ハハハハッ!お兄ちゃん!
(柴山)お土産はあるんだろうな?サンキュー。
待ちなさい!お前警察に言いやがったな!洋平さんは私が…!瞳ちゃんは逃げて!早く!管理官…。
(柴山)なんだお前は!?えっ…?突入!
(柴山)離せ!なんだよ!なんだよ!おとなしくしろ!
(瞳)お兄ちゃん!大丈夫だったか?
(瞳)うん…。
何?この展開…。
勘違いだったんすよ。
横山管理官が中村の筆跡鑑定の結果を誰よりも早く知ってたのは単に鑑識が一番最初に報告したからだったんです。
だって私に圧力を…。
それは犯人に悟られねえようにおめえを守るためだったんだ。
えっ?それだけじゃねえ管理官はおめえに知られねえように尾行までされてたんだ。
それも私を守るため?
(鬼平)ああ。
何も言わずにすみませんでした。
あなたには気づかれるなという命令だったので。
命令?あっ…。
誰なんすか?警察庁の早乙女刑事局長だ。
刑事局長…。
早乙女…?ご苦労だったな。
あとは黒幕をあぶり出すだけだ。
(司会)「この度近藤朝子国交大臣を審査委員長にお迎えした長岡こども作文コンクール」「テーマは“おいしいお米”」「多くの応募があった作文の中からいよいよ最優秀賞を始め各賞が決定します」「まず審査委員長近藤朝子大臣よりごあいさつを承ります」「大臣よろしくお願い致します」
(拍手)えっ?やっ…!
(本間)ちょっと!先生…!
(施錠音)おい!
(ドアをたたく音)
(本間)先生!鍵…鍵だ!
(朝子)なんのまね?そこを開けなさい!だったらなんとかしてください!警察がうちの銀行に…!話が違うじゃありませんか!絶対大丈夫だって言うから引き受けたんですよ!一体なんの話?冗談じゃない!若い連中を雇い10億円強盗の実行犯に仕立て上げろと命じたのはあなただ!私は忠実にあなたに従ったまでです。
あの笹本や中村も邪魔になれば消せとあなたが言ったから…。
自首?馬鹿な事を言うな。
しかし洋平が…息子がこのままでは犯人に…。
それがどうしたというんだ。
君の息子ごときのために近藤大臣に被害が及ぶほうが問題じゃないか。
そんな…!君自身のためでもあるんだ。
どうせ君の家庭はめちゃくちゃなんだろ?馬鹿な考えは捨てろ。
出来ません…。
洋平はかけがえのない息子です。
このままじゃ死んだ妻に顔向け出来ない!
(ため息)だったら仕方ないな。
えっ?
(笹本)なんだ?なんだ…!?どこに行ったんだ?奥只見湖です…。
ああっ…。
うわーっ!
(衝撃音)
(中村)なんなんですか?話って。
事件が落ち着くまで会わないって言ったのあんたじゃないですか。
いろいろ事情が変わったんだ。
ちょっと…ちょっと…!
(刺す音)あっ…。
私はあなたが本店に上がらせてやると言うから言うとおりにしたんだ!結局はあなたとあなたに便宜を図ってもらうために10億を用意した堂島建設が得をしたって事ですか!?馬鹿なまねはやめなさい!あなたが銀行で使い込んだお金を立て替えてやったのは誰?泣いてすがってなんでもすると言ったのはあなたじゃないの!そんな事はもうどうだっていい!殺してやる…。
お前を殺して俺も死ぬ!
(朝子)やめなさい岩瀬!あなたは…。
ご安心を。
彼は確保しました。
このナイフで中村を…。
あの病院の警備もソリッド警備が請け負ってたな。
お前が映った防犯カメラの映像だけ削除したってわけか。
ご苦労さま。
先生岩瀬は洗いざらいあなたの事も話すでしょうね。
あんな男の言う事なんか信じるに値しないわよ。
そうでしょうか?部下にはきちんと言葉遣いを教えなさい。
あいにく直属の部下ではないので先生の意に沿えません。
長岡市営スキー場の駐車場からゆうべ奪われたソリッド警備の現金輸送車が見つかりました。
調べたらあのスキー場はあなたの弟の名義でした。
あなたのように有名な政治家の弟さんの土地ですからはなっから捜査対象にならなかったんですね。
だから隠しておく事が出来た。
ずるくないですか?長岡中央署の刑事だったわね?あなたのところの署長とは懇意の仲よ。
その口を黙らせてやってもいいんだけど。
フフッ…怖いなあ。
でも私その手の脅しには強いんです。
「どう?計画は順調にいってる?」「はい。
うちの送金システムが不備を起こし10億は現金で堂島建設に輸送される手はずに」「フッ…しかし…」「途中で強盗され先生のお手元に届く事になります」殺害された笹本明の車に搭載されていたドライブレコーダーに録画されていたものです。
笹本明は4年前融資に失敗し多額の損失を銀行に与えた。
だから断りきれずやむなく計画に参加させられていたのでしょう。
これがなんの証拠になるっていうの?ただの戯言じゃない!だったら…。
これは?先生のご主人及び2人のお子様の口座を調べさせて頂きました。
事件翌日から3日間それぞれの口座に1億ずつ入金を確認しました。
そして先生の口座にも1億。
びた一文派閥の金庫にはおさまってはいません。
つまりあなたは派閥への闇献金だと見せかけ10億ものポケットマネーを得ていた。
捜査本部の捜査とは別に彼には先生の内偵をさせていたんですよ。
闇献金も最低だけど自分や家族のお小遣いに10億円なんてもっと最低ですよね。
黙りなさい!あなたの首ぐらいねすぐに飛ばす事出来るのよ!そんな大声出しちゃっていいんですか?先生の声ずーっと筒抜けですよ。
えっ…?
