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東電、2002年に津波想定拒否 福島原発、旧保安院の要請に

 二〇一一年三月に起きた東京電力福島第一原発事故の約九年前、政府の地震調査委員会が「東北の太平洋岸ではどこでも大津波が起こる危険がある」との長期評価を公表した際、当時の経済産業省原子力安全・保安院が東電に「福島沖で津波地震が起きたときのシミュレーションをするべきだ」と求めたが、東電の反発を受け、見送っていたことが分かった。

 原発避難者が国などを相手取った訴訟で千葉地裁に提出された関係者の陳述書で判明。第一原発に津波が襲来し大事故が起きたが、この段階でシミュレーションをしていれば津波対策に早く着手できた可能性がある。

 陳述書は旧保安院の原子力発電安全審査課で地震や津波関係の審査班長だった川原修司氏のもので、法務省の担当者に答える形で当時の事情を説明している。

 地震調査委は〇二年七月三十一日に長期評価を公表。川原氏らは同八月、複数回にわたって東電の担当者に事情を尋ね、長期評価を前提に津波のシミュレーションを行うよう要請した。

 東電は、地震学者による一つの論文を基に説明し、シミュレーションを拒んだ。陳述書に添付されていた東電の担当者の電子メールの写しには、当時のやりとりが記されており「四十分間くらい抵抗した」と書かれていた。

 東電はさらに、地震調査委メンバーの佐竹健治氏(現東京大教授)が長期評価の見解に異論を唱えていたことや、将来的に別の方法で第一原発への大津波を考慮するなどと主張。

 川原氏は「長期評価は具体的な理学的根拠が伴うものとは確認できない」として津波シミュレーションを行わないとの東電の方針を了承。「当時の安全規制の考え方の下で、正当な対応だった」としている。

 東電は取材に対し「継続中の訴訟に関わる事項なので回答を差し控える」とコメントした。

 

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