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「俺が地上のから揚げの頂点に立つ!!」
いつも食べている鳥から揚げの微妙な違いに、みんな気付いているだろうか。
常々気になっていたので、ネットレシピ約200件を分析して、竜田揚げからフライドチキンまで、全ての流派に挑戦してきた。 いま僕は、地上で最もから揚げのレシピに詳しい男だ。 ※2011年2月に掲載された記事の写真画像を大きくして再掲載したものです。
1978年、東京都出身。漂泊の理科教員。名前の漢字は、正しい行いと書いて『正行』なのだが、「不正行為」という語にも名前が含まれてるのに気付いたので、次からそれで説明しようと思う。
前の記事:「台湾の「あの宮殿みたいなホテル」に泊まってきた」 人気記事:「32年間眠りつづけた「コスモ星丸」を発掘した」 > 個人サイト まさゆき研究所 新棟 衣の種類も色々ある例えばこれ。
この二つのから揚げの違いがわかるだろうか? 衣の表面は茶色く、もこもこしている。
衣の表面が白く、ばりばりしている。
同じから揚げでも衣の質感がかなり違う。 左は食べるとふわっとするタイプのから揚げ、右はカリッとするタイプのから揚げだ 材料は、左は片栗粉+小麦粉+卵。右は片栗粉のみ。どっちもネットレシピに「から揚げ」として載っている。
揚げる前の左。もったりした衣。
揚げる前の右。ぱふぱふした衣。
僕はつねづね、このから揚げのタイプの違いが気になっていたのだが、深くは追わずにスルーしてきた。しかし先日、適当に揚げた唐揚げで大失敗した僕はとうとう奮い立ったのだ。
男に生まれたからには、全ての流派のから揚げを制覇してやろう、と。 野望達成の手始めに、僕は揚げ鍋とてんぷら温度計を購入した。 野望達成のためには、温度の調節が大切。
戦いを制するためには、敵の情報収集が重要だという。
まずはレシピの勢力分析から手をつけてみた。 クックパッド192品を調査巨大レシピサイト「クックパッド」に登録されていた「鳥のから揚げ」の、おすすめレシピ全192品をデータベースにして分析した。
全国制覇の第一歩、から揚げデータベース作成 (6時間かかった)
そしたら、その結果が想定外にバラバラだった。
片栗粉だけのもの、小麦粉を使うもの、卵と混ぜるもの……。とにかくレシピの多様性がありすぎる。 僕の中で揺れる、から揚げのアイデンティティー。 「いったい、から揚げって何なの?」という、思春期の自問のような感情が渦を巻く。 そこで衣の材料として使う小麦粉・卵・片栗粉の分布を、わかりやすく勢力図表してみた。 これを少しずつ制覇していこう。 普通のから揚げ104品において、衣に使う材料の分布図。重なる部分は混ぜ合わせて作る。
1・最大勢力「竜田流」まずはこの最大勢力。
普通のから揚げ104品のうち、48品は片栗粉だけを使った衣だった。左の赤で塗った部分だ。 そして世間ではこれを「竜田揚げ」と言うらしい。 長年ぼんやりと竜田揚げの定義って何だろうなーと、思ってきたが、その疑問が氷解した。 「竜田揚げ」=「衣が片栗粉のから揚げ」だ。 まずはこれが基本、と気を引き締めて、竜田流から揚げ作成に挑戦した。 三国志でいえば、片栗粉が魏。
下味はにんにく・しょうがの両方。これも王道。
片栗粉だけの衣はこんな感じ。
で、揚げます! シュボォボォボォーー!
完成・竜田流。
あ!これは、見たことのあるから揚げだ。 衣にうっすらと白く残るあと、荒々しく逆立った表面。給食で食べた「くじらの竜田揚げ」で見た覚えがある。 (ぎりぎりで給食くじら世代です) 食感は「カリカリッ」としていて、あせって食べると口の中が傷付きそうになる、あの感じ。 居酒屋などで出てくるから揚げでもよく出てくるタイプだ。 オッケー、竜田流は制覇した。以下に特徴をまとめよう。 あせって食べると、口の中が痛いタイプのから揚げ。
1.竜田流 評価★★★
・表面がばりばりで、うっすら白いときもある。 ・食感はカリカリ。急いで食べると口内を傷付ける。 セブンイレブンのから揚げ棒は、間違いなくこのタイプ。
2・第二勢力「弁当流」次に勢力が大きかったのは、小麦粉と片栗粉を半々に使ったから揚げだ。
なぜか「お弁当におすすめ」のレシピには、この衣が多かったので、弁当流と呼ぶことにした。 弁当向けに、下味もにんにくの使用を控え、しょうがのみ。 さあ、どんなから揚げになるだろう。 小麦粉+片栗粉、「弁当流」の勢力範囲。
小麦粉と片栗粉は半々。全てのお弁当レシピで共通。
竜田流より「もちゃっ」とした衣になる。
そして弁当流、完成。
これも見たことがある! 近所のスーパーのお総菜コーナーで売っているのにそっくりだ。
食べると衣の食感は「さくっ」。竜田流より軽い感じ。 さく、さくさく、と食感が嬉しくて、ついつい食べ進んでしまう感じだ。これはご飯に合う。 翌日、さっそくお弁当に竜田流と両方入れてみたが、弁当流の方が衣の質感をよく保っており、たしかにおいしかった。 これはこれで竜田揚げとは違う、一つの大切な存在だ。 同じ粉でも、衣の食感が違う。さくさく。
2.弁当流 評価★★★★
・衣の質感に荒々しさがない。もこもこ。 ・それでいて食感はさくさく。スナックっぽい。 ・下味はしょうがだけでも充分。 僕が一番好きな、つくば「ランラン」の唐揚げは多分これ
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