Profile
氏名:Theodore Miller
1971年生まれ、アメリカ合衆国出身
早稲田大学での在籍期間:1991年~92年(ニューヨーク大学からの交換留学)
現職:(株) Empire Entertainment Japan 社長
兄は映画監督のベネット・ミラー氏(『カポーティ』『マネーボール』等)、長兄は同社NYの社長を務める。
・現在の仕事について。
Empire Entertainment Japanは制作会社で、色々なものをプロデュースしています。その中にライブ
イベントもありますが、映像、テレビ、CM、映画、キャスティング、マーケティング、コンサルティングなども
やっています。スタッフはみなプロデューサーという役割も果たしますので、顧客となる企業のための
ブランドをどうやって伝えていくかを企画した上で、自分から仕事を取りに行くケースも多くあります。
企業には広報部もあるし、顧客(既存顧客と新規顧客)もいるし、社員もいます。また、これから社員に
なりたい人もいます。イベント開催などのエンターテインメントコンテンツを使ってどうやって企業の目標を
達成していくかを考え、企画し、運営するのが私たちの仕事です。たとえば、大手企業の社員同士の交流
イベント、有名会社の新商品発売プロモーションイベント等です。イベントの準備を企業の代理として受ける
ことで、企業自体は展示の内容、発表などに集中することができます。そして、イベント開催にはマンパワー
が必要なので、こちらでスタッフの採用を行うこともあります。イベント以外の仕事としては、企業と一緒に
戦略を考えるマーケティング戦略のコンサルティングもしています。そして、エンターテインメントコンテンツ
を使って、ウェブ企画制作もやっています。
CM撮影現場
イベント開催の様子
・大学卒業後から今に至るまでの経緯をお聞かせ下さい。
ニューヨーク大学を卒業後は日本に戻り、電通に就職しました。その後、4年間Gatewayに勤務し、
そこで引き抜かれてLivedoorの社長になりました。2005年に現在の会社を立ち上げ、毎年少しずつ
社員を増やしていき、現在は11名の社員と5、6名のインターン生がいます。
・早稲田大学での留学時代の経験について聞かせて下さい。
またその経験は今どのように生かされているでしょうか?
留学中は「どうやって人と付き合うか?」について多くを教えてもらったと感じています。大学は本格的に
社交的になるはじめての機会ですね。私は「剣道同好会」と「虹の会」に所属していました。特に剣道同
好会の仲間との付き合いはとても貴重なもので、今もそのネットワークは続いています。何かあった時に
頼れる存在ですから安心感があります。ネットワークは社交的な人でないと作れないものですが、先輩と
後輩、同級生というネットワークが予め設定されていますから、会社に入ると、それはすごく生かされます。
先輩に対しての尊敬、後輩に対しての責任感など、先輩・後輩のあり方について学んだことは電通に
入った後でも生かされました。構造自体がネットワークであり、今も人との付き合い方において役立って
います。アメリカでは大学では必死に勉強して、高校時代に人との接し方について学ぶ機会が多いわけ
ですが、日本はアメリカとは逆の流れなのかもしれません。また、日本の会社では、入社してから仕事を
一から教えますから、専門知識のある人よりは、面白い人、これから伸びる人、能力があると感じた人を
採用する傾向にありますね。
・日本で就職したきっかけは何ですか?
早稲田での1年間の留学を経て、ニューヨーク大学に戻り4年生になりました。その時にたまたま
Japan Societyが主催していた全米の日本語スピーチ大会に出場したら優勝しました。その時の
賞品が日本航空のビジネスクラス往復航空券だったのです。その当時、私は電通ニューヨークに
インターンシップしており、社員の方から日本での採用試験にチャレンジしてみたらどうか?と
言われたこともあって、採用面接のタイミングに合わせてその航空券で日本に行き、電通から
内定をもらうことができたのです。
・最後に早大留学生へのメッセージをお願いします。
やりたいことがあったらまずはやってみる!ですね。これから社会に出ていく学生のみなさんは、生涯で
平均して7~8種の職種を経験すると言われています。私もこれまでの経歴や今の肩書(代表取締役でも
あり、プロデューサーでもマーケティング、営業でもある)も含めて、同時に6,7種の職種を経験している
ことになります。好きなことを探すのではなく、嫌なものを早く探す。そうすると、おのずと自分が何に生き
生きとするのかを見極められるようになります。そういう見極めができるようになるためにも、まずは頭から
飛び込むことです。そして、日本語能力を上達させること。日本人の中には、つたない日本語を話す
外国人を大目に見てくれる人もいますが、それに甘えてはいけないと思います。まずは日本語や日本
文化を日本人と同等レベルに持っていくこと、それは日本で仕事をする上での最低条件、ベースであると
思います。これは留学生だけでなく、海外で働く日本人にとっても同じことが言えるのではないでしょうか。
ミラー氏の事務所にて
以上