農家が育成 甘~いイチゴ「咲姫」ヒット TOKIOに倣い自己流で 佐賀県白石町 中村和好さん
2018年01月30日
「咲姫」を掲げる中村さん。粒が大きいのも特徴だ(佐賀県白石町で)
糖度16、海外でも評判
農家が育成し昨年2月に品種登録を受けたイチゴ「咲姫」が、平均糖度16という甘さを武器に、海外からも引き合いが強い有力品種に育っている。佐賀県白石町の中村和好さん(65)が作り上げた新品種で、開発のきっかけは、人気アイドルグループのTOKIO。メンバーがイチゴの品種改良をする姿をテレビで視聴し、見よう見まねで育成に成功した。ブドウ並みの甘さが自慢。「TOKIOにも、ぜひ食べてもらいたい」と中村さんは笑う。(金子祥也)
ある日、イチゴの出荷を終えた中村さんは、何気なくつけたテレビにくぎ付けになった。放映していたのは、イチゴの品種改良にTOKIOが挑戦する企画。メンバーがよどみない手つきで未熟花に花粉を付ける様子を見て、「自分もやってみよう」と思い立った。
当初は趣味として取り組む考えだったという中村さん。テレビの情報だけで改良に着手した。JAや試験場に問い合わせたり本を読んだりもしなかったが、初めから交配はうまくいったという。
2年目には、着花数が少なく摘果の手間が省ける株の選抜に挑戦。食味は期待していなかったが、交配でできた株が付けた実を試食して驚いた。イチゴ栽培歴40年の中村さんをうならせるほど、甘い品種に仕上がっていたからだ。
開発した品種「咲姫」と名付け、翌年にはハウス1棟の品種を「さがほのか」から切り替えた。現在は20アールのハウス全てで「咲姫」を栽培し、年間4万5000パック(1パック 300グラム)を出荷している。「TOKIOがいなければできなかった品種。ぜひ食べてもらいたい」と話す。
中村さんが生産する「咲姫」は、9割が地元のJAさが白石地区を通して市場に出荷する。数量が少ないため、出荷先は反響が大きかった大阪市場に限定した。取り扱う仲卸業者の販売先で最も大きいのが海外だ。他品種のイチゴと同じ便で、連日香港の業者に輸出している。出荷するイチゴの品種は仲卸業者に任されているが、「咲姫」だけは指定があるという。仲卸業者は「味が確かな支持を得ている証拠だ」と実感する。果皮が硬めで棚持ちが良いため、海外輸送が多いにもかかわらずクレームはほとんど入らないという。
専用パックやロゴ JA・町も後押し
地元の生産者が作った「咲姫」の販売を盛り立てようと、JAも手を尽くす。生産量が少ない品種は産地名だけが入った共通パッケージを使うケースが多いが、JAは専用パッケージを用意。中村さんの希望を受け、品種名のロゴは佐賀県出身の書道家が書いたデザインを使用した。「中村さんは長年、JAを利用する組合員。少しでも手助けしたい」と力を込める。
町も「白石の新ブランドいちご」という触れ込みで「咲姫」をPRする。同町が運営するホームページには、黒いイチゴに白文字で「16」と書いたイラストを掲載。16は「咲姫」の平均糖度を表している。クリックすると品種説明が見られる仕組み。担当者は「消費者が町に興味を持つきっかけになる」と期待する。
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原油高、低温 産地苦慮 「保温欠かせぬ」 ハウスミカン経営を直撃 九州
燃料価格の高騰が生産現場を襲っている。原油高を受けて、九州では幅広い農産物に影響が出てきた。今冬は低温が続き、例年より重油の使用量が多くなるため、農家の負担増に拍車を掛ける。出荷の乱れや品質低下を避けるには、使う量を極端に減らすことはできない。産地はハウスの被覆を増やし、ヒートポンプを導入するなど対策に努めるものの、原油高の影響緩和に苦慮している。
全国一のハウスミカン産地、佐賀県JAからつ。管内では5月上旬には出荷が始まるため、今が燃料の最需要期に当たる。施設を加温するために使うA重油価格が、2月から1リットル82円になるという。前作の2017年産は、シーズン平均で燃料代が1リットル65円だった。この高騰が続けば、今期は3割近くコストが上乗せされる計算だ。
