「あおりハンドル」の危険と改善要請

「あおりハンドル」の危険と改善要請

 クルマを運転していて自分の周りを見渡してみると、しばしば危なっかしい運転にヒヤヒヤさせられることって誰でもあるのではないでしょうか。
 本企画では、よく見かけてしかも危険度が高い【あおりハンドル】について取り上げつつ、その改善点や提案をお届けします。
文:国沢光宏 写真:shutterstock.com


■左に曲がる際に、いったん右にハンドルを回す「あおりハンドル」

 つい最近ウェブメディアで「右左折時のウインカーを使わない人が多い。なかでも左折時に【あおりハンドル】をするとウインカー出せず巻き込み事故の原因になる」という記事を書いたらYahoo!のトップニュースになり、大きな話題を集めることになった。

 自動車関連の記事におけるYahoo!のコメントは酷いものが多いのだけど(クルマ嫌いが多いため)、この件に関しては納得できる内容が多数。

 クルマの運転が上手な人ほど批判的だったのは、左折する際、いったん右にハンドル切ってから左に切るという「あおりハンドル」である。

 説明するまでもなく、左折は左にウインカーを出し、左に寄ってから曲がるというのが正しい。しかしあおりハンドルをすると左にウインカー出したって右に切った段階でキャンセルされてしまう。したがって基本的にウインカーを出せない状況。

 自分がクルマを運転していて、あおりハンドルで曲がる左折車に出くわしたら「へったくそ!」と思うだけながら、後続のバイクや自転車からすれば、右に行くのかと思ったのに左に曲がってくるから巻き込まれそうになる。ウインカーも出ていないから一段とタチ悪い。

■なんと「そのほうがカッコいいから」と思ってる人がいる

 あおりハンドル、昔からなぜやるのか疑問だったため、何人かに取材したことがある。その答えは驚くべき内容だった。皆さん、これが「すばらしいドライブテクニックだ」と思っている様子。

「右にハンドルを切れば左側に大きな余裕ができる。このテクニックを使えば左折だって簡単」というもの。カッコいいとすら考えているようなのだ。確かに内輪差の心配がなくなり、左後輪をブツけないですむ。免許取り立てのドライバーに教えてあげた、という人までいて驚く。

 実際、あおりハンドルをテクニックとして使うケースはある。たとえばラリーの競技中。高速で交差点を左に曲がろうとする際、目一杯右に寄ってから曲がりますワな(笑)。これを「カッコよくてやってる」と考えられたら驚きますが……。

 はたまた、大型車で細い道に左折して入っていくような時は、あおりハンドルを使うしかない(乗用車でも狭い道の場合はしかたないです)。その場合、基本的に徐行してウインカーも常時左に出し続けるという配慮が必要。大型車が速度を落とさずウインカーも出さないままあおりハンドルして左折した、なんてシーン、見たことありません。

 むしろ余裕で左折できそうな軽自動車で「右に曲がるのか?」と思ったら突如左に曲がった、みたいなことのほうが多い。

■交通取り締まりは、こういう危険な行為を取り締まって!

 ちなみに、あおりハンドル&合図不履行は、明らかな道交法違反。本来なら警察が取り締まらなければならない。

 街中を走っていて案外あおりハンドル野郎に遭遇するのだから、パトカーや白バイだって目撃しているハズ。ドライブレコーダーを付けておけば(パトカーには付いている)、証拠として残っていることだろう。だったら反則切符を切るべきだ。警察は取り締まりやすい違反ばかり熱心にやり、多くの人が「おかしい!」と感じることを無視する傾向。

■せっかく厳しくて細かい免許制度なのだから

 また、日本は世界で最も運転免許取得が難しいうえ、世界で最も頻繁に更新しなければならない。

 先進国の大半は、免許取ったら一生モノなのに……というすばらしいシステムを(日本は)持つのだから、社会問題になっているような運転方法やマナーを5つくらい啓発していくべきだと思う。

 高速道路の追い越し車線に居座る大型車など好例。彼らは2㎞/h遅い仲間を抜かすため、乗用車の前に出てくる。

 ハイビームの使い方や、教習所やディーラーで教えてくれないバックフォグの使い方なども更新時に教えればいい。私たちメディアも、積極的に記事として紹介していきたいと思う。

釘を踏んでパンク…穴だけ修理しても中は直ってない!? タイヤ 内部損傷の恐怖
釘を踏んでパンク…穴だけ修理しても中は直ってない!?  タイヤ 内部損傷の恐怖

 どんなに注意していても、一度や二度は遭遇してしまう車のパンク。最も確実な修理法はタイヤを新品に交換することだが、今や「テンパータイヤ」の替わりに、パンク修理キットを装備している新車がほとんど。また、割安な『外面修理』を選ぶことも可能だ。でも、それらの修理では、“直したつもりのパンク”が、直っていない危険性がある!!