(朝子)「なんですって?そんな…」
(人々のざわめき)いやっ…!ああっ!笹本明の車のドライブレコーダーは彼が息子に託した証拠共々新潟県警本部捜査二課に渡してあります。
先生も注意なさればよかったんですよ。
火のないところに煙は立たないとご忠告申し上げたはずですよ。
(記者)国交大臣本当なんでしょうか!?堂島建設との事は本当ですか?国交大臣教えて頂けませんでしょうか?どうでしょうか?国交大臣教えてください!終わりましたね。
ああ。
ご苦労だったな。
どうだ?一緒に飯でも。
ああせっかくだけどこれから瞳ちゃんと洋平さんに会うんだ。
お父さんが2人に託したかったもう一つのものがわかったの。
もう一つのもの?フフッ…。
またね伯父さん。
気をつけて帰ってね。
あっさりしてるとこもあいつの母親そっくりだ。
自分も一緒に。
お食事は県警本部長も交えまたの機会に。
おう…。
(瞳)真子さん!改めて見ると広いなあ。
これが全部洋平くんのものになるんすか?
(鬼平)親父さんがひそかに田んぼを買い戻してたんだ。
笹本さんここで瞳ちゃんも一緒に働く姿を見るのが夢だって親しかった農家の人に話していたそうよ。
お父さんこうも話してたって。
「洋平の人生は洋平だけのものだ」。
「だから悔いのないように生きてほしい」って。
そして瞳ちゃんはお母さんのように優しい人に育ってくれたって嬉しそうに笑ってたって。
不器用だけどお父さん2人を愛してたのよ。
ありがとうお父さん。
ごめんよ親父…。
俺…きっとここで日本一うまい米を作る必ず。
(すすり泣き)これで泣かなかったら鬼だろ。
すみませんでした!管理官の事疑ったりして…。
いいえ。
私のほうこそ隠していて申し訳ない。
じゃあおあいこって事で。
(2人の笑い声)君のおいしいコーヒーが飲みたくなりました。
私の?駄目ですか?いやだ…駄目ってわけじゃ…。
別にどうしてもって言うんだったら構いませんけど。
じゃあどうしてもお願いします。
…わかりました何杯でも。
嬉しいなあ。
彼女にも教えてあげたいんですコーヒーの淹れ方。
彼女?
(横山)ええ。
来月結婚するんです。
結婚!?あいつの特徴がまだあった。
すぐ振られる。
すがすがしい振られ方ですね。
ハッ…アハハ!最高!おめでとうございます!いいな〜結婚!あの…結婚式には必ず呼んでくださいね。
お祝いにおいしいお米いっぱい持っていきますから!ありがとう。
ウフフはい。
先輩の特徴まだありますよ。
ん?すぐに立ち直る事。
だな。
おっこの景色も最高!あっちょっと!洋平さん瞳ちゃんそこに立って。
記念撮影!なんの記念かわからないけど。
あっもっと笑って笑って!はいチーズ!
(カメラのシャッター音)
(鬼平)おい早乙女!捜査行くぞ。
はい!2018/01/28(日) 10:00〜11:50
ABCテレビ1
日曜ワイド「越後純情刑事 早乙女真子」[デ][解][字]
比嘉愛未主演の新作が登場!新潟県長岡市を舞台に、ひたむきに捜査に取り組む“純情刑事”早乙女真子が、複雑に絡み合った2つの事件に翻弄されながら真相に迫る!
詳細情報
◇番組内容
長岡中央署刑事・早乙女真子(比嘉愛未)は中学生のときに両親を事故で失ってから、警察庁刑事局長の伯父・実(宇梶剛士)が親代わり。亡き母の故郷である長岡にやって来たのは、口うるさい実から逃げるためでもあった…。ある日、ショッピングモールに爆発物を仕掛けたという電話が署にかかってきた。
◇番組内容2
先輩刑事・鬼平貫一(近江谷太朗)から連絡を受け、後輩刑事の木下裕也(渋谷謙人)と共に現場に駆け付けた真子は、展示物に違和感を抱き、ぬいぐるみの一体に爆発物が仕込まれていることを見抜く。だが、爆発はとても小規模で、被害が出るようなものではなかった。
◇出演者
比嘉愛未、宇梶剛士、近江谷太朗、渋谷謙人、松田悟志、濱田和馬、伊藤貴璃、遠山俊也、仲野元子、朝加真由美
◇スタッフ
【脚本】吉本昌弘
【監督】坂本栄隆
◇おしらせ
☆番組HP
http://www.tv-asahi.co.jp/nwide/
ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)
映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
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