2016年11月21日

かけ算の順序を巡る話題

算数のテストで、かけ算の順序を間違えて、×にされたという話が、割と繰り返されている。
この点について、少々考えてみた。

【定義に立ち返る】

小学校の教科書によると、
5×3 は、「5を3回足したもの」
3×5 は、「3を5回足したもの」
ということで、意味が異なることになる。

意味が異なるから、当然、「前後をひっくり返しても答えは同じ」というのは、自明ではない。
厳密な数学の世界なら証明が必要だし、小学校でも「発見」の過程は通過するはずである。

なので、この定義に立ち返る限り、かけ算の順序は大切だということになる。


【ちなみに、数学的な定義は】

 数学の世界で、自然数のかけ算は、以下のように定義される(ペアノの公理系からスタートする手法)

A×1=A(1をかけても変わらない)
A×B=A×(Bのひとつ前の数)+A

※これは、日常的な言葉で言えば、「AをB回足したもの」というこになる。
 ただ、厳密には、B回足すということの定義が結構難しいので、こういう回りくどい定義になる。

例えば、

5×3 =
5×2(←3のひとつ前の数)+5=
(5×1(←2のひとつ前の数)+5)+5=
(5←定義から、5×1=5)+5+5=15

こんな感じの定義になっている。
厳密には、この式だけから、交換法則が成り立つことを証明する。

ただ、この定義は、「自然数」限定の定義である。
「前の数」などという言葉が出てくる定義を、有理数や無理数のかけ算にそのまま適用することはできない。
ならば、有理数や無理数はどう扱うのか?
実は、これ以降は、「かけ算の拡張」が行われる。

例えば、有理数(分数)のかけ算は、
b/a × d/c = (b×d)/(a×c)と定義される。
(a, b, c, d は整数なので、かけ算が定義されていることに注意)

そして、今、整数 N を N/1, M を M/1 と同一視すると、この、「有理数におけるかけ算の定義」は、「その部分集合である、整数に対して適用するときには、整数のかけ算と全く同じ」ということを証明し、「かけ算の有理数への拡張」とする。

というわけで、数学全体から見れば、自然数(少なくとも整数)の範囲を超えた時点で、「かけ算の順序」は無意味になる(少なくとも、その意味は希薄になる)のは確かである。
だからといって、かけ算の初学で、自然数においてもかけ算の順序は無意味であるとはいえないわけである。

【不意打ちではない】

 この話題の発端というのは、多くの場合、「子供がテストで×をつけられた」というところからスタートするような気がする。それを見た親の立場で、「かけ算の順序なんてどうでもいいもので、×をつけるのはどういうこと?」という流れのようだ。
 ただ、これは、何もそのときのテストで、いきなり、「間違いです」と言われたわけでもないというのは、わかっていただけるといいかなという気はする。

 そして、もしも、「このテストの判定はおかしいのではないか?」と思ったら、まずは、教科書を確認して欲しいと思う。
 学校では、どういう意図を持って、何を(計算方法なのか、定義なのか)教えているのかがわかっていただけると思う。
 さらに、教科書に載っている事項と言うことは、そのテスト以前に、教えられているはずだということも、わかっていただけると思う。

 確かに、「教える事項や方法は、それで妥当なのか」という議論はあるだろう。でも、少なくとも「何を意図しているか」を知るのは大切だと思う。また、「テストでいきなり理不尽な扱いを受けた」訳ではないことは、これまたわかっていただけると思う。
 それは、授業で確かにやった(はずの)内容だから。

【出題のテクニック】

 この項目は、憶測である。

 かけ算の順序が間違うというのは、文章題の回答樽と思う。
 そして、小学校低学年に文章題というのは、案外ハードルは高い。
 勢い、一定割合の児童は、問題文を読み解くことなく、「問題に出てくる数字を順番に式に割り当てる」という方法で対応することになる。
 例えば、「一本5円の鉛筆を3本買いました。いくらですか?」なら、「正解」も「問題に出てくる数字を順番に割り当てる」でも、5×3=15と立式される。
 しかし、「鉛筆を3本買いました、1本5円でした。いくらですか?」なら、「正解」は、5×3=15になるし、「数字を順番に割り当てる」だと、3×5=15という立式になる。

