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【インタビュー】茅原実里が『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』EDテーマ「みちしるべ」に込めた思いとは?
2018/1/26
現在放送中のTVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』にエリカ・ブラウン役として出演中の茅原実里は、同作のEDテーマ「みちしるべ」も担当。「みちしるべ」の歌詞に綴ったテーマや、作品の魅力を語った彼女のインタビューが、発売中の『アニメディア2月号』に掲載されている。「超!アニメディア」では記事内でお届けしきれなかった部分も含めた、インタビュー全文をご紹介する。
――EDアーティストとしても、声優としても関わることになった『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の印象を教えてください。
原作は、エリカ役で出演すること、そしてEDの歌詞を書くにあたり世界観を知ろうと思って読んだのですが、こんなにも涙する物語に触れたのはとても久しぶりでした。原作を読んで、ヒロインのヴァイオレットが動く姿を早くアニメで観たいという気持ちが高まりました。
――「みちしるべ」では作詞も担当していますが、どんなテーマで詞を書こうと思いましたか?
私が作中で演じるエリカは1話には登場しないのですが、アフレコを見学させていただいたんです。そのときに、石立太一監督がキャストの皆さんに「ヴァイオレットに対して、父性を持って見守ってほしい」とおっしゃっていました。その「父性」という言葉がとても印象に残ったこともあって、歌詞には親が子どもを思う愛、そして子どもが親を思う愛を盛り込んでいます。
もともと私の歌詞の書き方は、曲を聴いたインスピレーションで心から溢れ出した言葉を一度全部吐き出してから、そのパーツを使ってひとつの歌詞を組み立てていくというやり方なんです。今回も監督のお話を聞く前に大枠は決めていって、もし方向性が違ったら書き直そうと思ってはいましたが、監督から「バッチリ」だと言っていただけたので、そういう意味では、歌詞の全体像は最初に書いたときとあまり変わっていないと思います。
タイトルの「みちしるべ」は、ヴァイオレットへの私の思いを込めて付けました。原作を読んだ印象では、ギルベルト少佐がヴァイオレットの進む道を示してくれていたけれど、アニメでは少佐と離れてから過ごす時間が描かれています。孤独と戦いながら、ギルベルト少佐を探し続けるヴァイオレットを見ているのは胸が苦しくなるのですが、そのぶんたくさんの新しい出逢いが待っていて、そのおかげで彼女が少しずつ人として成長していくんです。その新しい出逢いのひとつひとつが彼女の”みちしるべ”となっていくような気がしています。ヴァイオレットだけでなく、私はもちろん、聴いてくださる皆さんにも、きっと長い人生の中で大切な人が”みちしるべ”となってくれる瞬間がたくさんあるんじゃないかなって思いました。
――タイトルはもちろん、歌詞がすべて日本語なのも印象に残りました。
じつは、私は英語の歌詞を歌うのが苦手なんです。どうしても声に出したときにカタカナ英語になってしまうのが恥ずかしいなという気持ちがあって。もちろん、ほかの作詞家の方が書いてくださったときは、そこに込められた思いを受け止めて全力で歌っていますが、自分で詞を書くときはつい避けてしまうんです(笑)。ただ今回は、監督が「ヴァイオレットがひとりで口ずさんでいるようなイメージ」とおっしゃっていたこともあって、子どもでも大人でも、誰が読んでもわかる言葉づかいを意識しました。とはいえ、作詞の作業は正解がないからとても難しくて、毎回壁にぶつかりながら頑張って書いています。
――作中でキーワードになる「愛してる」という単語が歌詞にも盛り込まれているのが、とても素敵だと思いました。
ありがとうございます! そう言っていただけると、書いてよかったと思います。タイアップ曲なので、何か作品とリンクしたものがあったほうがいいなと思って、ヴァイオレットが探し続けている大切な言葉でもある「愛してる」を歌詞の中で伝えようと思いました。
――曲はとてもシンプルですよね。
そうですね。イントロがアカペラでスタートする曲はあまり経験がないので、歌い始めはいつもすごくドキドキします。これまでに何度かイベントなどで歌わせていただいているのですが、緊張のせいか毎回両手でマイクを握りしめてしまいます。
――レコーディングはスムーズに進みましたか?
