証券税制に関するQ&A

Q1 住民税の納税方法について(上場株式等譲渡益)

一般口座で上場株式等を譲渡し、年間を通して利益が出ました。所得税については翌年の確定申告で納税するということですが、住民税はいつ、どのように納めるのでしょうか。また、特定口座ではどのようになるのでしょうか。

A1

所得税の確定申告をしますと、確定申告書の写しが税務署から市区町村に送られ、市区町村はその書類に基づいて住民税額を計算します。その後、市区町村は納税者宛てに住民税額や納税期限を記載した「納税通知書」を送付しますので、その通知書に基づき納税するということになります。
納税方法は普通徴収方式特別徴収方式(給与所得者のみ)の2通りあります。

普通徴収
対象者・・・・「給与所得者以外の方」と、「給与所得者で普通徴収を選択した方」
納税方法・・・市区町村から直接納税者宛てに納税通知書が送付され、通常年4回(6月・8月・10月・翌年1月)に分けて納めます。一括納税も可能です。

特別徴収
対象者・・・・「給与所得者の方」
納税方法・・・市区町村から勤務先宛てに納税通知書が送付され、6月から翌年5月まで、12回に分けて給与天引きされます。

【一般口座・「源泉徴収なしの特定口座」で売却をした場合】
年間を通して利益が出た場合は、ご自身で確定申告をすることになりますので、確定申告書の普通徴収・特別徴収の選択の欄に記入をします。

住民税の納税方法のイメージ

【「源泉徴収ありの特定口座」で売却をした場合(確定申告をしない場合)】
証券会社が住民税分も源泉徴収しますので、選択いただくことはありません。

「上場株式等」とは

Q2 合計所得金額への影響

株式等の譲渡による所得や配当所得は、扶養控除や配偶者控除等の判定をする際の「合計所得金額」に含まれますか?

A2

株式等の譲渡所得等(上場株式等にかかる譲渡損失の繰越控除および特定株式にかかる譲渡損失の繰越控除の特例の適用前の金額)は、確定申告をした場合、「合計所得金額」に含まれます。したがって、扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除、寡婦(夫)控除、住宅借入金等を有する場合の税額控除、居住用財産の譲渡損失の繰越控除の特例等の適用を受けることができなくなる場合があります。「源泉徴収ありの特定口座」で申告をしなければ、合計所得金額に含めなくてよいことになります。
また、株式の配当金や公募株式投資信託の収益分配金を申告した場合も、申告した収益分配金は、合計所得金額に加算されます(譲渡損失と損益通算した場合は、通算後の金額が加算されます)。

なお、平成28年以後は、公社債等の譲渡所得等や、公社債の利子・公募公社債投資信託の分配金を確定申告した場合も「合計所得金額」に含まれます。

金融所得課税の一体化

確定申告による影響

Q3 専業主婦と確定申告

私は専業主婦です。株式の譲渡益や配当等を申告することによって、税金はどのようになりますか?

A3

上場株式等の配当等や、「源泉徴収ありの特定口座」で生じた譲渡益については、確定申告の必要はありません。もっとも、専業主婦の方で他に所得がない場合には、確定申告をすると、配当等や譲渡益から基礎控除などの所得控除を差引いて税額が計算されますので、源泉徴収された所得税および住民税の還付を受けることができます。
ただし、専業主婦の方が申告する配当等や譲渡益の合計額が38万円を超えますと、ご主人の税額の計算上、配偶者控除の適用がなくなってしまうため、ご主人の税負担が増加することになります。
専業主婦の方が、上場株式等の配当等や、「源泉徴収ありの特定口座」で生じた譲渡益を申告するかどうかは、次の(1)と(2)の税負担を比較した上で判断する必要があります。

  • (1)源泉徴収された税額
  • (2)確定申告をすることにより、専業主婦の方が還付を受ける所得税額と、ご主人が改めて納付することになる税額との差額

なお、「源泉徴収なしの特定口座」や一般口座の場合には、株式譲渡益が基礎控除などの所得控除の合計を超えると確定申告が必要になります。この場合も合計所得金額が38万円を超えると、専業主婦のご主人は配偶者控除の適用がないことになります。