ハウスを開けると、直径2センチほどの緑の小さな果実が実る。部会員数184人のJAハウスみかん部会の加茂達也部会長は「冬場でも真夏の環境をつくらないといけない。外気が0度の中、25、26度に保つことが必要だ」として、30万円ほどかけてハウスを3重被覆にしている。
JA部会でも6割がヒートポンプを導入するなど対策を取る。JAは「保温対策が第一。今、加温しないと糖度が上がらない」と警戒感を緩めない。1シーズンで部会員が使う燃料は10アール当たり平均で20キロリットル。ヒートポンプ導入農家は13キロリットルで、加温機だけの農家は25キロリットル以上かかり、経営を圧迫している。
ハウスミカンは、中元時期に引き合いが強いギフト商材。全国的に面積が減る中で同JA産はトップ産地で、東京の百貨店高島屋のバイヤーは「絶対に必要な商材だ」とみる。加温が足りず出荷が遅れれば、産地の次期作の生産計画も狂う。加茂部会長は「正直苦しいが、何とかやっていかないと・・・」と漏らす。
ナス、干しシイも
燃油高騰に追い打ちを掛けるのが、低温と寒波の襲撃。ナスのトップ産地、福岡県のJAみなみ筑後では、前年に比べて燃油の使用量が4割ほど多くなるという。管内の1月の気温は平年より1度ほど低い。JAでは、有利販売を狙って今季からナス全体の約3割で良食味の新品種「PC筑陽」を導入し、試験栽培を進めている。
JAの乗富幸雄組合長は「農家の負担を和らげるためにも、ナスを高く売れるよう販売に力を入れたい」と強調。各市場を回り、関係者に品質を伝えている。
JA宮崎経済連によると「干しシイタケを乾燥するために使う燃油も高騰している」という。コストが上がっても取引価格には反映できない。産地では、まきを燃やして乾燥する方式で、燃料コストを下げる工夫をする生産者も出てきた。
燃油供給の関係者によると、1月初旬の営農用A重油価格は前年に比べて「15%を超える水準で推移している県が多い」。資源エネルギー庁が24日発表した石油製品の価格調査では、レギュラーガソリンが5週、軽油と灯油は18週連続の値上がり。製油所から遠く輸送費がかかる九州は、全国より高くなっている。
産地は高齢化も重なり、生産基盤の弱体化が課題。農家の生産意欲を維持するには産地の努力に加え、現場の負担軽減対策が求められる。(木原涼子)
2018年01月29日
ブル中野さん(タレント) 空腹と満腹の人生体験 孤独なレスラー頂点極め
現役時代は、めちゃくちゃ食べてましたねえ。私はデビュー2年目にダンプ松本さんに悪役になれと誘われました。ダンプさんが体重100キロだったので、自分も100キロを目指して食べまくって練習してたんです。
私は中学1年の時に全日本女子プロレスのオーディションに受かったので、2年間しっかり食べて、中学卒業後に入りました。その時の体重は65キロくらいでしたかね。
プロテストに受かるまでは、練習生。とにかくお金がなくって。寮でご飯だけは出してくれて、おかずは自分で買うんです。練習生のみんなで、安くてご飯が進む味の濃いものを探して、一番良かったのが業務用のショウガ。梅干しは、高くて買えませんでした(苦笑)。今日はショウガにちょっとだけ「味の素」をかけよう、今日はしょうゆをかけようと。給料前の最後の1週間は、朝昼晩とそんな感じでした。
プロデビューすると、ちょっと給料が上がるんですよ。それでツナの缶詰を買ってきてマヨネーズをかけて、「これ、おいしいね」って食べていました。
先輩たちは、ファンから食べ物の差し入れをもらうんです。牛丼、フライドチキン、ハンバーガー・・・。事務所や巡業先に差し入れをするファンがたくさんいました。人気のある先輩はいろんな人からもらうから、食べきれないじゃないですか。だからちょっと口をつけただけで捨てるんですね、ごみ箱に。
先輩たちが帰った後、私たちはごみ箱から取り出して食べていました。それが主食でした。
私たちはみんな中卒で入ってきて、社会人という意識が強かったですね。今と違って、社会人が親から小遣いをもらうということは、恥ずかしいこと。お金がないなんて泣き言は言えません。楽しくて幸せでお金もいっぱい入ってきて、好きなことに打ち込んでいる。そういう姿を親に見せたかったです。
