中国人乗客の言い分がまとまっている、第一報を訳してみる。
24日夜、日本の成田空港発上海便が、上海側の天気が原因で24時間の遅延となった。航空会社の手配に不満を持った一部の乗客が警官と衝突、『義勇軍進行曲』(中国国歌)を歌って抗議までした。中国大使館が折衝を行い、空港に残っていた175人の中国人旅行者は帰国した。
香港東網の報道によると、事件に関連したのはカンタス航空傘下のLCC・ジェットスター。当初の予定では24日午後9時45分にチェックイン開始だった。しかし、乗客が搭乗口で30分待ったのち、航空会社は天気を原因に24時間遅延するとアナウンスしたのだ。
ジェットスター日本は5人の日本人乗客のみを案内し、その他175人の中国人乗客は放置された。また、航空会社は乗客に荷物を持って、食事や宿泊先の手配を自分で行うよう劣悪な態度を取っただけでなく、英語で「Get out」(出て行け)と何度も叫んだと報じられている。
2日目の未明、一部の乗客が出国エリア2階にある、食べ物を売る自動販売機に行こうとしたところ、航空会社の職員に阻止された。これが他の乗客の不満を買い、空港職員と言い争いから取っ組み合いへと発展した。
通報を受けて駆けつけた警察に協力するため、中国語の翻訳を出すよう求めたが、警察はこの要求を飲まず、乗客1人を連行した。この乗客は衣服も破れ現場は混乱した。一部乗客は『義勇軍進行曲』(訳注:中国の国歌)を歌い抗議した。
報道では、ジェットスターの女性職員が転倒したが、これは乗客がやったのだと話しているという。
一足飛びに国歌斉唱イベントが開催されるわけではないので、中国人乗客の不満がどこにあるか把握しておらず、騒動に発展させてしまっているのではないか。
りんご日報の報道によれば、ジェットスターは当初英語ができるスタッフを派遣し搭乗口から離れるよう説得したが拒絶され、ようやく中国語のできるスタッフを送り込んでいる。
日本人5人は自力で帰宅したが、日本人が優先されて案内されたと第一報の証言にあるように、なぜ日本人だけがいなくなったかについて説明はしていなかったのだろう。
中国人乗客が腹を空かせるなどして、ジェットスターと空港が設定したエリアから抜け出そうとしたのも当たり前の行動だ。
食事を与えておけばひとまず動きはコントロールできていたし、肉体言語のぶつかり合いには発展しなかった。
事件後、ジェットスターの関係者は「LCCは基本的に便がキャンセルになっても補償を行わないが、乗客たちは購入時に確認はしていないだろう」とメディアに答えている。それは大原則だが、対応が下手すぎる。過去、国歌斉唱に至った経緯を全く理解できていない。
乗客が大使館に連絡し、参事官が駆けつけてから態度が変わったと取られても仕方がない。事実、大使館の介入後にはチケットの変更を済ませ、25日には出発できるだろうと回答しているし、断っていた待合室の使用を許可している。また、朝には1000円分のミールクーポンを配布している。
費用は大使館が出すと請け合ったから事態が動いたのかもしれないが、対応が後手に回ると余計な憶測を呼ぶ好例だ。ジェットスターが騒動に関して、有効な反論を行っていないこともよろしくない。
ジェットスターは微博に公式アカウントを持っているが、騒動については「ご意見ありがとうございます」程度の内容しか書かれていない。実際はどうだったのかを説明しないと、乗客の言い分ばかりがメディアに出回ることになる。
この手の場合、人がキレるのは腹が減っている時と、差別を受けていると感じた時だ。カネを払ってくれている人間がどういう人種なのか、勉強しておいて損はない。
大使館はいつも通り、大使館の介入で全員無事に帰国した成果を誇る情報を公開した。同時に、乗客にも苦言を呈した。というか、ジェットスターの非は全く鳴らしていない。
LCCは低コストで運営されているため対応には限界があり、チケット変更が適宜できるわけではないこと、食事や宿泊先の手配に責任を負わないことなど、チケット購入時に確認しなければならない。大使館のおっしゃることはもっともだ。大きな声を上げて注目を集め、必要以上に権利を主張する手法は田舎者に多い。対応に当たった参事官も、「(国歌斉唱は)民族的な対立を煽り問題を激化させる」と非難している。
突発的な状況には理性的に対処し、過度の権利保護や不必要な法的争いは避けねばならない。
ただし、「強い祖国」を打ち出して、調子に乗る人民を量産しているのは中国政府なのだから自業自得としか思えない。普段旅行をする習慣が無ければ、旅行を制限するブラックリストに載せても意味がないから、罰金刑が文字通り身に染みて分かりやすいだろう。
他のLCC旅行者へも、大使館は一切介入しないと宣言するのも手ではないか。身に染みると思う。
==参考消息==
http://news.ifeng.com/a/20180126/55494083_0.shtml
http://www.nbd.com.cn/articles/2018-01-27/1187622.html
https://tw.appledaily.com/new/realtime/20180128/1287137/
http://www.fmprc.gov.cn/ce/cejp/chn/lsfws/lstx/t1529239.htm
ラベル:日中関係