最初に歌の温度感を決めるまで、何テイクか重ねました。「みちしるべ」は曲がシンプルなぶん、歌うのが難しかったですね。理想と現実のギャップにもどかしさを感じながら、自分自身と戦いながらのレコーディングになりました。穏やかで繊細な曲調だけど、メロディーの浮き沈みが結構あって苦戦しました。『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の世界に寄り添って、聴いた人をやさしく包みこめる、温かい歌になっていればいいなと思っています。
――カップリングの「憧れは流星のように」もバラードですね。
こちらはロックバラードです。曲を聴いた瞬間に「これは『憧れ』だ!」ってピンっと閃きまして、歌詞は「憧れ」をテーマに書きました。憧れている人を追いかけて越えていこうという、自分への応援歌であり、リスナーへの応援歌でもあります。じつは、最初はタイトルを「憧れのYOU」にしていたんですが、レコーディングが終わったあとにスタッフから「ダサい」とダメ出しをされました(笑)。どうも時代にそぐわなかったみたいです。
――「みちしるべ」と比べると、情熱的な雰囲気の歌声ですね。
作曲・編曲してくれた山本陽介さんは、普段からライブやレコーディングでお世話になっているギタリストで、彼の人間性を感じる情熱的な楽曲だったので、親近感もあって。飾らずにありのままの自分の言葉で歌おうと思って、人間臭さとか泥臭さを出していけたらいいなって。本線を録るのはそれほど時間はかからなかったのですが、コーラスが多くて、おまけにそのラインがすべて難しくて……。いつもよりもだいぶ時間をかけてレコーディングをしました。
――アーティスト盤の3曲目に収録される「White ambitions」は、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のOPを担当されるTRUEさんとのデュエット曲です。
音楽プロデュースチームのQ-MHzさんが作ってくださった曲なのですが、2人がそれぞれのスタイルで野心を剥き出しにして夢を追いかけていく、激しくてカッコイイ曲です。キーチェックの時から、楽曲のトリッキーさに翻弄されながらも頑張って必死に歌っていました。すごくテンポが速いので、ライブで歌うとき、口が回るか心配です(笑)。でも、TRUEさんは憧れのアーティストさんなので、ご一緒できてすごく嬉しいです。
――TRUEさんのニューシングル「Sincerely」のアーティスト盤には、また別のデュエット曲が入るんですよね。
そうなのです。「ふたりごと」という楽曲なのですが、TRUEさんが私の存在を意識しながら作詞をしてくれた歌でもあるのでとても嬉しかったです。またウエディングやお祝いごとの場にぴったりな曲だなと思ったので、たくさんの方に大切な人を思い浮かべながら聴いたり、歌ったりしてほしいなって思っています。
――茅原さんにとってTRUEさんはどんなアーティストですか?
TRUEさんがランティスで活動をされると聞いたあとに、じつは唐沢美帆さんだということを知ったんです。唐沢さんは私が10代のころにテレビなどでよく拝見していたので、まさかこんなふうに接点を持てるとは思いませんでした。人柄も明るくてかっこよくて素敵ですし、長くアーティストや作詞家として活動されていることもあって、自分に芯があって伝えたいことを明確に持っていらっしゃる方なんです。何かと流されたり曖昧にしがちな私からすると、尊敬できるところばかりです。人となりもそうですが、歌声も本当に素晴らしくて大好きです。TRUEさんの歌われている楽曲は、タイプも様々でとにかくレンジも広い! それなのに、どんな曲もどんなときでも完璧に歌ってしまう特別な人なのです。私はいつも、こんなふうに自由に歌を歌えたらどんなにいいだろうって羨ましく思っています。いい意味で刺激ばかりいただいて、こうしてお近づきになれたことにご縁を感じています。
――今後、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のイベントなどで一緒になる機会も増えそうですね。
一緒にイベントなんてドキドキしちゃいますね(笑)。2人で楽しんで歌えるように、今から歌の練習を頑張ります!
