自分に“アンチ”の部下は「褒め殺し」で戦力に

愚痴や悪口は飲み会でも禁句。女房に聞いてもらえ

2018年1月31日(水)

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ユニー・ファミマHD相談役、上田準二さんの「お悩み相談」。今回は35歳、管理職1年生の男性から。仕事ができる同期の女性部下が自分に“アンチ”の姿勢だという悩みに、上田さんが「褒め殺し」で戦力に変えるノウハウを伝授します。

悩み: 15人の部下を抱えるリーダーになって1年。同い年でプライドが高い女性部下が、素直に私の言うことを聞かず困っています。前職では部長を務め、この仕事では私よりもキャリアが長く、仕事は問題なくこなします。しかし、忙しい同僚を手伝うこともせず、何かに挑戦しようとすると否定的なことばかり言い、周囲のモチベーションを下げています。うまく扱うにはどうしたらいいでしょうか。

 はじめまして。毎回とても参考にさせて頂いております。私は中小企業のとある専門部署でリーダーをしております。リーダーに就任し1年経つのですが、マネジメントが一向にうまくいかず悩んでいます。お力をお貸しいただけないでしょうか。

 現在、15人のメンバーが所属する部署でリーダーをしております。そこに所属する私と同い年の女性社員が周りに及ぼす影響力について、とても悩んでおります。彼女は、これまでずっと同じ職種でキャリアを積んでおり、この職種に関しては私よりもキャリアが長く、前職では部長を務めていたということもあって、プライドが高く素直に私の言うことを聞き入れてくれません。

 一定のスキルはあるので、自分の担当するルーティンワークは問題なくこなしますが、同じ部署のメンバーが残業をしていても、自分の仕事が終わればさっさと帰ってしまいます。他のメンバーを助けたり、私の補佐をしたりするなど、自分の担当業務以外のことを積極的に行うことはありません。

 部署内ミーティングでは、他のメンバーから出た新しいアイデアについて、「うまくいかなかったらどうするの?」「それ私たちがやる仕事?」などと否定する発言が多く、部署内の積極的な発言やチャレンジが次第になくなっている状況です。年齢的にもキャリア的にも、他のメンバーを先導していく役割を求めているのですが、見えないところで常に会社や上司の愚痴を言っているようで、周囲のモチベーションを下げている始末です。

 これまで何度か面談をしましたが問題を認識してもらえず、「自分は自分の仕事をやっているので悪くない」といった風な形で態度を改めようとしません。正直、彼女を外してプロジェクトを進めたい気持ちもありますが、立場上露骨に無視するわけにもいかず……。今年は新卒社員も数人入ってきており、新人たちにも悪影響を及ぼさないか不安です。

 彼女のようにスキルやキャリアはあるが、やる気がなく周囲の足を引っ張る中堅社員のうまい扱い方について教えていただけないでしょうか?

(35歳 男性 会社員)

1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングスの代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。同年5月に取締役を退任。趣味は麻雀、料理、釣り、ゴルフ、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。(写真:的野弘路)

大竹剛(日経ビジネス 編集):今回のお悩みは、35歳男性からです。リーダーに就任して1年、15人の部下、特に同じ年の優秀な女性の扱いに困っています。

上田準二(ユニー・ファミリーマートホールディングス相談役):転職してきた同い 年の女性ですか。前職では部長というから、プライドは高いんでしょう。こういう部下は、とにかく褒め殺しですよ。

大竹:褒め殺し、ですか。どうやるんですか。

上田:「いやぁ、さすがですね。やはり、いろいろキャリアもおありになって、よくお仕事も業務もちゃんとこなしているし、これまでの経験も生きていますね。私なんか、とても及びませんよ」と。まずは、褒め言葉からスタートです。

大竹:何度かこの部下と面談をして、態度を改めるように伝えたというようなことが書かれていますが、きっと、褒めていないんでしょうね。

上田:おそらく、不愉快そうな、もしくは困り顔で、面談したんでしょう。そんな顔をして彼女に接すると、彼女は余計、アンチになっていくよ。

大竹:「アンチ」。よくわかります。そういう態度というか、雰囲気がチームや部署の中で広がると、業務は回らないですよね。

上田:アンチの部下が出てくると最悪だよ。だから、そうならないように、あなたは部下の仕事をまず褒める。そうすると彼女は、「私に一目置いているんだな」と悪い気はしない。つまり、彼女のモチベーションは上がるんだよね。

 みんな忙しくやっているのに、さっさと帰ってしまうということにも不満のようだけど、彼女は自分の仕事をきっちりやっているんだから、それは割り切って、彼女の仕事を褒めてあげるんです。

大竹:まず、割り切る。

上田:チームのみんなが一緒にやっているのに、彼女はさっさと帰るということに不満を持つのではなく、彼女に割り振った仕事をしっかりこなしてくれていると、感謝の気持ちで彼女を見るんです。

大竹:感謝し、かつ、褒める。

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「自分に“アンチ”の部下は「褒め殺し」で戦力に」の著者

上田 準二

上田 準二(うえだ・じゅんじ)

ユニー・ファミリーマートホールディングス相談役

1946年秋田県生まれ。山形大学を卒業後、70年に伊藤忠商事に入社。畜産部長や関連会社プリマハム取締役を経て、99年に食料部門長補佐兼CVS事業部長に。2000年5月にファミリーマートに移り、2002年に代表取締役社長に就任。2013年に代表取締役会長となり、ユニーグループとの経営統合を主導。2016年9月、新しく設立したユニー・ファミリーマートホールディングスの代表取締役社長に就任。2017年3月から同社取締役相談役。同年5月に取締役退任。趣味は麻雀、料理、釣り、読書など。料理の腕前はプロ顔負け。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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