 だから、「かけ算の順序などというどうでもいいことで×にされた」というよりも、「題意を理解できてなくて、単に数字を順番に割り当てて問題を解こうとしている」という傾向に注意すべきかもしれないのだ。

【追記・マイナス×マイナス=プラス?】

本稿に関連して、これも、よく見られる質問で、「マイナス×マイナス=プラス」になるのはなぜか? というものがある。
これを読むたびに、本当は、そこでつまずくのではなく、もう一つ前の段階でつまずいて欲しかったなと思ったりする。

上述の「かけ算の定義」によれば、例えば、
(-3)×5は、「-3を5回足すこと」である(マイナス×プラス=マイナス)
これは、比較的わかりやすいと思う。

次に、
3×(-5)は、「3を(-5)回足す」ことになる。
-5回足すというのはどういうことなのだろうか?

この謎が理解できれば、
(-3)×(-5)は、「(-3)を(-5)回足すこと」の意味で、プラスになるのは容易にわかる。

つまり、マイナス×プラス と プラス×マイナス は、考え方としては、後者の方がかなり難しい。
そして、プラス×マイナス が理解できていれば、マイナス×マイナスは、今度は自然に理解できる。

こういうところでも、初期に習ったかけ算の概念が、薄くなっていることは感じられたりする。
posted by 麻野なぎ at 12:28| Comment(19) | TrackBack(0) | 誤解される数学
この記事へのコメント
失礼します。

>少なくとも「何を意図しているか」を知るのは大切だと思う。

なるほど。しかしそうであるなら、掛け算順序を批判する人が何を意図しているかを知るのも大切ではないでしょうか?
Posted by 積分定数 at 2018年01月24日 15:57
コメントありがとうございます。

もちろん、換え算の順序を批判する人の意図を知ることは大切だと思います。

さて、この、「何を意図しているのかを知るべき」というのは、

> 「子供がテストで×をつけられた」というところからスタートするような気がする。それを見た親の立場で、「かけ算の順序なんてどうでもいいもので、×をつけるのはどういうこと?」という流れのようだ。

という文脈で書かれた文章です。
ですので、当然、「何を意図しているのか……」というのは、「テストで×をつけられた、かけ算の順序などどうでも良いではないか」という立場に対して書かれているものです。

少なくとも、交換法則が成立するから順序はどうでも良いという主張に対す縷々回答にはなっていると思います。

2の3倍と、3の2倍が等しいことを証明するのは、私には「ちょっと難しい」範疇に入ります。

小学校では、交換法則を「発見」するわけですが。
Posted by なぎ at 2018年01月24日 16:35
説明不足の点がありましたので、再び。

> 少なくとも「何を意図しているか」を知るのは大切だと思う。

ここで述べている「意図」は、「かけ算の順序を重視する人々の意図」というよりは、「教科書編集者の意図」です。

意図ですから、主張自体ではなく、その主張の背景にあるものでして、ここでは、「かけ算が、もともと、『何倍』を求める計算であることを強調したい」というのが、その意図になると思います。
Posted by なぎ at 2018年01月24日 17:49
>ここで述べている「意図」は、「かけ算の順序を重視する人々の意図」というよりは、「教科書編集者の意図」です。


そういう点も含めて、掛け算順序を批判している人は調べ上げています。

ここに挙げられているのは教科書会社や大学付属小の例です。
https://togetter.com/li/901635

掛け算順序議論は、「バツにされた。なんで?」がきっかけですが、議論はその先を行っていることをご理解ください。
Posted by 積分定数 at 2018年01月24日 21:57
確かに「その先」の議論はありますし、それはご指摘の通りです。