【所得税における配偶者控除・配偶者特別控除の概要表】

所得税における配偶者控除・配偶者特別控除の概要表

横軸は、配偶者の合計所得金額です。縦軸は、本人の控除額です。配偶者控除額は、配偶者の合計所得金額が38万円以下の場合、すべて38万円です。

配偶者の合計所得金額が38万円を超えますと、配偶者控除の適用はなくなりますが、条件を満たしていれば配偶者特別控除が適用されます。この場合は、配偶者の合計所得金額が増えるにしたがって、配偶者特別控除額が減っていきます(配偶者控除と配偶者特別控除はいずれか一方のみの適用となります)。

なお、パート収入がある方は、パート収入から給与所得控除65万円(給与収入162.5万円以下の場合はこの金額となります)を差し引いた金額を横軸の配偶者の合計所得金額に加算します。

下の表は、配偶者控除・配偶者特別控除の金額を詳細に示しました控除額早見表です。ご参照ください。

【配偶者控除・配偶者特別控除額早見表】

配偶者の合計所得金額
(円)
所得税(万円) 住民税(万円)
配偶者
控除
配偶者
特別控除
合計 配偶者
控除
配偶者
特別控除
合計
0~380,000 38 0 38 33 0 33
380,001~399,999 0 38 38 0 33 33
400,000~449,999 0 36 36 0 33 33
450,000~499,999 0 31 31 0 31 31
500,000~549,999 0 26 26 0 26 26
550,000~599,999 0 21 21 0 21 21
600,000~649,999 0 16 16 0 16 16
650,000~699,999 0 11 11 0 11 11
700,000~749,999 0 6 6 0 6 6
750,000~759,999 0 3 3 0 3 3
760,000~ 0 0 0 0 0 0
  • 平成28年以後は、公社債等の譲渡所得等や、公社債の利子や公募公社債投資信託の分配金を確定申告した場合も「合計所得金額」に含まれることとなり、上記の所得控除等の適用を受けることができなくなる場合もありますので、ご留意下さい。
  • 平成30年分以後の所得税、平成31年度分以後の個人住民税については、適用要件と控除額が異なります。

金融所得課税の一体化

Q4 繰越損失を控除する際にはご注意を!!

専業主婦の私は、上場株式の譲渡および配当以外に所得がありません。平成27年に上場株式の譲渡損失が発生し、『損失の繰越控除』の適用のため、平成27年分の確定申告をしました。平成28年は、「源泉徴収あり」の特定口座にて譲渡益が生じましたが、平成27年分の繰越損失額と平成28年分の譲渡益とを相殺するため、平成28年分の確定申告をする予定です。その際、主人の配偶者控除への影響はありますか。

A4

配偶者(特別)控除、扶養控除、寡婦(夫)控除、住宅借入金等特別控除などの適用要件を判定する際の『合計所得金額』は、上場株式等の繰越損失を控除する前の金額となります。
つまり、専業主婦の方が、平成27年から繰越した損失額を平成28年の譲渡益から控除する場合、平成28年の譲渡益がそのまま専業主婦の方の合計所得金額に加算されますので、その年の株式譲渡益が38万円を超えていると、ご主人は配偶者控除の適用が受けられなくなります。(注)

合計所得金額への影響

専業主婦と確定申告

したがって、ご夫婦の合計税額を考慮したうえで、繰越控除を適用して平成28年の譲渡益から控除するか、あるいは、平成28年の源泉徴収ありの譲渡区分はあえて申告せず、翌年以降に損失の繰越を先延ばしにするかなど、よく検討する必要があります。なお、上記どちらの場合でも確定申告は必要となります。

  • (注)ご主人の合計所得が1000万円以下で、配偶者の合計金額所得が38万円超76万円未満であれば配偶者特別控除の適用が受けられます。

平成27年の所得

  • (注)平成25年~49年は、すべての所得税額に対して復興特別所得税(所得税額×2.1%)が上乗せされます。

また、平成28年以後は、公社債等の譲渡所得等や、公社債の利子や公募公社債投資信託の分配金を確定申告した場合も「合計所得金額」に含まれることになります。
なお、公社債等の譲渡(償還)損に関しては「3年間の繰越控除制度」の対象になります。

