海外のテレビ局のニュースをインターネットで見れば一目瞭然と思いますが http://ikaten.squidtv.net/ 、多くの国ではストレートニュースでBGMを流すことは例外的です。
しかし、例外はあります。音楽関係者に関するストレートニュースの場合はBGMとして関係者の存在を表現するためにあえて関係者のBGMを使用する場合があります。例:マイケル・ジャクソン裁判の報道など。
しかし、声や会話を聞くのが困難になるようなBGMの使用はしないのが原則です。
難聴など聴覚に障害のある方が放送を聴いている場合、わずかでもBGMがあると声や会話が聞こえなくなることがあり、幅広い人が知るべきニュース番組などでは障害者への配慮としてBGMを使用しないという原則を持つ放送局もあります。
演出としてBGMを使用する局もあります。しかし、BGMに限らず、照明やカメラフレームも含め、基本的にストレートニュースにおける演出は報道の公正性を疑わせると考えるジャーナリストは少なくありません。ただし演出そのものに関するニュースなど、例外もあるので一概にこれが絶対のルールだとも言えません。
ドキュメントバラエティーやリアリティショーではBGMを流す局もあります。が、演出過剰が指摘されていたりします。
モキュメンタリー、モック・ドキュメンタリーの場合は、それがモックであることを明示させるためにBGMを流すことがあります。が、これもやはり演出過剰が指摘されていたりします。
イギリスの場合、放送の自由という原則があります。放送は放送者の自律で運営され、政府が管理するものではありません。BGMの運用判断は、法令やガイドラインといった成文法や成文ルールによって行動を拘束しているのではなく、もっぱら経験とその時点時点での判断の蓄積・判例(法律的な意味では無く)により運用されます。ルールによってではなく、自律によって起立する、それがジャーナリズムの本質です。
ですから、ニュースでBGMをかけることはNG、そう判断するジャーナリズムがいる/いたという経験則・不文律それ自体がルールのようなものです。もちろん不文律ですので逸脱は自由ですが、逸脱すればかならず議論が起こります。その時に自分の行為を説明できるかどうかが問われることになります。逸脱と議論を繰り返して不文律が作られていくのです。
イギリスでは組織としてのルールは存在します。たとえばBBCにはEditorial Guidelines というコードがあります。しかし、これらのルールや倫理コードはあくまでもその組織のコードにすぎないので、個々ジャーナリストの報道の自由は保障されます。ジャーナリストが信念に基づいて事実を伝え報道に責任を持つ場合はコードの逸脱は許されるのです。とはいえ、そういう状況は例外的であり、かならず議論にさらされるとは言えます。
以下はイギリスにおける法令と主な基準コード。
法令
1990年放送法 1996年放送法 1998年人権法
1997年欧州連合テレビ放送に関する指令
欧州評議会国境を越えるテレビ条約
倫理コード・基準・ガイドライン
BSC:Code of Fairness and Privacy / Code of Standards (公正とプライバシー・コード/基準コード)
BBC:Producers’ Guidelines(制作者ガイドライン:BBCの価値と基準)
ITC: Programme Code (ITC 番組コード) Advertising Standards Code (ITC 広告基準コード)
BBCの場合
Editorial Guidelines
http://www.bbc.co.uk/guidelines/editorialguidelines/
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Guidance : Television Viewers With Hearing Loss, Guidance on
http://www.bbc.co.uk/guidelines/editorialguidelines/advice/viewe...
丁寧な回答ありがとうございます。
id:I11 さんの挙げられたBBCのEditorial Guidelinesで検索してみたら、「犯行シーンの再現(Crime Reconstructions)」の項において「not use incidental music or irrelevant sound effects.」という記述がありました。英語には弱くて、意図を汲み取るのにいっぱいいっぱいですが><
http://www.bbc.co.uk/guidelines/editorialguidelines/advice/crime...