自動車産業が盛んな日本では、各自動車メーカーからたくさんの自動車が発売されています。そして、それぞれの車種には“名前”がついています。
しかし、街で見かけるクルマの名前自体は知っていても、その由来までは知らないという方も多いはず。造語も多いので、意味がわかりそうでわからない名前もあるかもしれません。
名前はクルマのイメージを形成する重要な要素。各メーカーがクルマに込めた思いや、そのクルマらしさを表すものが名前になっている場合が多くあります。今回は、そんなクルマの名前の由来に注目してみましょう。
名前も見た目もキュートなクルマ
■(アルト)ラパン【スズキ】
スズキの「(アルト)ラパン」は、丸みを帯びたボックス型が印象的な軽自動車。「アルト(Alto)」はイタリア語で“秀でた”という意味ですが、「ラパン(Lapin)」はフランス語で“ウサギ”を指します。
女性をターゲットに考えられており、名前だけでなく色も可愛らしいパステルカラー。内装はもちろん、外装もウサギのステッカー・エンブレムなどで可愛くデコレーションできるクルマです。
■マーチ【日産】
1982年に初代が発売された日産「マーチ」は、コンパクトカーの良さを世間に知らしめたクルマとして有名。そして「マーチ(March)」という名前は、“行進曲”や“行進”に由来します。
現行モデルは11色のボディーカラーバリエーションを揃え、シートカラーも華やか。行進をイメージさせるような、アクティブさを表現しているクルマです。
■ミラ ココア【ダイハツ】
ダイハツの軽自動車「ミラ ココア」もまたカラーが11色とバリエーションが豊富。内装も自分で組み合わせられるので、マイルームを作っているような気分でクルマ選びができます。
「ココア」は、そのまま飲み物の“ココア”のこと。自室のようなプライベート空間で、温かいココアを飲んだときのように気持ちが落ち着くクルマ、という意味が込められているそうです。
■キャロル【マツダ】
マツダの軽自動車「キャロル(Carol)」は、ユーザーの日常に寄り添う存在として設計されたクルマです。その名前は、英語の“祝歌”や“鳥のさえずり”から来ています。
楽しげで可愛らしいその名前は、実はかつての軽自動車につけられてもの。若い女性たちからの好評を受けて「キャロル」という名前が復活したそうです。
クールな名前のクルマ
■レガシィ【スバル】
かつてツーリングワゴンというジャンルを開拓したスバルの名車「レガシィ」。現行モデルはB4とアウトバック(画像はアウトバック)という2つのラインナップとなっており、スバルのフラッグシップとして今も進化を続けています。
そんな「レガシィ(Legacy)」は“遺産”や“伝承”を表す言葉です。独自の技術を受け継ぎながらも、アイサイトをはじめとする最新の安全技術などが搭載された魅力的な車となっています。
■ヴェゼル【ホンダ】
ホンダの「ヴェゼル」は日本におけるSUVブームの流れをつかみ、2014年から2016年まで、3年連続でSUV新車販売台数が第1位となりました。
SUVらしいたくましさと、クーペのような美しさが融合した「ヴェゼル(VEZEL)」の名前は、カットした宝石の細かい面を指す“Bezel”とクルマを意味する“Vehicle”を組み合わせた造語。見る角度によってさまざまな魅力を見せてくれる宝石をなぞらえています。
■クラウン マジェスタ【トヨタ】
1955年の初代デビュー以降、トヨタが磨き続けてきた名車「クラウン(Crown)」。“王冠”という意味の名を持つ国産高級車として、長きに渡って憧れの対象になってきました。
そして、そのクラウンにおける最上位モデルが「クラウン マジェスタ」です。「マジェスタ(Majesta)」は“威厳”や“尊厳”を示す英語Majestyから来ており、まさに高級車の歴史を築き上げてきた存在にふさわしい名前となっています。
■ランサーエボリューション【三菱】
ほとんどのクルマ好きが知っているであろう、三菱のスポーツセダン「ランサーエボリューション」。1992年の初代デビュー以降、熱い支持を得てきた人気車種ですが、2015年に台数限定の特別仕様車を発売して販売終了となりました。
「ランサー(Lancer)」は英語で“槍騎兵”、「エボリューション(Evolution)」は“進化”や“発展” を表します。多くのレースで功績を残したスポーツカーらしい、勇ましさを感じる名前です。
どんな意味が…?ユニークな名前のクルマ
■フェアレディZ【日産】
「フェアレディZ」は、1969年に初代が登場した日産のスポーツカー。高性能でありながら低価格なクルマとして、1970年代には北米で人気を博し、日本車の代表的存在となりました。
そんな「フェアレディ(Fairlady)」は、“美しいお嬢さん”を表しており、「Z」は未知への可能性・夢を意味しています。前述の「ランサーエボリューション」のような名前と比べると、同じスポーツカーでも受ける印象が違いますね。
■ザッツ【ホンダ】
「ザッツ」は、ホンダが2002〜2007年にかけて販売していた軽自動車です。丸みを帯びた箱型の見た目が印象的なクルマですが、名前もユニーク。
「ザッツ(That’s)」とは、英語が表すままの意味。思わず“あれだッ。”と言ってしまうような親しみやすいクルマに、という願いをこめた名前だそうです。
日本らしい?名前の由来が日本語のクルマ
■カムリ【トヨタ】
多くのクルマの名前は英語などの外国語、またはそれをもとにする造語ですが、中には日本語を由来とする名前のクルマもあります。そのひとつが、トヨタの「カムリ」です。
「カムリ」という名前は、“冠(かんむり)”から来る造語。先に紹介した「クラウン」もそうですが、実はトヨタには「コロナ(光冠)」や「カローラ(花冠)」など“冠”を由来とする名前のクルマが複数あります。
■ビュート【光岡自動車】
完全受注生産制で個性的なクルマを作っている光岡自動車の「ビュート」。クラシカルな見た目が印象的なクルマですが、映画『探偵はBARにいる』に登場することでも知られます。
「ビュート」という名前は“美・遊・人(び ゆう と)”が語源になっており、美しく遊ぶ人に乗ってもらいたいという思いが込められているそうです。
自動車に“名前”があるということ
外国のクルマはアルファベットや数字で表されるものが多数ありますが、日本のクルマは “名前”で呼ばれる場合が多くなっています。それぞれ異なる意味を持つ名前には、メーカーの思いが込められているのです。
名前を知っていると愛着もわきやすいもの。気になったクルマがあれば、その名前の由来まで調べてみると、新たな魅力に気づくかもしれません。