アメリカの大学院に来て3年目に入ったので,研究インターンを雇い始めて研究プロジェクトを手伝ってもらっています.
年末年始に日本にいる研究仲間と「海外研究インターン」について話すことがあって,その際に考えた & 伝えたことを書き残しておこうと思います.
アメリカで働く教授クラスとかになると,一部異なる意見を持つかもしれません.
さて海外での研究インターンというと企業・研究所 (Microsoft ResearchとかGoogleとか) が多い印象ですが,我らがカーネギーメロン大でもCS系では研究インターン生を結構受け入れています.ちなみに,僕はこっちに来てから「大学院での研究インターン」の存在を知ってビックリしました
雑感ですが,半数はカーネギーメロン大の先生との間接的なコネを通じてやってきた人,残りの半数は自分で受け入れ先の教授に直接コンタクトを取ってやってきた人,という感じです. 大体3ヶ月~1年間滞在している感じでしょうか.他大の修士課程・博士課程に在籍している人もいれば,他にポジションがない人もいます.(修士課程卒業後に来たりとか)
一応「Research Intern scholar (訳すと研究インターン)」とか「Visiting researcher (客員研究員)」とかカッコいいポジションも貰えたりします.
僕のところでは,1ヶ月前から雇い始めた子が1人,今月に入って雇い始めた子が3人で,今は計4人と一緒に研究 & 開発をしている感じ. そのうち3人は学内の修士課程の子で,いわゆるResearch Assistantのポジション.残りの1人はアメリカ国外の大学からの留学生です.自分の研究指導教官からのagreementももらっています.
海外の大学院でインターンするメリットとしては
・学位留学ほどのコストをかけずに,海外トップ大の研究室で研究経験が積める
・上手くいけば論文が書ける
・海外の大学院 (博士課程/修士課程) への出願時や研究所のポストに応募する際にReference (推薦書) を書いてもらえる
・新しい研究テーマ・研究分野が開拓できるかもしれない (デメリットと表裏一体)
このあたりでしょうか. 実際に弊ラボでインターンした後に,カーネギーメロン大やワシントン大の博士/修士課程に出願して合格オファーをもらった子は複数いますし,カーネギーメロンのPhDプログラムに在籍している人の30%くらいは他大での研究インターンを経て,合格オファーをもらっています.
デメリットとしては
・研究拠点を日本→海外,海外→日本と動かすので相応の手間と時間がかかる
・これまでの研究テーマの変更を強いられることもある (メリットと表裏一体)
研究テーマに関しては,そもそもインターン生が興味の無いことを割り当てるのは受け入れ側から考えてもあまり好ましくないので,相談しながら決めていくのが多くのケースに当てはまると思います.
受け入れる側になって初めて気付いたことですが,とにかく学外から学生を受け入れる際には,テーマのマッチングと信用が最も重要です.
1番困るのは,受け入れて,時間を割いたのに何も成果を出さず,何も作ってくれないケース.そして途中でラボに現れなくなるケース.
この最悪のケースを避けるために,学生の興味や動機づけ,努力してくれそうか,等々を考慮して選考&配置します.
アメリカの大学院にいる教授は多忙なので,インターン応募のメールを送っても返信が来ない...ということは多々あると思いますが,いざ「インターンを取るぞ!」となった時にはメールボックスに検索をかけて良い候補者を探したりもするので,とりあえずメールを送っておくのは有効だと思います.
うちの研究グループだと,Self-driving vehicle (自動運転車) に関する要素技術 (画像処理・通信・ロボティックス・組込システム etc.) あたりを研究テーマにしている人なら受け入れる可能性があります.
現状,カーネギーメロン大に来ているインターン生の大半はインド・中国からの学生,次いで東欧系・韓国・タイからの留学生が多く,今在籍している日本人インターン生は学内見渡しても片手で数えられるほど,という感じです.
もうちょっと増えても良いような気がします.