試合は年間300試合くらい。ほとんど地方巡業でした。だいたい10~20日地方にいて、東京に帰ってきて、また地方という生活でした。強くなって人気が出てくると、試合後に巡業先のプロモーターの方が接待をしてくれるんです。悪役が好きだという方も多かったですね。
プロモーターさんは街の顔役で、お金持ち。案内してくれる店は、その町の一番いい店。ですから私は連日、行く先々で最高級のすし屋や焼き肉屋、ステーキ屋で食事をしました。
最初はうれしかったんですけど、そのうち「また今日も接待か。ご飯とみそ汁と納豆だけあればいいのになあ」と思うようになって(笑)。
やがて私はトップになります。人気も一番。下積みの頃に望んでいた全てを手に入れました。もちろんお金もいっぱいもらえるようになりました。プロレスの世界はピラミッドです。頂点に立つのは、チャンピオンただ一人。そこに行きたいと思って頑張ってきたんですが、実際その座に就くと、つらかったですね。絶対に負けられないというプレッシャー。弱みを見せるのさえ許されない孤独感。
2年10カ月の後、アジャ・コングに負けてベルトを取られた時は、もう楽になれるという安堵の気持ち。やっと肩の荷が下りたと感じました。
今思うと、頂点に立ちたくてごみ箱をあさりながら練習していた新人時代、一番苦しかったあの時が一番幸せだった。もう体が動かないので(笑)無理ですけど、体さえ動くのなら、あの時期に戻りたいと思います。(聞き手・写真 菊地武顕)
<プロフィル> ぶる・なかの
1968年埼玉県生まれ。83年に全日本女子プロレスに入門。90年にWWWAチャンピオンとなり、「善対悪」という従来の構図を超越した絶対女王として君臨した。現在は東京・中野でバー「中野のぶるちゃん」を経営。28日、東京・水道橋の闘道館でトークショーを開催する。
2018年01月21日
若者力発揮宣言 新しい風育み共に前へ
若者を引きつけ、育てる農村になるにはどうすればいいのか。その地域像を模索する農山村の新たな挑戦が始まる。全国200の自治体が賛同する「農村文明創生日本塾」は28日、「我がムラ若者力発揮宣言」をする。若者と共に輝ける地域へ一歩を踏み出す。本紙はこの挑戦に賛同し、一層の広がりを応援したい。
同塾は、農に立脚する多様な文化や暮らしの持続と発展を国民運動とするため、研究や政策提言、情報発信している。農村問題の研究者ら20人も加わり、昨年に一般社団法人化した。
今回の宣言は、農業・農村に変革を起こす若者を追った本紙「若者力キャンペーン」に共感し採択することを決めた。
宣言には、具体的な取り組みが盛り込まれる。①若者の移住を応援すると共に、地域と多様な交流をする「関係人口」の拡大に向けて、政策立案・研究を進める②さまざまな組織で若者の声を共有し、生かす仕組みをつくる③若者ならではの地域課題の解決に向けた活動を支援する──など。同塾に賛同する自治体は、情報交換しながら活動を実践し、若者力を生かす地域づくりを進める。
農村での暮らしを求める「田園回帰」の潮流はうねりとなっている。移住希望者へ情報発信を続けるふるさと回帰支援センター(東京・有楽町)に寄せられた2017年の移住相談件数は、センター開設以来初めて3万件を超えた。2000件ほどだった相談が10年で急増。それも20、30代の相談が増加している。16年の49歳以下の新規就農者数は、全国で推計2万2050人。07年以降では15年に次いで2番目に多い。
都市から農村へ。田園回帰志向の高まりは、農村地域にとっては大きなチャンスである。どう生かすか。受け入れ側の力量が問われている。移住者数や新規就農数が増え、多くの自治体で過去最高を更新する一方、専門家は「地域によって偏りがある」と指摘する。
各産業で、労働力不足が深刻な問題だ。農業現場も例外ではない。嘆くだけでは、待っていても若者はやってこない。言い換えれば、このチャンスを農山村が生かせるかに、地域と農業の将来が懸かっている。若者力発揮宣言には、地域の未来を託す思いも込められる。
同塾代表を務める富山県南砺市の田中幹夫市長は「地域ぐるみで若者を応援し、都市と農村が共生する新しい地域を目指す。地方の新たな時代を切り開く」と未来を見据える。インターネットを使っての消費者に向けた情報発信や、さまざまな垣根を越えて結び付く“つながり力”など、若者力に着目した地域づくりの先導を誓う。
