【1月30日 AFP】米大リーグ(MLB)は29日、2019年シーズンからクリーブランド・インディアンス(Cleveland Indians)がチームマスコットである「ワフー酋長(Chief Wahoo)」の使用を取りやめると発表した。ロブ・マンフレッド(Rob Manfred)コミッショナーは決定の理由について、米先住民の一部からこのチームキャラクターが差別的であるとの抗議を受け、もはやチームロゴとして「適切」ではないと判断したためと説明している。

 赤い顔で歯を見せながら笑っている米先住民の漫画キャラクターを1948年から使用しているインディアンスは、ここ数年は段階的にロゴを「C」の文字に変えてきたものの、ホームゲームなどでは選手のキャップに表示され、ユニホームの肩ワッペンにもつけられていた。

 マンフレッドコミッショナーは声明で、2019年シーズン開幕から「ワフー酋長」をロゴから完全に取り外すことになるとして、「MLBは試合を通して、文化の多様性を築き上げる立場を明確にしている。ワフー酋長のロゴを使用している件に関して、この数年間はインディアンスに対して先住民団体との対話をはたらきかけてきた」と述べた。

「建設的な話し合いのなかで、(インディアンスの)ポール・ドラン(Paul Dolan)オーナーはこのロゴに関して、昔から愛着を抱いているファンがいることや、チームの歴史を担ってきたことを強調した。その上で球団として、このロゴをフィールド上で使用することは適切ではないとする私の立場に最終的に賛同してくれた」

 ドランオーナーは、大勢のファンが「ワフー酋長に昔から愛着」を抱いているものの、「2019年のユニホームから、このロゴを取り除くというマンフレッドコミッショナーの強い要求に最終的には同意した」と述べている。

 米先住民団体からの抗議を受け、チームのロゴや名前を変更した同国のスポーツチームはインディアンスが初めてではない。最近では大学でも米先住民にまつわるチーム名を削除する動きがみられているが、同国で最も人気が高いプロスポーツの一つであるナショナル・フットボール・リーグ(NFL)のワシントン・レッドスキンズ(Washington Redskins)は、チーム名の変更を拒否し続けている。

 ニューヨーク州の先住民オナイダ(Oneida)の人々による抗議運動が発端となり、チームマスコットが変更されることになった今回の動きは、MLBや先住民などから歓迎されており、レッドスキンズに対して「差別的」なチーム名を変更することについて再考を迫るものとなった。

 オネイダの指導者であるレイ・ハルブリッター(Ray Halbritter)氏は声明で、「クリーブランドの球団は、米先住民が漫画キャラクターとして侮辱される対象ではないということを正しく認識している。今回の動きは、スポーツチームが先住民に敬意を払うように迫る草の根運動が反映されたものだ」と述べた。

「クリーブランドの決断によって、ついにワシントンのアメフトチームも良心的な決断をせざるを得なくなるに違いない。長い間、有色人種はこうした有害なシンボルで皮肉られてきた。そして、米首都のアメフトチームが、差別的表現であると辞書で定義されている言葉をチーム名に使用していることより有害なシンボルは存在しない」(c)AFP