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旧優生保護法

強制不妊手術9歳にも 宮城、未成年半数超

 「優生手術」と呼んで知的障害者や精神障害者らへの強制不妊手術を認めた旧優生保護法(1948~96年)の下、宮城県で63~81年度に手術を受けた記録が残る男女859人のうち、未成年者が半数超の52%を占めていたことが判明した。最年少は女児が9歳、男児が10歳で、多くの年度で11歳前後がいたことが確認され、妊娠の可能性が低い年齢の子どもにまで手術を強いていた実態が浮かび上がった。30日には15歳で強制手術を受けた同県の60代女性が、初の国家賠償請求訴訟を仙台地裁に起こす。

 宮城県が毎日新聞の取材に対し、優生手術に関する現存記録の一部内容を明らかにした。

 それによると、同県で63年度から19年間に優生手術を受けたのは、男性320人、女性535人、年齢性別不明4人で、そのうち未成年者は、男性191人(59%)、女性257人(48%)。手術理由のうち最も多かったのは「遺伝性精神薄弱」の745人で全体の8割超を占め、「精神分裂病」39人▽「遺伝性精神薄弱+てんかん」26人▽「てんかん」15人--などと続いた。また、知的障害や精神障害がなくても生まれつき難聴などの身体障害のある14人が手術されていた。

 同法に手術対象者の年齢制限の規定はなく、宮城県で手術を受けた859人のうち最高齢は男性51歳、女性46歳で、最年少は男児が10歳、女児が9歳だった。9歳の女児は2人で、いずれも不妊手術の理由を「遺伝性精神薄弱」とされ、63年度と74年度にそれぞれ手術を受けていた。また、毎年のように11歳の男女が手術を受けていた。

 年代別では、65年度の127人をピークに66年度108人、70年度94人、73年度33人などと減少傾向をたどっていった。

 旧厚生省の衛生年報や毎日新聞の調べによると、同意のないまま優生手術を受けた人は同法施行期間中、全国で1万6475人に上り、そのうち記録に残る最多は北海道の2593人で、宮城県の1406人▽岡山県845人▽大分県663人--などと続く。

 優生手術の執刀経験がある東京都の産婦人科医師、堀口貞夫さん(84)は、実名で取材に応じ、「現在の医学の見地からすれば、9歳の女児に不妊手術を施すのは非常識だ」としながらも、「当時は法律に基づいて手術をせざるをえなかった」と振り返った。【遠藤大志】

 【ことば】旧優生保護法

 ナチス・ドイツの「断種法」がモデルの国民優生法が前身。「不良な子孫の出生防止」を掲げ、障害を理由に本人の同意なしでも不妊手術を認めた。手術の必要性は医師が判断し、都道府県が設置する審査会が諾否を決めていた。手術を強制する際の身体の拘束、麻酔の使用、欺罔(ぎもう)なども認められ、手術を受けた人が結婚する場合、相手側に不妊手術の事実を通知するよう定めていた。

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