ただ、それは
> 確かに、「教える事項や方法は、それで妥当なのか」という議論はあるだろう。

の領域かと思います。
そういう議論はあるわけです。

この記事はそれに対する当方の主張であり、発端となった、「意図を知る必要」とは、「バツをつけられた、答えは同じなのに」というお話に対するものであることをご理解ください。

この記事の主張は、「基本的なかけ算の意味づけとして、2×3 と 3×2 の意味合いは異なる」というのみです、
Posted by なぎ at 2018年01月24日 22:26
横からで失礼します。
掛算の順序には、「意図がある」というご主張ですね。

貴ブログの過去の記述
 http://koko.axis.blue/article/96103165.html

 「 1680kcal を仮にすべて砂糖で得るとしたら何g摂ればいいか」
という問題で

 「 1680÷387×100=434g 」

という式を書かれています。
これは、小学生に教えられている「単位のサンドイッチ」に違反している
のではありませんか?

( 画像による説明 → https://twitter.com/golgo_sardine/status/956883160951767041
( 単位のサンドイッチについて → https://www64.atwiki.jp/proper/pages/24.html

式の意図を掛算の順序にこめて表すというやり方は、
「 子どもには守らせるべきだが、成人は守らなくてもよい 」
というご意見なのでしょうか?
Posted by ゴルゴ・サーディーン at 2018年01月26日 22:49
コメントありがとうございました。

さて、

> 掛算の順序には、「意図がある」というご主張ですね。

いえ、この記事における、「意図がある」という主張は、直接、「かけ算の順序」についてのことではありません。
実際、そういう主張であれば、かけ算の順序には「意味がある」と書くと思います。

実際には、この文章は、

> そして、もしも、「このテストの判定はおかしいのではないか?」と思ったら、まずは、教科書を確認して欲しいと思う。
> 学校では、どういう意図を持って、何を(計算方法なのか、定義なのか)教えているのかがわかっていただけると思う。
> さらに、教科書に載っている事項と言うことは、そのテスト以前に、教えられているはずだということも、わかっていただけると思う。

を受けています。
だから、こどもがかけ算の順序を間違えて×をもらったら、

[正しい対応]
・こどもが×をもらった
・教科書にはどうかいてあるんだ
・そうか、教科書はこう書いてあるのか
・これは、こういうつもりで書いているんだな(ここが、「意図を知る」部分)
・でも、この考え方は受け入れがたい
・なぜなら……

ということになると思います。
そしてまた、真面目に「かけ算の順序を否定」している人達の多くは、こういう論調になっていると思います。

[間違った対応]
・こどもが×をもらった
・かけ算の順序が違うくらいで×なんて(自分の常識にはないから)間違っている。
・ここで終了

です。
「意図を知る」ということは、「反論を述べる」ことの必要条件だと認識しています。


次に、

> 式の意図を掛算の順序にこめて表すというやり方は、
>「 子どもには守らせるべきだが、成人は守らなくてもよい 」
> というご意見なのでしょうか?

これについては、「まあ、その通りです」というのが、私の主張です。
実際に、この記事においても、

> だからといって、かけ算の初学で、自然数においてもかけ算の順序は無意味であるとはいえないわけである。

「かけ算の初学で」 と限定しています。
実際、交換法則を証明するか、それでなくても、気づいた後であれば、計算するのに順序は大きな問題ではないでしょう。

ついでに言えば、かけ算の本来の意味を踏まえた上での、「順序」には、意味があると思っていますが、それを教えるための、「単位のサンドイッチ」には疑問を持っています。

1皿5個のいちご3皿分を
5個×3皿 と立式すると、答は、15個・皿になります。
単位のサンドイッチを成立させるためには、3皿が、無名数である必要があります(実際、「3倍」だと、比率なので、無名数を見なせます)
文章題で、無名数を出すのは困難ですから、これは、後々の単位の計算を含めて考えると、むしろ、副作用が大きいかなと思います。