――アーティスト盤・アニメ盤のCDジャケットは、それぞれTRUEさんのCDと並べると、ひとつなぎになるんですよね。
アーティスト盤は、TRUEさんが手紙を届ける人で、私は伝える人、というイメージですね。ジャケットには封蝋もデザインされていて、2枚並べると手紙のようになるのが素敵です。なので、ぜひ2枚手に取っていただいて、並べて飾っていただけたら嬉しいです。あと衣装もお気に入りです。素敵なロングスカートにシンプルなブラウス。レトロな雰囲気もあり、着ていて自分の心にしっくりくるスタイリングでした。私服として毎日着ていたいくらい、気に入ってしまいました。
――「みちしるべ」のMVも撮影されたんですよね。
撮影では、タイプライターを実際に打ってみたんです。鍵盤に重みがあるせいか、言葉を紡いでいるという感覚がすごくあって、言葉に思いを込めるってこういうことなんだろうなって感じましたね。MVのなかでは封蝋を実際に垂らすシーンもあるのですが、熱いし難しくて、ものすごく苦戦したことを覚えています。
――茅原さんは、エリカ・ブラウンとして作品に出演されていますが、エリカはどんな女の子ですか?
ヴァイオレットと同じ職場で働くメガネっ娘の女の子です。個人的にそばかすがチャームポイントです。監督に質問をしたら、「根暗で、ネガティブで、内向的」な子だと言われました。ヴァイオレットに出逢ったことで、彼女の人生に灯りが照らされたような感じでしたね。エリカに限らず、作中に登場する人たちは、ヴァイオレットに出会って大切な何かに気づかされていきます。オムニバスになっていて、毎話新しいゲストさんがいらっしゃるのですが、とても純粋で素晴らしい物語になっているので、子どもから大人まで一人でも多くの人に観ていただけたら嬉しいです。
――最後に茅原さんの2018年の目標をお聞かせください。
私は右利きなのですが、左手をもうちょっと上手に使えたら効率的になるんじゃないかと思っていて、左手を使えるようになりたいです。お仕事では、自分が座長になって、いつかやりたいと願い続けてきた朗読劇公演を行うので、茅原実里の新しい挑戦を楽しんでもらえるように頑張ります!
――読者へのメッセージもお願いします。
声優としてエリカ役、そしてEDテーマ「みちしるべ」を通して、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』に詰まったたくさんの愛を届けていきたいと思っています。放送と合わせて、ぜひ応援よろしくお願いします!
◆プロフィール
茅原実里【ちはら・みのり】11月18日生まれ。栃木県出身。M-Peace所属。2004年にアニメ『天上天下』で声優デビュー。アニメ『涼宮ハルヒの憂鬱』長門有希役で人気を博す。2007年にランティスよりシングル『純白サンクチュアリィ』をリリース。これまでに23枚のシングル、6枚のアルバムを発表している。
<ニューシングル「みちしるべ」>
1/31発売
ランティス
アーティスト盤1,404円、アニメ盤1,296円
茅原実里の24枚目となるシングル。表題曲は、茅原本人がエリカ・ブラウン役で出演する『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のED。アカペラで始まる導入と、しっとりとしたメロディーが印象的なバラードになっている。カップリングは、ロックバラードの「憧れは流星のように」と、歌手・TRUEとのデュエット曲「White ambitions」(アーティスト盤のみ)が収録される。
アーティスト盤
アニメ盤
取材・文/野下奈生(アイプランニング)
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