保育園大手のセクハラをめぐるお家騒動(後)~JPホールディングス
創業者と経営者が経営方針をめぐって対立することは珍しくないが、保育園運営大手、(株)JPホールディングス(以下JPHDと略。東証一部上場)は、かなり異質。現経営陣と筆頭株主で創業者との泥仕合の原因は、創業者のセクハラ問題。セクハラをめぐるお家騒動は前代未聞の出来事だ。
創業者を追い込むはずが、現社長のセクハラも認定
※画像はイメージ
このお家騒動が大スキャンダルにエスカレートしたのは会社側の対応だった。創業者に対するネガティブキャンペーンを、ここまでやるかと呆れさせた。
10月17日、JPHDは第三者委員会を設置し、創業者の山口洋氏の「重大なセクシャル・ハラスメント」に関する調査を行うと公表した。上場企業が開示したレポートに「セクハラ」とはっきり明記された例は希有である。
11月9日には、「創業者の経営関与、復帰を断固拒否するという従業員の嘆願書を受け取った」と発表した。嘆願書には、グループ従業員3,029名による署名がなされた。この中には、子会社である(株)日本保育サービスが運営する保育園179園中173名の園長、学童クラブ・児童館69施設中69名の施設長も含まれているという。
11月13日発売の『週刊ポスト』に、創業者の山口氏が両脇に若い女性2人を抱きかかえて露天風呂で混浴する写真が掲載された。
11月17日に公表された第三者委員会の調査報告書(要点版)によると、経営陣の主張通り、社員旅行で飲食した時などに山口氏による女性社員への性的言動をセクハラと認定した。社内不倫にも言及。「特定の女性職員との関係は、職場の風紀秩序が乱され、職場環境の悪化をもたらした」と決めつけた。物を投げつけて部下を叱るパワハラ行為もあったとした。
その一方で、荻田和宏社長や他の男性取締役も、女性社員の体を過度に触る行為が目撃されているとして、「セクハラに該当し得る行為が認められる」と指摘した。経営側は、第三者委員会に創業者のセクハラを認定してもらい、山口氏の株主提案を否決することを狙ったが、現社長もセクハラを公表された。ことセクハラに関しては両成敗。現経営陣はかえって苦しい立場に立たされた。山口氏は、JPHDが開示したレポートでセクハラを指摘されたことについて、名誉・信用を毀損されたとして、同社を相手取り名誉毀損訴訟を起している。
ここまでくると、両者の関係が修復することはありえない。創業者サイドは35.61%の株式保有している。来年の定時株主総会では、現経営陣を一掃する勝負に出るのは間違いない。経営陣に残された手は、投資ファンドをホワイトナイトに招き、第三者割当増資を実施し、創業者側の持ち株比率を下げる方策しか残っていない。株主総会は、壮絶な委任状争奪戦が繰り広げられることになるだろう。
(了)
【森村 和男】
<COMPANY INFORMATION>
(株)JPホールディングス
代 表:萩田 和宏
所在地:愛知県名古屋市東区葵3-15-31
設 立:1993年3月
資本金:16億395万円
売 上:(17/3連結)227億9,900万円