もちろん、正しくは、
5個/皿×3皿 = 15個
でしょう。


ということを踏まえた上で、

1680÷387×100=434g
という式について。

これは、もともと
・1日の所要カロリー(単位 cal/day)
・砂糖の 100g 当たりのカロリー(単位 cal/100g)
・1日の砂糖摂取量(単位 g/day)
の関係を示したものです。


これも、正しく単位をはめ込むと、

1680kcal/day ÷ 387kcal/100g × 100 = 434g/dayです。

・kcal/100g は便宜上これだけでひとつの単位と考えてください
・最後の ×100 387kcal/100g の単位を合わせるための係数(例えば、% 計算において、数字のつじつまを合わせるための 100)で、無名数です。

なので、桁数を合わせるためにおいてある無名数の 100 を除けば、

kcal/day ÷ kcal/g → g/day

となり、厳密には、「単位のサンドイッチは不可」となります。

100が無名数であるということが納得いかないと言うことであれば、
1680kcal/day ÷ 3.87kcal/g = 434g/day
であれば、自然に見えるかもしれません。

このように、「単位」という物を考える範囲で、例えば、100g 当たりの カロリーと、1日あたりのカロリーは、意味が異なるので、詳細に考えると、別の単位が割当たっていたりします。

こういうことも含めて、安易に「単位のサンドイッチ」のような指導をすることには、賛成できません。

ちなみに、「単位」について、もう少しきっちり指導ができていれば、「速度の問題がちんぷんかんぷん」という人達を減らせるだろうと這お思います。

正確な単位を認識していれば、それだけで立式できる問題が結構ありますから。
Posted by なぎ at 2018年01月27日 09:33
補足です。

Twitter でご提示していただいている式、

100g × (1680kcal/day ÷ 387kcal/100g)となって、答として、g という単位が引き出せません。
これは、487kcal/100g という単位の中に、「100」g が入っているからで、本来は、

1680kcal/day ÷ 3.87kcal/g = 434g/day という関係になるはずです。
この意味でも、最初の 100 は無名数であるのが正しく、そもそも、単位のサンドイッチはできないという事になると思います。
Posted by なぎ at 2018年01月27日 09:45
さらに補足です。

> 1680kcal/day ÷ 387kcal/100g × 100 = 434g/dayです。

で、最後の100が無名数であることが、あるいは、わかりにくいかもしれません。
これは、kcal/100g という単位を使ったことがその原因だと思いますので、

1680kcal/day ÷ 387kcal/hg = 4.34hg/day
という式にしてみようかと思います。

hg の h は、気象情報でおなじみの hPa に出てくる h と同じ物で、100倍を表します。

この式は正解なのですが、答が、hg/day というなじみのない単位になっています。
これを、g/day という知られた単位に直すためには、100倍して hg → g に単位換算する必要があります。
で、答は、4.34hg/day × 100 = 434g/day です。
上の式の最後にある 100 は、ここで出てくる 100が書き込まれている物で、実質的には、hg → g (つまり、100g → g)の単位換算を行うための係数ですから、無名数です。
Posted by なぎ at 2018年01月27日 10:41
解説ありがとうございます。
ひとつ確認させてください。
 「 4.34 ヘクトグラム を グラムに換算する 」
というとき、

  4.34 × 100 = 434 が正しく、

  100 × 4.34 = 434 は間違い( or “望ましくない” )

というご意見ですか?
Posted by ゴルゴ・サーディーン at 2018年01月27日 18:36
まず、カロリー計算の式で 100が無名数であることは納得いただけたでしょうか?

> 4.34 × 100 = 434 が正しく
>100 × 4.34 = 434 は間違い( or “望ましくない” )
> というご意見ですか?

