担任、副担任の厳しい指導叱責にさらされ続けた生徒は、周囲の理解、協力が得られないとの孤立感、絶望感を深め、ついに自死するに至った-。昨年3月14日、福井県池田町立池田中の当時2年生だった男子生徒が校舎から飛び降り自殺した問題で、調査報告書をまとめた第三者委員会はこう結論づけた。
生徒指導をきっかけにした子どもの自殺は「指導死」と呼ばれる。
「指導死」親の会共同代表の大貫隆志さん(61)=東京都=は18年前、中学2年生の次男陵平さん(当時13歳)を自宅マンションからの飛び降り自殺で失った。学校で友達からもらったお菓子を食べたことで、他の生徒と一緒に12人の教師から厳しい指導を受けた末だった。
「コップいっぱいに“生きる力”という水がたまっている。それが『お前はだめだ』と言われるたびに減る。最後の一滴まで絞られ空っぽになってしまい、『生きている価値がないんだ』と感じてしまう」。大貫さんは指導死に至るまでの子どもたちの心の揺れをこう例え、池田中のケースは「典型的だ」と話す。
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2002年3月23日未明、進学校の兵庫県立伊丹高1年生、西尾健司さん(当時16歳)は、自宅近くのマンション屋上から身を投げた。校内のトイレで喫煙が見つかり、校長室で5人の教師から「特別指導」を受けてから9時間後のことだった。
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