文:ベストカーWeb編集部/写真:shutterstock.com


気づいた時点でダメージ進行! 恐るべき「内部損傷」

タイヤ内部に損傷があると、このようにタイヤサイド部のカーカスコードが周状に切断するケースも!
タイヤ内部に損傷があると、このようにタイヤサイド部のカーカスコードが周状に切断するケースも!

 まず、前提として『パンクに気づくことは非常に難しい』という現実がある。実際、タイヤにクギが刺さってパンクし、空気圧が適性値の半分以下に減った状態でも、即座に気づくことは至難の業。往々にして「外からタイヤを眺めて、初めてパンクに気づく」ケースも多い。

 つまり「気づいた時には、もうパンクはかなり進行している」場合が多いのだ。そして厄介なことに、専用の修理剤で穴を塞ぐ外面修理で空気の漏れは止まったとしても、実はタイヤ内部が壊れている可能性がある。これが『内部損傷』だ。

 内部損傷は、空気圧が下がることで、普段、路面に接地していないタイヤの側面がたわみ、その状態で走るにつれてタイヤ内部の温度が上昇。やがて、タイヤの内部に深刻なダメージを与えるという現象。

 パンクの外面修理は2000~3000円程度と割安な反面、タイヤ内部に負ったダメージは直せない。

 では、内部損傷したタイヤで走り続けるとどうなるのか? タイヤ製造メーカー最大手、ブリヂストンの広報部は「あくまで一般論」としたうえで、次のように答える。

 「(内部損傷が起きると)タイヤを“支える能力”がなくなります。荷重がかかるので、タイヤのサイド部がスポンと抜けてしまったり、少しずつタイヤがバラバラに分解されてしまうこともあり得ます」

 つまり、外面修理でパンクを直したと思ったタイヤが、走っている途中に、突然バラバラになることも起こり得るのだ。もし、それが高速道路上で起きたら……考えただけでも恐ろしい。

内部損傷は見分けにくい! ダメージは『時間』と『空気が減った量』に比例

65扁平タイヤを、左から空気圧が高い順に並べたもの。40kPaではかなりたわみ、サイドに負担が掛かっていることがわかる
65扁平タイヤを、左から空気圧が高い順に並べたもの。40kPaではかなりたわみ、サイドに負担が掛かっていることがわかる
こちらは45扁平のタイヤ。近年増加中の低偏平率タイヤは、空気が減っていてもわかりづらい!!
こちらは45扁平のタイヤ。近年増加中の低偏平率タイヤは、空気が減っていてもわかりづらい!!

 では、タイヤが内部損傷しているのか否かを、どう見分けるか? 前出のブリヂストン広報担当者は「タイヤや車の種類によって異なるので一概に言うのは難しい」と言う。そう、パンクは気づきにくいだけでなく、内部にダメージを負っているかも見分けにくい。厄介すぎる。

 ただ、パンクに気づいた時に、内部損傷しているかを計る指標はあると言う。

「まずは、外から見てカーカスコード(タイヤ内面にある骨格、ゴムで被膜したコード層)が浮き出ていないどうか。それと、(パンク後の)“期間”と“空気圧低下”に比例して、かけ算のようにタイヤの損傷は大きくなります。たとえ、走らなかったとしてもです」

 参考までに、日本自動車タイヤ協会が行った内部損傷の再現実験を紹介しよう。

 この実験は120km/hで、空気圧200kPaからスタートし、徐々にタイヤの空気を抜いていくというもの。約60分経過時点で空気圧は40kPa、タイヤ温度は127℃にまで達し(スタート時は約50℃)、ここでタイヤ破壊が起きた。

 この結果からみても、目に見えて空気が抜けてしまったタイヤで少しでも走り続ければ、かなり危険だとおわかりいただけるだろう。ましてやパンク後に高速道路を走ることは尚更危険度が高い。

◆  ◆  ◆

 パンクの内面修理は、タイヤ内側にもパッチを貼りつける修理。当然、外面だけの修理より時間もお金もかかるし、内部損傷が激しければ「新品タイヤに交換するしかないですね」となってしまう。そうならないための唯一にして最も効果的な方法は「予防」に尽きる。

 1カ月に1回空気圧チェックをするだけで「自然漏れ」は防げるし、給油時に毎回チェックするクセを付ければ、パンクの発見が遅れるリスクも格段に減らせる。それでも、パンクをしてしまったら、ぜひタイヤを直接触ってみてほしい。パンクしたタイヤが他よりも熱かったら、内部が危険な証拠だ。