「単位換算」の表記としては前者が多く、100を「係数」と考えた場合は、後者の式になると思います。

なので、式だけを見れば、どちらでもいいということになると思います。
Posted by at 2018年01月27日 19:39
ここでもう少しまとめます。
この記事の主張は
・掛け算の素朴な意味を学ぶ初学者の段階では、掛け算の意味に伴う、式の順序を気にすることは意味がある
・素朴な意味とは2×3を、2を3回足すととらえること。
・ついでに言えば、「単位のサンドイッチ」は、掛け算の意味を踏まえた式の順序を説明するというより、意味はどうでもいいからテストで○をもらえる書き方をするコツで、掛け算の意味をむしろないがしろにしている。
・さらに単位の扱いが不十分でかつ不正確なので、「単位のサンドイッチ」は疑問。
・係数を考えるレベルでは、そもそも素朴な掛け算からはみ出しているので、そもそも式の順序はどうでもいい(でも,それとは別に係数は前という決まりはある)
・3.45hg/day を 345g/day に換算する式は、そもそも、3.45hg が 100個ありました……という問題ではなく、換算係数の問題。だから、それは素朴な掛け算の範疇ではなく、したがって、式の順序はどうでもいい。

まあ、こんな感じです。
記事の内容から逸脱していないと思います。
Posted by なぎ at 2018年01月27日 20:18
>まず、カロリー計算の式で 100が無名数であることは納得いただけたでしょうか?

そこは納得していません。
が、それよりも、単位の換算の方が分かり易いと思うので、こちらを優先させてください。

 >「単位換算」の表記としては前者が多く、
 >100を「係数」と考えた場合は、後者の式になると思います。

では、単位の換算ではどちらでも良いというご意見ですか?
( 最初は、4.34×100 が望ましいという様に読めましたが )

この掲示板でのやりとりで登場した回答者とは、意見が違うようですね。

http://6828.teacup.com/amajima/bbs/139
http://6828.teacup.com/amajima/bbs/142

「 8cm を mm に換算する 」というとき、10×8 が正しいと言っています。

(この掲示板は、本サイトが消滅してしまいました。
 回答しているのは(名前で見る限り)そこの管理人です。)
Posted by ゴルゴ・サーディーン at 2018年01月28日 08:35
このリンク先の回答で、
 「 10 と 8 の両方に長さの単位を付けたままなのは間違い 」
という事も言っていて話のスジがぼやけそうになりますが、

本筋は
 「 8cm を mm に換算するとき、掛算の順序が片方だけが正しい
  などという事があるか?」
という問いに
 「 10 × 8 が正しい 」
と答えているという事です。

また、この回答者は「単位のサンドイッチ」(という言葉は使わなかったが)
についても、「ここだけを見れば正しい」としています。
Posted by ゴルゴ・サーディーン at 2018年01月28日 08:44
その掲示板とのやりとりとは意見が違います。
その根拠は、「まとめ」に書いたとおりです。

また、カロリー計算の100が無名数であるのは、単位をkcal/hg にするだけで、100という数字がなくなることで、わかるはずです。
どのような単位の組み合わせを用いても、これ以外に消える数字はありません。

さらに、こちらのブログでは、「単位のサンドイッチ」は疑問としています。
このブログの意見と、「単位のサンドイッチ」は正しいとするブログの意見は同じだと考える方が、不自然だと思います。
Posted by なぎ at 2018年01月28日 10:03
さて、カロリー計算で、100が無名数であることが納得できないと言うことでした。
では、Twitter で提示いただいた

> 100g × (1680kcal/day ÷ 387kcal/100g)

の答の単位が、g になるということを説明してください。
おそらく、元の発想では、
100g × (1680kcal ÷ 387kcal)という式で、カッコの中が、全体として無名数になり、だから、答の単位は g で、全体として、「単位のサンドイッチ」の例になっていると言うことだと思います。

しかしながら、1680kcal は、「1日当たり」、387kcal は、「質量100gあたり」です。
ですので、1680 を 387 で割った答は、無名数にはなりません。

これは、物理の分野で「次元解析」を行えばわかりやすいのですが、「1日当たり」は、時間量であり、「質量100g当たり」は、質量の単位ですから、
kcal/day ÷ kcal / g → g / day という質量÷時間の物理量を必ず持ちます。

