「銀の匙 Silver Spoon」14巻に登場した、別府くんのチーズナンを再現しました。
ばんえい競馬場でのピザ販売会に向け、それぞれ試行錯誤する八軒たち。
ベーコンの味は? ピザ生地に使う小麦粉は? 宣伝は? …と、悩みどころにキリはありません。
学生の身といっても、そこは「起業」。手抜き一切なし、それぞれがすでに食のプロフェッショナルの顔です。
考えすぎてみんなが空腹になったなか、別府くんがその場にある「小麦粉とチーズ、調味料」だけで、さっと作って振る舞ったのが、このチーズナン。
※【コマ引用】「銀の匙」(荒川弘/小学館)14巻より
「俺式なんちゃってナン」と言うように、タンドール窯で焼くようなガチのナンではありません(エゾノー生徒ならそれもやりかねないけど)。
フライパンで焼き上げるお手軽版ですが、この「ありもので作る即興感」が、なんとも美味しそうなのです。
ちなみにもうひとつポイントは、生地にヨーグルトを混ぜること。
そう、9巻にも出てきたあの常盤くん自慢の「男風呂ヨーグルト」がここでも再登場です。
※【コマ引用】「銀の匙」(荒川弘/小学館)9巻より
説明しよう。男風呂ヨーグルトとは。
農場からもらった生乳をじっくり低温殺菌し、種菌(市販のヨーグルト)を少量混ぜて容器に入れ、寮の男風呂に一晩ぶちこんで
せっかくなので、今回はこの男風呂ヨーグルトから再現してみます。
最初は普通の市販の牛乳でヨーグルトを作るつもりでしたが、常盤くんのように「農場搾りたて」の牛乳を手に入れる方法はあるのか……気になって調べてみると、どうやら日本で唯一、それに近い生乳があることを知りました。
写真左の「想いやり生乳」がそれです。
一般的に市販される牛乳は殺菌のため熱処理を加えられていますが、これは特別な方法で飼育することで、無殺菌の搾りたてのまま販売できるのだとか。
ちなみに720mlで1700円くらいします…(東京だと新宿の伊勢丹にたまに置いてる)。
そのまま飲んでみると、いわゆる「牛乳臭さ」が一切ないことにびっくり。あっさりしていて、牛乳苦手な私でも抵抗を感じない爽やかな味です。
これを40度くらいに温めてから、種菌(市販のヨーグルト)と一緒にペットボトル(消毒済み)に入れます。
そして風呂へイン。
人生2~3度目の風呂調理ということもあり、タマコと吉野さん同様にもはや抵抗感はあまりない。
一晩置けば、男風呂ヨーグルトの完成であります。
(※今回は作中にあわせてペットボトルで作りましたが、消毒が大変なので、熱湯消毒できる耐熱容器のほうがおすすめです)
出来上がりを見ると、温度管理が甘かったのかかなりゆるめになったけど、キッチンペーパーで水切りすれば立派にヨーグルトとして使えます。
さてようやくナンづくり。
作り方:(※分量は参考まで。ナンは直径15~16センチのものが2つ分できます)
ボウルに強力粉(150g)にベーキングパウダー(小さじ2)、塩ひとつまみを加えて泡だて器などでよく混ぜる。ここに水80cc+ヨーグルト50gを混ぜたものを足し、全体がまとまるまで1~2分こねる。
生地が多少ベトついても気にしなくてOK。
何度か作ってようやくわかったけど、パンと違って、ナンは「雑なマインド」で作るほうがうまくいく気がする(特にベーキングパウダーで作るタイプは)。
丸くまとめてラップして30分ねかせてから、生地を2分割してそれぞれ丸く伸ばします。
中央にチーズをどっさり乗せます。
今回は中島先生リクエストのブルーチーズ少量と、シュレッドチーズ、モッツアレラチーズ。
もうひとつの生地には、ブルーチーズのかわりに別府君おすすめの炒めた玉ねぎをトッピングします。
チーズを包んだらおまんじゅうのように一度丸くまとめて、
綿棒で伸ばします(今回は15センチ程度)。
あらかじめよく熱したフライパンに生地を入れ、フタをして中火~弱火に切り替えて焼きます。
両面が焼けたら完成。仕上げにバターを塗るとツヤが出ておいしそう。
カットするときは刃渡りの長い包丁か、ピザカッターがきれいに切れます。
確かこっちがブルーチーズ入りで、
こっちが玉ねぎ入りだったはず(わかんないですね)。
モッツァレラチーズを入れるのは、Twitterでいただいたアドバイスだったのですが(ありがとうございます!)、切ったときにチーズがよく伸びてテンションが上がるのでおすすめです。
熱々をいただきましょう。
ふっくらしたナン生地に、トロトロのチーズがたっぷり。ブルーチーズ入りは大人の味で、ワインとか欲しくなってしまうし、玉ねぎ入りは甘みがプラスされて手が止まらない。
小麦粉とチーズと調味料、それだけあればこんなに美味しい軽食ができる。
エゾノーの生徒たちが毎回教えてくれる、「料理は知恵と行動力」という一点が実感できた料理でした。
食べかけですみません。
カレーがあれば、なお幸せになれます。
14巻はアキちゃんの受験とかその後の告白とか、学生ならではの甘酸っぱさ盛りだくさんで、いろいろ忘れてしまった気持ちを思いださせてくれる巻だったなー。
コメント
コメント一覧