NEM.io財団幹部に直撃「犯人は盗難した大部分を保有」、JKホワイトハッカー“みなりん*”の正体も判明

写真拡大 (全4枚)

 580億円相当の仮想通貨「NEM」が不正に流出した問題で警視庁は29日、コインチェックの関係者から任意で事情聴取を行っていたことがわかった。警視庁は今後、通信記録を解析するなど不正にコインチェックにアクセスした発信元の特定に向け本格的に捜査する方針だ。また金融庁は同日、コインチェックに対し管理体制の強化などを求める業務改善命令を出した。

 こうしたなか、金融庁がコインチェックに対し「仮想通貨の一部がマネーロンダリングに使われる恐れがある」と警告していたことがわかった。朝日新聞デジタルによると、「コインチェックが扱う計13の仮想通貨の一部に、持ち主や取引状況が分かりにくい匿名通貨がある」と不安視。犯罪組織の資金洗浄に悪用されるリスクを再三指摘し対策を求めていたが、コインチェック側の反応は鈍いままだったという。

 今回の流出を受けては、NEM.io財団も独自に犯人の追跡を進め、流出したNEMを他の仮想通貨などに変えさせないよう早期に各取引所に通達を出している。今後の展開はどうなるのか。『けやきヒルズ』(AbemaTV)では、仮想通貨NEMの普及を目指すボランティア団体であるNEM.io財団の幹部に取材したテレビ朝日経済部の松本寛史記者に話を聞いた。

 NEM.io財団唯一の日本人理事・朝山貴生氏によると「“お金の移動がおかしい”と我々も報道の前から動き出していて、抜き取られた通貨がどこに移動しているかを追跡する仕組みを、財団独自の人員と予算を使っていち早く作った」という。そして、換金ができる取引所に事前に通報したということだ。

 抜き取られたNEMの有りかについては「現時点で犯人は盗難したNEMの大部分を保有」とし、現金化については「世界的にマネーロンダリング対策を強化しており、取引所は厳格な本人確認なしで大口取引ができない。大金を足がつかない状態で現金化するのは困難」と見解を示した。

 では、580億円相当分のNEMは今後どうなるのか? 松本記者は「1つは小口に分けて現金化すること。ただ、これは相当面倒な作業で現実的ではない。常套手段としてはしばらく塩漬けにして、関心が薄くなったところで換金を行う」と述べた。

 一方、今回ネット上で話題になっているのがホワイトハッカーとされる「Rin, MIZUNASHI (JK17)」、通称“みなりん*”の存在。「NEM.io財団が追跡システムを作る前にしるしをつけたお金を犯人の財布に投げ込み、犯人の財布を追跡できる状況を独自で作った」と言われている。さらにみなりん*のアカウント名にある「JK17」が憶測を呼び、「みなりん*は17歳の女子高生ではないか」とネット上では話題になっている。

 このみなりん*についても聞いてみると、朝山氏は「財団の役職についているわけではないが、普段から密接に連絡を取り合っているメンバー」だという。さらに「みなりん*は女子高生ではない。今回夜通しで犯人を追跡し追跡システムの設立にも協力いただいて助かっている」と話したという。

 なお、松本記者が関係者に調べた所によると、みなりん*のアカウント名にある「JK17」は「女子高生17歳」という意味ではなく「自宅警備員17年間」という意味だそうで、ベテランのひきこもりハッカーを意味するという驚きの情報も伝えられた。

 今後の仮想通貨の取り扱いについて松本記者は「利便性と安全性がどうしてもトレードオフの関係にある。それを解決する技術がすぐに出てくるかは難しいというところで、利用者のリスクに対する認識が足りなかった部分もある」と指摘した。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

▼ 次回『けやきヒルズ』は1月31日(水)12時から!「AbemaNews」チャンネルにて放送