7シリーズ 欲望の経済史〜ルールが変わる時〜第4回「技術が人を動かす」[字][再] 2018.01.28

281月 - による admin - 0 - 未分類

技術革新。
それは時代を一変させ経済に大転換をもたらす。
AI人工知能は近い将来300兆円を超える富を生むとも試算されている。
時代のルールに変更を迫りそれ以前の産業や人々の生活日々の営みを破壊するパワーを持つ「技術」。
ひとたび走り出したテクノロジーは一気に加速。
欲望は止まらない。
もう後へは戻れない。
私たちはいつしかテクノロジーに包囲された社会を生きている。
時代の欲望を6回にわたり読み解く異色の経済史。
はい!第4回は「技術が人を動かす産業革命からフォーディズムへ」。
今日もこの街で新しいビジネスモデルが生まれる。
その演出をするのは投資家。
彼はアプリで車を呼ぶビジネスに投資。
タクシーとシェアを争いその雇用を奪うほどに成長させた。
シリコンバレーの投資家が経済を語る。
飽くなき技術への欲望。
それは産業革命前夜18世紀初頭のイギリスで加速した。
東インド会社などがグローバルな貿易によってばく大な富を得ていた時代。
インド産の綿織物が上流階級の間で大ブームとなった。
イギリスでも従来のウールに代わり国内で綿織物を作る動きが始まっていた。
産業革命の歩みはイギリス北西部の小さな織物業の町でささやかに始まった。
当時横幅の広い布を織るには機織り職人の他に横糸を通す助手が必要だった。
「杼」という舟形の道具を使っての一手間かかる作業。
ある時発明家ジョン・ケイが一つの工夫を思いつく。
杼の下に車輪をつけて飛ばせばもっと速くできるんじゃないか。
ケイの発明は実にシンプルなものだった。
「飛び杼」と名付けられたこの道具の発明で生産性は飛躍的に上がり助手は必要なくなった。
技術によって一つの仕事が消えた。
更に問題が起きる。
織物を作るスピードが上がり今度は糸を紡ぐのが間に合わなくなった。
インド産の綿織物に対抗するにはもっと速くもっと多く。
業者が新しい技術に懸賞金をかけ一度に8本の糸を紡ぐ紡績機が発明された。
技術は次のアイデアを呼び起こし相乗効果でイノベーションは加速。
生産力は飛躍的に向上していった。
小さかった仕事場は大規模化し分業効率化が進み新たな富を生む「仕組み」が生まれる。
産業革命がこれまでの社会の在り方を根本的に変えた。
ドイツの経済ジャーナリストが語る。
資本主義の社会。
土地を離れた農民が製造業の担い手となった。
彼らは封建領主からは確かに解放された。
だがまた別のルールが支配する新たなシステムに組み込まれたのだ。
そのシステムに目を凝らし資本主義のルールに光を当てた人物がいた。
イギリス亡命中に執筆した資本論でこう指摘している。
19世紀初め蒸気織り機の普及に対して大規模な機械の打ち壊し運動があった。
このラダイト運動を格好の口実に政府は労働者を厳しく弾圧した。
労働者たちが打ち壊すべき相手は「物質的な生産手段」ではなく「社会的な搾取形態」だった。
だがその事に気付くには時間と経験が必要だった。
搾取という言葉を使いマルクスは資本家と労働者の格差を指摘したのだった。
昔ながらのイギリス人の憩いの場パブ。
かつて低賃金にあえいだ人々はここで不満の声をあげそれはやがて団結へとつながっていった。
パブから労働組合が生まれた。
社会を一変させた産業革命。
だがその変化は一夜にして起こったわけではなかった。
アメリカ…統計を用いて歴史を分析計量経済学で産業革命に光を当てるグレゴリー・クラーク教授。
近年複数の研究によって産業革命が一夜の劇的な変化ではなく持続的な成長であった事が指摘されている。
だが時代を経て意外な場所にまで産業革命の影響は及んだ。
イギリスで始まった産業革命は周辺国にも波及する。
国家が科学技術を主導産業を育ててゆく。
その新たな動きは欧米を席けんし重化学工業を中心とする第二次産業革命が産声をあげる。
この時世界の工場イギリスを追い越こすほどの国も現れた。
猛烈な勢いで近代化を推進する新興国ドイツ。
技術が富を生むルールは新たな主役を生む。