若者の夢は、たくさんある。若者力発揮宣言は、その夢の実現を自治体が下支えするものだ。若い世代と地域が共感し、共に成長できるか。新たな挑戦に期待したい。
2018年01月28日
TPP11署名へ 農業に打撃の不安募る
米国抜きの加盟11カ国による環太平洋連携協定(TPP)は、交渉が妥結し3月上旬の署名が固まった。欧州連合(EU)に続く広域通商協定になる。局面が大きく動く中、改めて食料安全保障、食料自給率向上の重要性を考えるべきだ。
TPP11の首席交渉官会合は、大筋合意後に結論を持ち越した論点を最終決着させ、署名式を3月8日にチリで開くことを決めた。各国の国内手続きを経て、早ければ2019年の発効を目指す。
今回の最終決着で当面、注目すべきは参加していない米中2大経済大国の動きだ。前後して北米自由貿易協定(NAFTA)見直しの協議が再開し、25日からは東京で日米経済対話の事務レベル会合も行う。
NAFTA見直しでは、米国とカナダの対立が激しさを増す。経済対話では米国産牛肉の対応が焦点だが、2国間協議の姿勢を鮮明にする米国の姿勢に変化が出るのか。30日には、大統領就任1年を迎えたトランプ氏が内外に今後の指針を明らかにする一般教書演説がある。TPPに言及するのか、無視するのか。TPPに対抗する形で中国・習近平政権の「一帯一路」戦略も進む。日中韓3カ国をはじめ16カ国の広域通商交渉で構成する東アジア地域包括経済連携(RCEP)への影響も見定める必要がある。
東京大学大学院の鈴木宣弘教授はTPP11影響度の政府試算は過少過ぎると主張。「影響がないように国内対策を取るので影響がない、では説明にならない」と指摘する。生産現場の率直な気持ちも同じではないか。
TPP11合意は品目で影響度が全く異なる。米は国別枠で米国が抜けるため当初の12カ国によるTPP協定に比べ輸入量は大きく減る。
問題は畜産・酪農分野だ。特に乳製品のTPP枠(生乳換算7万トン)は国別がない大枠で米国込みの数字だ。これがニュージーランド(NZ)など酪農大国で埋められた上に今後、米国から新たな輸入枠を求められれば、国産乳製品市場は大きく縮小しかねない。生乳流通改革で需給調整機能が不透明になる中でどうするのか。EU対応も含め国産チーズ振興に支障が出かねない。
牛・豚肉のセーフガード(緊急輸入制限措置)でも課題が多い。米国参加を前提にした当初の発動基準を変更しないため、輸入増加への「防波堤効果」が薄まる。肥育経営への支援措置を拡充するとはいえ、関税引き下げが国内畜産農家に及ぼす打撃は避けられない。
24日からは国会論戦が始まった。改めてTPP11、日EU、日米協議などの行方、農業への影響度、国内対策の有効性を議論すべきだ。食料安保の在り方、国是である45%への自給率引き上げはどこに消えたのか。安全保障としての食料問題を一大テーマに、国会での建設的な議論が欠かせない。
2018年01月25日
「ゲノミック評価」で選抜効率化 肉牛育種でも「実用レベル」 家畜改良事業団委員会
遺伝子の情報を基に家畜の能力を評価する「ゲノミック評価」が、肉用牛の育種でも実用レベルにあるという判断を、家畜改良事業団の検証委員会がまとめた。種雄牛候補が若い段階で遺伝能力を評価できるので改良速度の向上が期待できる。また、これまでの血統情報では、両親が同じ場合、遺伝能力は同等と推定されていたが、兄弟姉妹の能力差も判断でき、選抜効率が上がる。2月1日に開く改良委員会で、今後の種雄牛選抜などで利用するかどうかを決定する。
2018年01月26日
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町も「白石の新ブランドいちご」という触れ込みで「咲姫」をPRする。同町が運営するホームページには、黒いイチゴに白文字で「16」と書いたイラストを掲載。16は「咲姫」の平均糖度を表している。クリックすると品種説明が見られる仕組み。担当者は「消費者が町に興味を持つきっかけになる」と期待する。
2018年01月30日
ジビエ活用 地域発信 鹿児島でサミット
