<22万円で落札された理由> 2017年の10月――
1台で11種類のレトロゲームが遊べる究極のゲーム互換機「レトロフリーク」の中古品が22万円で落札される事案が発生していた。
※レトロフリーク コントローラー付 ファミコン/スーファミ/スーパーファミコン/ゲームボーイ/ゲームギア/PCエンジン/メガドライブが遊べる(ヤフオク!) なぜこのような高値になったのか。
ここで注目すべきなのは「オークションの説明文」である。以下引用。
ソフトは合計4665本が収録されています。
oh...
<使用許諾の存在> WEB上で公開されているレトロフリーク使用許諾によれば「ゲームがインストールされた本製品を第三者に販売、貸与、譲渡等すること」は禁止されており、その際は必ず削除するよう呼びかけると共に、場合によっては
著作権法違反で刑事・民事の責任を問われかねないことが明記されている。
画像:レトロフリーク公式サイト「使用許諾/ライセンス」より この出品者はそのようなルールを知らなかったのだろうか?
むしろ使用許諾や契約書の類をきちんと読んでいるユーザーは少数派かもしれないが、ファミコン誕生以来「海賊版を販売して逮捕」というニュースが紙面を騒がせたことなど一度や二度ではないはずだ。ましてや大量のソフトがインストールされたゲーム機(及び記憶媒体)を売りさばく行為が、犯罪行為でないわけがない。
しかしオークション説明文を読み進めると、さらに驚くべきことが書かれていたのだ。以下引用。
わたしはゲームコレクターで20年かけて集めてきたソフトを2年以上かけて、こつこつとこの本体に取り込んできました。ソフト集めに総額800万円以上かけたと思います・・・。色々な事情で、このたびなくなく手放すことにします。
開いた口がふさがらないとはこのことだ……
<問われるユーザーの善意> そもそもレトロフリークは発売前から「実質的にマジコンでは」という声もあり、頑なに導入をこばむレトロゲーマーも少なくない。最近ではこんな
不穏なニュースがあったことも留意しておかなければならないだろう。

今回の件のようにゲームソフトがインストールされたまま気軽に販売できてしまう
悪用性の高さは、販売前から指摘されていたことだ。しかしながら「世の中でもっとも人間をころしている道具」だからと言って自動車が販売禁止にならないように、悪用できるからといって、即、ダメですということにはならないはずである。
そこは完全に「ユーザーの善意」に委ねられる部分なのだろうか。私オロチはさっそくサイバーガジェット社に見解を伺ってみたが、回答は得られたものの
転載及び二次使用は不可ということで、そのやりとは公開できなかった。(ガックリ)
テンプレ回答だったとだけ言っておこう……
<過去の事例> そこで、弊ブログではレトロフリークの販売が開始された2015年10月から2018年1月までのオークションデータを調査することにした。すると、このような不正転売が始まったのは2017年の9月頃だったことが判明したのである。
以下に主な取引例を挙げておこう。

いずれもタイトルや本文、あるいは画像で複数のゲームソフトがインストールされている状態であることが明示された上で販売された例である。もはやそれを商売にしているIDも見られることは指摘しておかなければなるまい。
<まずは周知徹底を!!> このような現状を眺めていると、奇しくも漫画村問題で表層に露出した感のある「エンタメコンテンツは無料が当たり前」と思ってる世代の存在を私は想起せざるを得ない。あれはまだマジコンが猛威を振るっていたころだったか、私はとある同級生に
「R4ってどこで買えるの?」と聞かれて絶句したことがあった。

一切悪びれる様子もなく「子どもが欲しがっている」「友だちみんなやってる」「それがあればゲームがたくさんできる」と力説する彼女の瞳からは、母親として誠実に子どもと向き合おうとする気概すら感じたのだ。勿論「それはダメな使い方だよ」と丁寧に説明したのだが、何だかバツが悪い空気になってしまった苦い思い出がよみがえる。
レトロフリークの不正転売にしても、いったいどんな人間がどんな思いで落札しているのかは知らないが、まずは「ダメなことなんだ」と
周知徹底することが第一歩になるのではないか。なぜならダメなことだと知っていながら買う人間に「ダメだ」と言ったところでやっぱり買うだろうが、知らない人間に「ダメだ」と言ったら、もしかしたら買うのをやめるかもしれないからである。
いずれにしても、先人たちの努力とアイデアの結晶であるゲームソフトの価値を、不当に傷つける行為など許されるはずもない。ましてやそのような人間がゲームコレクターを騙るなど言語道断だ。メーカーをはじめ、しかるべき機関がすみやかに対処してくれることを願うばかりである。
|  | ゲームには少しずつ買い集める っていう楽しさもあるよね! |
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やろうと思えば著作権フリーのソフト1本だけでコピーして、タイトル名を変えることも可能だし、画面だって他のものに差し替えも可能。著作権フリーのソフトだらけの本体を高額で買ったとしても、どこに訴えることもできないから。リスクあるよ。
文句言われても、規約にそういうことはやっちゃだめって書いてますよで、終わるし…
あと規約読むと、本体に記録させた場合はどうなんだろ?規約的には書いてないような気がしないでもない。そもそもGPL問題を逆に指摘されて、規約自体無効だろとか言われたどうすんだろ。とはいえ、著作権違法は規約に関係なく刑事沙汰、裁判沙汰になるけどさ。
あ、でもこういうのって私的複製に当たるんだろうか?ゲームはプログラムなのか、映画なのか問題も絡んでくるか。