これを踏まえた上で、最初の 100g が「質量の単位を持っている」とすると、式の答えは、g という単位にならないことを判っていただければと思います。

別の考え方をすれば、

> 100g × (1680kcal/day ÷ 387kcal/hg)

は、結果を g 単位で得たい場合の計算式です。
もちろん、結果を hg 単位で得るためには、
(1680kcal/day ÷ 387kcal/hg)
だけでOKです。

結果を kg 単位で得るのであれば、
(1/10) × (1680kcal/day ÷ 387kcal/hg)
になります。

なぜ、同じ条件で計算をしようとするのに、答の単位を変えただけで、g を伴った物理量が変化するのでしょうか?

これは、これが、物理量ではなく、単なる単位変換の係数(つまり、無名数)であることを意味しています。

さらに、g という単位と、hg という単位の関係です。
x hg = 100x g という計算式が当然成り立ちます。
形式的に変形すると h = 100 という無名数になります。
この 100 というのは、hg という単位と、g の単位の比です。

さて、先ほど、kcal/day と kgal/hg の割り算は無名数にはならないと言いました。
それは、day という 時間量を、hg という質量で割るためです。

hg と gの場合はいずれも質量数という(物理的に)同じ次元を持つ単位なので、割り算の結果は、比であるところの、無名数になります。
Posted by なぎ at 2018年01月28日 10:47
ちょっと思いついたので補足を。
kcal/day を kcal/hg で割ったものが無名数にならないのは、ガソリンの燃費の話題で、km/l を km/円 で割ったものが無名数にならないのと同じです。
10km/l は 0.1km/円の100倍というのは意味を持ちませんから。
10km/l ÷ 0.1km/円 = 100円/l という単位と意味を持ちます。
同じように、kcal/day を kcal/hg で割ったものも、hg/day という単位を持ちます。


ここまでは、単位の取り扱いについでです。
本題から言えば、「単位のサンドイッチ」は疑問 と主張しているのに、単位換算の式の順序を問われるということが、少々不思議です。
分かりやすいように
・単位のサンドイッチの考え方は間違い
・素朴な掛け算の意味を超えた時点で式の順序は気にしない
と、明示したつもりでしたが。

ちなみに、素朴な定義の掛け算(同じ数を何個か足しあわせる)と同じ計算方法が、単位換算や一般的にスケーリングの計算に使えるというのも、説明は結構難しいと思います。
Posted by なぎ at 2018年01月28日 11:40
 >さらに、こちらのブログでは、「単位のサンドイッチ」は疑問としています。
 >このブログの意見と、「単位のサンドイッチ」は正しいとするブログの意見
 >は同じだと考える方が、不自然だと思います。

それだけ確認できれば、私としてはじゅうぶんです。

「 貴ブログの言う“素朴な掛算”の範囲内で順序統一する、とういう人々が、
  『高学年・もっと複雑な問題でどうするか』で一致していないのですから、
  保護者として、困惑するばかりである 」

という事をお伝えしたい、それだけです。

「 掛算の順序は、スカラーに限り、どうでも良いとするのが正しい 」の人々
には、こういうブレがありません。


 >しかしながら、1680kcal は、「1日当たり」、387kcal は、「質量100gあたり」です。
 >ですので、1680 を 387 で割った答は、無名数にはなりません。

その説明は、受け入れることが出来ません。
問題のとらえ方次第ですが、
 「 100g の砂糖で 387kcal が得られるとした場合、
   1680kcal を得るには砂糖が 何g 必要か」
という問題ともとらえることが出来るはずです。
Posted by ゴルゴ・サーディーン at 2018年01月28日 18:39
> 問題のとらえ方次第ですが、
>「100g の砂糖で 387kcal が得られるとした場合、
>1680kcal を得るには砂糖が 何g 必要か」
>という問題ともとらえることが出来るはずです。

そういう問題であれば、その通りです。
その問題だと、「一日所要量」という情報が含まれませんから。
Posted by なぎ at 2018年01月28日 19:53
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