(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年1月26日付)
英ロンドンの英首相官邸前で、テリーザ・メイ首相(中央)と写真撮影に臨む新閣僚ら(2018年1月8日撮影)。(c)AFP PHOTO / Daniel LEAL-OLIVAS〔AFPBB News〕
「どうしてほしいのか、いい加減に教えてほしい」
欧州連合(EU)諸国はますます悲しそうな口調で英国にこう問いかけてくる。「はっきりしてもらわないと困る」。ブレグジット(英国のEU離脱)の最前線にいる企業も声を上げる。
しかし、ダウニング街10番地(英首相官邸)は沈黙を貫いている。無理もない。テリーザ・メイ首相はブレグジットについて、無策の策を取っている。
すべてその場しのぎでいく。難しい決断は先送りすればよい。2019年3月までにゴールにたどり着くことだけが重要になる、ということだ。
EU加盟27カ国との包括的な通商交渉など、一昨日までに完了しているだろう――。離脱派の閣僚がそう豪語していたのは、さほど昔のことではない。
ボリス・ジョンソン外相は、英国と近隣諸国の関係を解きほぐすのに2年かかるとの見方をあざ笑っていた。
現実があちこちに顔をのぞかせるようになり始めても、政府はやり方を改めるだろうという一見理にかなった期待があった。計画を立てるところまでいっているかもしれない、との期待もあった。
しかし、そんな計画など全くないのが実情だ。