日本ジビエ振興協会は26日、野生鳥獣の肉(ジビエ)の利活用拡大に向け、第4回日本ジビエサミットを鹿児島市で開いた。「ジビエが動く、観光も動く『はじまる!国産ジビエの本格流通』」をテーマに企画した講演やセミナーを通じ、参加者はジビエを活用した地域の新たな魅力を発信するヒントを探った。27日まで。
2018年01月27日
17年東京市場 果実売上高 15年ぶり1800億円超え
2017年の東京都中央卸売市場の果実の売上高が、15年ぶりに1800億円を上回ったことが都のまとめで分かった。売上高の2割弱を占めるミカンが、年末に異例の高値となり全体を押し上げた。生産が伸びているブドウ「シャインマスカット」やイチゴの売り込みが活発となり、高単価で取引されたことも追い風となった。
2018年01月25日
全農「お米のミルク」紹介 メディケアフーズ展 介護、医療分野に売り込む
介護や医療分野の食品展示会「メディケアフーズ展」が24日、東京都江東区の東京ビッグサイトで始まった。高齢者施設向けの食品を製造するメーカーなど約120団体が参加。調理時間の短縮や低糖質・低カロリーなど介護や医療現場のニーズを反映した商品が目立った。25日までの開催で、約1万5000人の来場を見込む。
初出展となるJA全農は、国産米100%で作る「お米のミルク」を紹介した。2015年から販売する商品で、米の甘い風味とすっきりとした飲みやすさが特長になっている。米の栄養素をそのまま摂取できるとPRし、高齢者食や介護食として提案する。125ミリリットルの飲みきりサイズで、ご飯茶わん1杯分の栄養があり、「老人ホームなど介護や医療の現場で取り入れてほしい」(全農)と新たな需要開拓を目指す。
茂木食品工業(群馬県下仁田町)は柔らかく加工した「ほろっと崩れるこんにゃく」を出品した。原料には群馬県産のコンニャク芋を使用。加熱しても身崩れせず、簡単にかみ砕ける。同社は「低糖質でカロリーが低く、介護や医療の現場に最適」と強調する。
業務用納豆メーカーのヤマダフーズ(秋田県美郷町)はチューブ入りの納豆をPRした。ひきわり納豆よりも粒が細かい「きざみ納豆」やペースト状の納豆を紹介。国産大豆にこだわった商品もそろえる。味付け済みで、たれを加えて混ぜる手間が省ける。「作業が楽になった」と介護の現場から好評という。
2018年01月25日
和食と相性「璃の香」提案 農研機構、大阪でレモンセミナー
農研機構果樹茶業研究部門は23日、大阪市の中央卸売市場本場で、同機構が育成したかいよう病に強く酸味がまろやかなレモン新品種「璃の香」をテーマに、セミナーを開いた。食品会社の三栄源エフ・エフ・アイの大上将司氏が、香り成分の分析結果を報告し、カボスに似た香りが特徴で繊細な香りの料理に合うとして、「果汁を搾って使うのが適している」と、和食での利用を提案した。
同品種は「リスボン」に日向夏を交配し、レモンとして売り込んでいる。レモンは強風でかいよう病が発生しやすく、栽培適地が限られている。「璃の香」は、かいよう病に強く、とげが少ない。また皮が薄く果汁が既存のレモン品種より約10ポイント上回る50%あり、加工適性に優れている。収量が同機構試算で10アール当たり3650キロと多収で作りやすいため、農家の関心が高い。
香りが弱く、酸含量が少なくマイルドな味わいで、食べやすいという評価がある一方、JAの担当者などは、レモンとしての販売に課題があるとしている。
セミナーでは、大上氏が香りを生かした利用法を提案。愛媛県いわぎ物産センターも生果をそのままスライスして使うサラダを紹介した。農研機構は、酵素でじょうのうを溶かし、果肉を取り出す製造法を報告し、果肉入りケーキを提案した。
セミナーには、流通関係者や消費者ら約80人が参加。会場では果実の輪切りと果汁を試飲し意見交換した。
2018年01月24日
大雪で関東産入荷減 ネギやカブ 露地物上伸 東京市場
関東地方を中心に、大雪に見舞われた影響で、東京都中央卸売市場大田市場で23日、ネギやカブなど関東産の露地野菜の相場が上伸した。降雪で収穫作業が遅れたのに加えて、道路の通行止めによる配送の遅れで、入荷量が落ち込んだ。天候は回復しているが、雪が残ったままの畑が多く、週後半にかけて露地物を中心に入荷が不安定となる見込み。「さらに相場が上がる」(卸売会社)との見方が出ている。
