「会社四季報」売り上げ5割増、重版も-個人が再び日本株に熱視線
日向貴彦日本株投資のバイブルとされている「会社四季報」新春号の売り上げが、前年同期比で5割強増えたことが分かった。今年に入り、個人からの証券会社への問い合わせが急増、日本株への投資熱が見え始めた。
「会社四季報」を発行する東洋経済新報社によれば、新春号(2017年12月15日発売)の売れ行きが好調だったことから発売1週間で重版を決定したという。発売から1カ月の売り上げは、秋号(9月発売)と比較しても3割から4割伸びた。
日経平均株価が26年間の最高値を付ける中、個人投資家によるトレーディングは増加している。日本取引所グループの公表データによれば東証など主要市場での1月第2週(9-12日)は、1775億円の買い越しに転じた。昨年10ー12月の個人による総売買代金は81兆円と、前年から33%増えている。
東洋経済総務部の加藤正俊担当部長は「会社四季報」の売れ行きについて、「在庫がなくなりそうな勢いで販売が好調だったため増し刷りを決定した。株価が上がって個人投資家の動きが活発になってきているのだろう」と述べた。
Trading More Stocks
Equity transactions by Japanese individuals rebounded last year
Source: Japan Exchange Group Inc.
「会社四季報」の創刊は1936年。2000ページにもおよぶ冊子には、全上場企業の所在地や従業員数、主幹事や取引銀行について、また財務情報や株主一覧、株価チャートなどが掲載されている。定価は2060円。
書店では売り切れも
日本橋・兜町にある雄峰堂書店の森山篤外商チーフは、「40代から60代を中心に営業マンや個人投資家などが株関係の本を買い求めている。男性が多い」と述べた。また、文字が大きく見やすい「会社四季報ワイド版」を買う高齢者が多く「一度売り切れた」と話した。25日までに300部以上売れたという。
野村ホールディングス、大和証券グループ本社などの証券各社は、今週、第3四半期(10ー12月)決算を発表する。アナリストへの取材によれば、この四半期の委託手数料は前年同期比で増加した見通しだ。近年、収益全体で大きなウェートを占める国内営業が不振だったが、個人投資家の証券市場への回帰が本格化すれば18年は大きく改善する可能性がある。
Retail Slide Over?
Nomura's first-half retail brokerage profit is already 67% of last year's total
Source: Nomura filings
野村証券の名古屋駅前支店の千田聡支店長はブルームバーグの取材に対し、個人投資家からの「問い合わせが急増している」と述べた上で、「足元の株高を受けて例年に比べ投資セミナーへの参加者がかなり増えている」と語った。
英語記事:Japan’s Stock Bible Gets Hot, Suggesting Nomura Set to Prosper