ツイッター・ジャパン社は1月29日、大阪芸術大学映像学科の成田天音氏のTwitterアカウントを凍結するとともに、同大学映像学科の卒業制作展「DFA2018」実行委員会のアカウントをロックした。成田氏は、幸福の科学をテーマとしたドキュメンタリー映画『ゆきゆきて、地球神軍』の監督。DFA2018実行委員会は2月と3月に同作品を上映すると発表し、幸福の科学が成田氏に対して訴訟を予告し上映中止を要求していた。DFA2018実行委員会のアカウントはすでに復旧しているが、成田氏のアカウントは現在も凍結されたまま。Tiwtter上で映画の制作・上映サイドからの公式な告知等が一切行えないという異常な状態に陥っている。
成田天音監督『ゆきゆきて、地球神軍』は、幸福の科学信者の信仰活動に密着取材して制作された長編ドキュメンタリー映画。支部長にインタビューするなどして幸福の科学の信仰世界を描くとともに、同教団が「悪魔」と呼ぶジャーナリスト等にも取材。「なぜ信者は幸福の科学に惹かれるのか?」という監督自身の疑問を出発点に、信仰者・批判者・第三者の3の視点から幸福の科学を捉えるものだ。
「批判的要素も入ることを説明した上で、信者や支部長の了承を得て撮影した」(成田監督)ものの、1月27日に上映の告知と予告編映像が公開されると、幸福の科学は「肖像権」を理由に、成田氏に対して上映を中止しなければ法的措置を撮ると電話で恫喝していた。
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今回、ツイッター社が凍結やロックを行なったのは、27日に『ゆきゆきて、地球神軍』の上映日程を宣伝用画像とともに投稿していた成田氏とDFA2018実行委員会のTwitterアカウント。ツイッター社が示した処分理由は「プライバシー侵害」だという。
ツイッター社は成田氏にアカウントの「ロック」(外部から過去の投稿は閲覧でき、所定の投稿の削除に同意すれば即座にアカウントが復活するもの)と通告している。しかし実際には外部から成田氏のアカウント(@inumoarukebadon)を閲覧すると「凍結済みアカウント」と表示され、過去の投稿もプロフィール等も一切閲覧することができない。成田氏はツイッター社に対して異議申し立てを行なったとしているが、現在も凍結は続いている。
DFA2018実行委員会のアカウント(@DFA2018_SAIJAKU)に対する処分は「ロック」で、すでに指定された投稿の削除に同意することによってアカウントを回復した。
これらにより現在、監督と実行委員自身による公式な『ゆきゆきて、地球神軍』の上映告知等はTwitter上から完全に抹消されている。一連の処分が幸福の科学や関係者からの通報によるものであるかどうかは明らかではないが、そうである可能性が高そうだ。
DFA2018実行委員会のアカウントは『ゆきゆきて、地球神軍』以外の同大学の卒業制作作品の紹介や上映日程の告知を行っている。幸福の科学とツイッター社は、一時的とは言え、『ゆきゆきて、地球神軍』と無関係の学生の活動をも巻き込んだ形だ。
一連の流れはtogetterでまとめられており、ツイッター社による凍結や削除によって閲覧不能になった投稿もそこに保存されている。28日に作成されたまとめは、1日の間に22万ビューを超え、昨年の衆院選における幸福実現党の比例全国合計得票数(29万)に迫る勢い。Tiwtterでは作品を「見たい」「頑張れ」「東京でも上映を」といった声が目立ち、中には、幸福の科学の日頃の行いとの矛盾を指摘する声も。
成田監督は作品の予告編を公開しているYouTubeのコメント欄でコメントを公表するとともに、Facebookに『ゆきゆきて、地球神軍』ページを開設し、Twitter以外で発信を続ける姿勢を示している。
〈twitterアカウントが「プライバシー侵害のルール」で凍結されました。twitter社の対応は自動返信のみで解決に繋がりません。
法的にはなんら問題は無い報道性のある作品を言論弾圧する幸福の科学のその姿勢は表現の自由の前に決して認めるべきではありません。
言論弾圧をする幸福の化学は政党を持っています。
都合の悪い情報を黙殺、圧殺する団体が政党を持っていいのでしょうか?IT伝導局の皆様に問います。〉(YouTubeより)
Twitterで計5回のロックを経験している自称ロック・スターの藤倉善郎氏は、本紙の取材にこう語る。
「カルト信者の暴言は通報があっても放置で、カルト側の通報には速やかに従い合法的な表現を抹殺するツイッター社はカルトの手先。しかも今回、幸福の科学とツイッター社の反社会的コラボレーションは、幸福の科学が抗議している作品と無関係の学生たちまで巻き込んだ。いい年こいた大人の群れが学生たちの活動をこんなふうに引っ掻き回して、恥ずかしくないのだろうか。学生の皆さんにはこの機会に、言いたいことも言えないポイズンな世の中で作品を発表することの困難さと尊さを感じ取って欲しい。『ゆきゆきて、地球神軍』だけではなくDFA2018そのものを応援したい」
いまのところ大阪芸術大学やDFA2018が『ゆきゆきて、地球神軍』の上映中止を決定したという情報はない。上映日程は以下の通り。
◇2018年度大阪芸術大学大学映像学科卒業制作展:DFA(Daigei Film Award)2018
『ゆきゆきて、地球神軍』の上映
学内展:2月11・12日両日午前11時から大阪芸大キャンパス内
学外展:3月3日午後7時50分から映画館「あべのアポロシネマ」
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