同日の大田市場の野菜入荷量は2074トンで、1週間前に比べて1割少ない。ハクサイやニンジン、ネギなど、関東産の露地物で落ち込みが目立った。JA全農ちばは「22日の午前から雪が降っており、農家が収穫を控えた」と説明する。
相場は露地物の上げが相次ぎ、ネギが埼玉産1ケース(5キロ・45本ばら・高値)3024円と前日比108円高、カブが千葉産1ケース(1キロ・2L級・高値)248円と同10円高となった。卸売会社は「冷え込み続きで客足は鈍く、スーパーの売り込みはいまひとつだが、それ以上に入荷が減り絶対量が不足」と指摘する。
小松菜は、茨城産が1束(200グラム・高値)238円と同11円高。産地からのトラック配送が大雪で遅れて、不足感が強まったという。
22日夜から東名高速道路などが通行止めとなった影響で、東海以西の産地からの入荷に延着もみられた。キャベツやトマト産地のJAあいち経済連は「静岡県で足止めとなり、23日の取引に間に合ったトラックは半分にとどまった」と話す。JA宮崎経済連は「鉄道便で東京に届いた青果物を、市場まで運べなかった」と明かす。
2018年01月24日
日本米 中国でPR 外務省あすからキャンペーン 通販サイトに誘導
外務省は24日から、中国国内の日本料理店と連携し、日本産米のPRキャンペーンを展開する。北京市、上海市の計26店舗が参加し、ひつまぶしや焼きおにぎりなど日本産米を使った特別メニューを提供。来店客に、日本産米を購入できるインターネット販売サイトを紹介して新たな購入層を掘り起こし、輸出拡大を後押しする。
キャンペーンは2月11日までの19日間。北京12店舗、上海14店舗のすし店や居酒屋などが、日本の自治体と協力してメニューを考案。日本産米を使った「具だくさん釜飯」「ちらし寿司(ずし)」など店ごとに異なるメニューを提供する。期間中、試食会や料理教室なども開催。在中国日本大使館によると、可能な限り終了後も日本産米を扱ってもらう予定だという。
各店舗には、中国ネット通販大手・アリババなどの販売サイトの2次元コード(QRコード)を載せた広告を置くなど、一過性のイベントに終わらないよう日本産米の購入へ誘導したい考え。各社は期間中、日本産米を集中的に扱い販売を強化。日本大使館は「店で食べて日本産米を認識し好感を持ってもらい、選んで買ってもらえるようにしたい」と期待する。
中国では日本食の人気が急上昇している。農水省が昨年まとめた調査では、全世界の日本食レストラン数が前回調査を行った2年間で3割増えたのに対し、中国では8割増えた。従来の沿岸部の都市から、近年では内陸部にも広がっている。
初日の24日には開幕イベントとして、中国でも人気のグルメ番組「孤独のグルメ」に出演する俳優の松重豊さんらが参加してPR。炊きたてご飯や丼、すしなどを振る舞う予定だ。日本の食文化に関心が高いメディア関係者や、ブログやインターネット交流サイト(SNS)などで影響力のある人にキャンペーンを取り上げてもらい、魅力を発信する。
2018年01月23日
スペインで 米粉輸出拡大めざす 促進ネット
NPO法人国内産米粉促進ネットワークは、27日から、スペイン・マドリードで日本産の米粉や米粉加工品のプロモーション活動「マドリード米粉プロジェクト」を展開する。昨年10月にドイツ、イタリア、フランスで実施した活動の第2弾。グルテンフリー食品市場が拡大する欧州で、日本産のおいしさ、機能性、使い方などをPRし、米粉・米粉加工品の輸出拡大につなげる。
活動は、現在進められているグルテン含有量1ppm以下のノングルテン米粉製品に対する民間認証制度の構築と連動した取り組み。海外のグルテンフリー製造・販売事業者やレストラン関係者、輸入業者などに周知する狙いがある。
プロジェクトは27日~2月4日の期間、「マドリード米粉週間」と銘打って展開。「KOMEKOクッキング料理教室」を、麦類アレルギーなどに悩む人が集まる「マドリード・セリアック病およびグルテン過敏症協会」の協力で開催。調理実習・試食の他、参加者と意見交換する予定だ。