金融所得課税の一体化

Q5 特定口座において保有株を売却後、同一銘柄を同一日に買付ける場合のご注意

特定口座において、株式を売却後、同一銘柄を同一日に買付ける場合、取得価額および譲渡損益の計算はどのようになりますか。

A5

同一特定口座において、ある銘柄をいったん売却して利益(損失)を確定させ、再度当該銘柄を同一日に買付ける場合、実際の売り・買いの順序に関係なく、先に買付けがあったものとして、取得価額は前日からくり越された残高と当日の全ての買付け分を平均した価額とされます。そして、その日の最後にすべての売却があったものとして譲渡損益の計算が行われます。
その結果、意図した利益(損失)の計上ができなくなることがありますので、特定口座を利用する場合、同一銘柄の同一日の売買については十分注意する必要があります。

【例】
同一特定口座において前日以前から保有する10,000株、取得単価700円の株式を1,000円で売却、その後、同一日に10,000株を950円で買戻した場合。

前日残 取得価額7,000,000円(10,000株×700円)
当日(10,000株×1,000円)売り⇒(10,000株×950円)買い

7,000,000円+(10,000株×950円) = 825円(1株当たりの取得価額)
10,000株+10,000株

(10,000株×1,000円)-(10,000株×825円)=1,750,000円(譲渡益)

  • 同一銘柄の売注文と買注文を同一価格あるいは同一タイミングで行う取引(いわゆる「クロス取引」等)は金融商品取引法で禁止されている「仮装売買」とみなされるおそれがありますのでご遠慮ください。

Q6 上場株式等の譲渡損失の繰越手続きを失念した場合

昨年分の確定申告時に、上場株式等の譲渡損失の繰越手続きを忘れてしまいました。今からでも繰越手続きは間に合うのでしょうか。

A6

上場株式等の譲渡損失を繰り越すためには、確定申告時に繰越手続きをする必要があります。
損失の繰越手続きを「確定申告期限後」に行うことができるかどうかは、「損失が生じた口座の区分」および「その年の確定申告そのものをしているか」により異なります。
当年分よりも前に生じた上場株式等の譲渡損失について、繰越控除適用のための申告をしていない場合の取扱いは、以下のようにケースにより異なります。なお、「源泉徴収ありの特定口座」で生じた損失分を除いてその年の確定申告そのものをしてしまった場合、申告期限後に、確定申告のやり直し(更正の請求)をすることはできませんので、ご注意ください。

上場株式等の譲渡損失の繰越手続きを失念した場合

  • ※1平成23年12月2日より前に申告期限が到来しているものについては、申告期限後1年以内となります。
  • ※2「源泉徴収ありの特定口座」の譲渡分は、申告する・しないを納税者が選択できることになっており、その譲渡分を除いて申告した場合は、申告しないことを納税者の意思により選択したとされるため、誤った申告を正す意味合いの『更正の請求』は認められないとされています。

税務上の取り扱い等につきましては、税理士・税務署等にご確認ください。

ご留意事項

  • 本資料に記載された商品等へのご投資には、税金以外に、各商品等に所定の手数料や諸経費等をご負担いただく場合があります。また、各商品等には価格の変動等による損失を生じるおそれがあります。
  • 本資料は平成29年11月1日現在の法令その他の情報に基づき作成されていますが、今後の改正等により、取り扱いが異なる場合があります。
  • 金融商品の取引や税務申告等の結果、税務以外に、社会保障制度における取り扱いに影響が生じ、負担が増加する場合があります。詳細は、市区町村等にお問い合わせください。
  • 本資料の説明にかかわらず、お客様の個別の状況に応じて取り扱いが異なる場合があります。個別具体的なケースにかかる税務上の取り扱い等につきましては、税理士・税務署等にご相談ください。

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