20世紀初頭に工業大国に躍り出たのが自由の国アメリカだ。
ヨーロッパから海を渡り移民たちが大挙して押し寄せていた。
産業社会への転換は鉄鋼業のカーネギー石油会社のロックフェラーなど一代にして富をつかむ大富豪を生んだ。
この街で時代のルールを変えるイノベーションが生まれた。
1908年に世に送り出された…創業者…アイルランド移民の農家に生まれたフォードは機械工を経て40歳の頃当時ベンチャービジネスだった自動車会社を立ち上げる。
その頃はまだ馬車が使われ車は最先端の高級品だった。
しかしフォードは馬に代わり自動車が新たな大衆の足になる時代を見据え誰もが手ごろに買える車を作れないかと考えたのだ。
車を安く作るアイデアが生まれたきっかけは意外なものだった。
部品を規格化しベルトコンベヤー式の大量生産を導入。
車の価格を1/3以下にまで下げた。
しかし効率化は問題も引き起こした。
部品を組み立てる過酷な労働により7割以上が離職。
フォードは労働者の賃金を見直す。
それは大胆なルールの転換だった。
賃金について考えてみよう。
低賃金の労働者とは購買力の低い顧客の事だ。
失業者とは購買力のない顧客の事だ。
購買力の減少は不況をもたらす。
労働者は顧客にもなりうる。
人々に労働力のみならず購買力を見いだそうとしたフォード。
賃金の引き上げはすなわち購買力の増大顧客の増大を意味する。
事業の目的は消費者への供給だけでなく消費者を創造する事にある。
人々が求めているものを理解し適切な価格で生産しその過程で十分な賃金を支払う。
労働者が車を買えるようになってはじめて顧客は創造される。
従業員はその企業を支える大衆の一部なのだ。
労働者から消費者へ。
それは社会に大量の需要と供給を生み出す事につながる。
技術の革新と市場の創造が両輪となって資本主義は加速していく。
経営の神様と呼ばれたフォードの方法論は多くの企業に模倣され大衆消費社会の時代が幕を開けた。
たくさんの人々が豊かさを手にする。
普通の暮らし中流という意識が人々に確実に共有されたのだ。
100年後の現代また新たな技術が人々にもたらすものとは…。
今度は社会を分断すると懸念する声もある。
ケインズ経済学の権威スキデルスキー氏が語る。
(英語)技術が人間にいやおうなく変化をもたらす構造は時代を越えて繰り返すと指摘する学者がいる。
フランスの経済学者ダニエル・コーエンが語る。
技術と分かちがたく結びついた人間の欲望。
労働消費市場とより大規模に欲望を膨らませながら時代のルールはまた書き換えられてゆく。
今を去る事3か月前。
2018/01/28(日) 00:00〜00:30
NHKEテレ1大阪
シリーズ 欲望の経済史〜ルールが変わる時〜第4回「技術が人を動かす」[字][再]

欲望が駆動する資本主義。そこには時代で異なる、富を生むルールがある。そのポイントを識者の言葉から探る異色の経済史。第4回は技術の発達による社会への影響力を考察。

詳細情報
番組内容
産業革命がもたらした変化は大きい。しかし近年の研究では一夜で劇的に変わった「革命」というより、緩やかで持続的な変化だったと言われている。その本質にあった影響力とは?イギリスでの技術の発達はやがてドイツにも広がり、いよいよアメリカにわたり、社会を変える大きな力となる。フォーディズムという形でアメリカで完成されたシステムとは?技術は資本主義のルールを変える。AI時代に生きる私たちが学ぶべきものは?
出演者
【出演】シェルパ キャピタルCEO…スコット・スタンフォード,ドイツ 経済ジャーナリスト…ウルリケ・ヘルマン,カリフォルニア大学デービス校教授…グレゴリー・クラークほか

ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 – 社会・時事

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音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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