また期間中、市内のレストランやグルテンフリー食品ショップが参加して「レストランウィーク」を展開。29日には、クッキングスタジオを持つ調理複合施設「A PUNTO」でオープニングイベントを開く。取り組みは、農水省の補助事業を活用する。
2018年01月22日
3年連続「安全・安心」 「気象」「値頃感」アップ 18年農畜産物トレンド調査
流通業者がみる2018年の販売キーワード1位は、3年連続で「安全・安心」となった。日本農業新聞がまとめた農畜産物のトレンド調査で21日、分かった。順位を上げたのは4位の「気象」で、昨年の天候不順や台風の影響で野菜などが高騰したことから関心が高まった。6位に上昇した「値頃感」は、中・外食需要の対応を強める業者の回答が目立つ。景気は「やや良くなる」が3割強に伸びたが、「個人消費を押し上げるには至らない」とする見方が多かった。
18年の農畜産物マーケットのキーワード(複数回答)を業者に尋ねたところ、「安全・安心」が44%で最多だった。「出回りが増える輸入物との区別化で必要」(関東の青果卸)、「健康志向への対応で消費者から求められる」(大手スーパー)。2位の「おいしさ」と3位の「健康」も昨年から順位に変動がなかった。
4位の「気象」は昨年調査に比べ順位を一つ上げた。「異常気象が相場に及ぼす影響が増している」(関西の青果卸)、「米は作柄で全体需給が変わる」(大手米卸)との回答が並んだ。6位の「値頃感」は昨年の11位から急上昇した。食品全般が値上がりしたことで、価格安定を期待する声が根強い。
回答に新たなキーワードとして加えた農業生産工程管理(GAP)は9位にランクイン。2020年東京五輪・パラリンピックでの食材供給や、輸出を進める意識が表れた。昨年6位だった「機能性(表示)」は14位でトップ10圏外に落ち込んだ。
輸入品への対応も聞いた。「増やす」が4ポイント増の21%で、米や食肉を扱う業者でその傾向が強かった。「分からない」も16ポイント増の20%と伸びた。「国産の供給量次第で輸入品の扱いを決める」(関東の青果卸)など、農家の高齢化など国内生産基盤の弱体化を課題視する向きがあった。
景気は「やや良くなる」が11ポイント増の32%となった。「東京五輪に向けて回復する」(大手外食)とした見方が広がった。ただ最多は今年も「変わらない」で49%。「株価上昇だけでは個人の可処分所得は増えない」(食肉メーカー)「都市部と地方の格差が広がる」(中堅米卸)と冷静な受け止めもある。
部門別のトレンドを見ると、野菜は引き続き甘味の強い高糖度トマト「アメーラ」やジャガイモ「インカのめざめ」などの支持が強まる。果実も極早生ミカン「ゆら早生」など甘さが際立つ品種の注目度が高い。
米は相場回復を受けて「あきだわら」「萌えみのり」など多収米の取引要望が強まる。
畜産物は銘柄の取り扱いで販売を区別化する動きが加速する。昨年9月の第11回全国和牛能力共進会宮城大会で好成績を残した産地に注目が集まる。牛乳・乳製品は健康志向を追い風に「整腸作用」「低糖質」をPRした商品が売れ筋となる。
花きは「ウィークエンドフラワー」や「癒やし」など家庭需要の開拓が商機となりそうだ。
<メモ> 農畜産物トレンド調査
野菜、果実、米、畜産物、花の5部門で実施。スーパーや生協、専門小売店、外食、卸売業者など約300社の販売担当者に対し、昨年11月下旬~12月上旬にアンケート用紙を配布。計176社から回答を得た。今年で11回目。
2018年01月22日
[活写] 福 ますます増え升
2月3日の節分を前に、岐阜県大垣市の升メーカーで、県内産などのヒノキを使った升に文字を焼き付けた「福升」の製造が最盛期を迎えている。同市は国産木升の約8割をつくる日本一の産地。専門メーカーの大橋量器では68年前の創業以来、豆まきなどで使う福升を作っている。
岐阜や三重で伐採されたヒノキを使った一合や五合、一升などの升に、注文に応じて字体が違う11種類の「福」の字の焼き印を押す。売れ筋は五合升で、今月始めから25日ごろまでに約5000個を全国に送り出す。
大橋博行社長(53)は「福を呼ぶ縁起物としても伝え続けたい」と話す。(木村泰之)
2018年01月21日