You’re Going To Lose That Girl
英語原詞はこちら
You're going to lose that girl
You're going to lose that girl
If you don't take her out tonight
She's going to change her mind
And I will take her out tonight
And I will treat her kind
じぶん、ふられてまうで。
知らんで。ふられてまうで。
今晩連れ出せへんかったら
あの子、気ぃ変わってまうで。
ほしたら、おれが連れ出すで。
おれ、むっちゃ優しぃしたんで。
You're going to lose that girl
You're going to lose that girl
If you don't treat her right, my friend
You're going to find her gone
Cos I will treat her right, and then
You'll be the lonely one
じぶん、ふられてまうで。
知らんで。ふられてまうで。
あの子にちゃんとしたらな、じぶん。
気ぃついたらいてへんなったあるで。
おれはあの子にちゃんとしたるし。
ほしたらじぶん
さびしなんのんちゃんう?
You're going to lose that girl
You're going to lose that girl
I'll make a point
Of taking her away from you, yeah
The way you treat her what else can I do?
じぶん、ふられてまうで。
知らんで。ふられてまうで。
おれ、きっちりやるで。
じぶんからあの子、とってまうで。
他にどないせぇちゅーねんな。
じぶんのやりかた見とったらやー。
You're going to lose that girl
You're going to lose that girl
I'll make a point
Of taking her away from you, yeah
The way you treat her what else can I do?
じぶん、ふられてまうで。
知らんで。ふられてまうで。
おれ、きっちりやるで。
じぶんからあの子、とってまうで。
他にどないせぇちゅーねんな。
じぶんのやりかた見とったらやー。
If you don't take her out tonight
She's going to change her mind
And I will take her out tonight
And I will treat her kind
You're going to lose that girl
You're going to lose that girl
You're going to lose that girl
あの子にちゃんとしたらな、じぶん。
気ぃついたらいてへんなったあるで。
おれはあの子にちゃんとしたるし。
ほしたらじぶん
さびしなんのんちゃんう?
じぶん、ふられてまうで。
じぶん、ふられてまうで。
知らんで。
=翻訳をめぐって=
前回、ああいう翻訳をやってしまってからというもの、いろんな外国の歌が自分の地元の言葉で聞こえだして、止まらなくなっている。前回は割と「作った関西弁」のイメージの翻訳になったのだけど、今回はもう完全に「関西の高校生男子の話し言葉」である。(しかしここには「90年代後半の」という但し書きが入る。最近では若い子ぉらの話し方も変わってきているかもしれないが、今の私には直接確認できる条件がない。その点、現役の若い子ぉらに感想を聞かせて頂ければ幸いです)。今回の試訳がこういう形になったのは、おそらくこの曲自体が完全に「リバプールの若い子ぉら」のフツーの話し言葉で書かれているからなのだと思われる。一応、韻とかは踏まれているけれど、内容はひたすら「日常会話」でしかないのである。
- You’re Going To Lose That Girl…この曲名表記には揺れがあり、「You’re Gonna Lose That Girl」になっている歌詞サイトもある。「gonna」は「going to」の口語形であり、確かに歌詞表記は「going to」であるものの、ジョンは完全に「ガナ」と歌っている。タイトルを直訳すると「あなたはあの少女を失ってしまうことでしょう」。これをフツーの話し言葉に直すと↓
- じぶん、ふられてまうで…「じぶん」というのは周知のごとく「あなた」に相当する二人称であるわけだが、私の地元ではそれほど古くから使われていた言い方ではなかったように思う。おそらく、ダウンタウン以降の言い方である。90年代の初めにかれらがテレビの画面を独り占めするようになったあの時代の以前と以後では、関西の若者言葉というものは劇的に変化しているという感覚が、実感として私にはある。言うなればかれらのおかげで関西の全域が「尼崎化」したのである。ある日突然周りの誰もが「じぶん、テンション低いなー」みたいな話し方を始めた時の「奇妙な感じ」を、私は鮮明に覚えている。その前は、何て言ってたのだろう。「お前」って言うてたんとちゃうかなあ。ちなみに「ワレ」とかそういう言い方は、私たちがそういうのを使う年齢に至る前の段階で、完全に「じぶん」に淘汰されてしまっていたように思う。「じぶん」は女子が使っても違和感のない言葉だからね。あの当時の我々にとってすごく新鮮に感じられる響きだったことは、事実である。あと、「ふられてまうで」は「ふられてしまうよ」に相当。
- 優しぃしたんで…「優しくしてあげるよ」に相当。「で」は「よ」と訳すとよい。
- あの子にちゃんとしたらな…「ちゃんとしてあげなければ」の意。「したらんな」とタメを持たせた言い方になることもある。
- 気ぃついたらいてへんなったあるで…「気がついたら(彼女が)いなくなっていることになるよ」。「いなくなるよ」なら「いてへんなんで」でいいのである。「なったある」の「ある」の使い方がかなり、独特なのである。「してる」は単なる進行形だが「したある」は「進行している状況の描写」とでも言うべきか。「いてへんなったあるで」のニュアンスをより精密に再現するなら「(彼女が)いなくなった状態を君は見出すことになるだろう」みたいなことになると思う。
- さびしなんのんちゃんう?…「さびし(く)なるのと違うの?」というフレーズが音便化されたもの。「違うの?」→「ちゃうの?」→「ちゃうん?」だから理屈としては「ちゃうん?」と表記されるべきなのかもしれないが、発音は完全に「ちゃんう?」になる。私が「ちゃんう?」表記にこだわることには理由があり、最後が「?」ではなく詰問調の「!」になると「ちゃん!」という「別の言葉」になるからだ。「お前がやったんちゃん!」と言えば「やったのはお前だろう」という決めつけになるが、「お前がやったんちゃんう?」というと一応相手に事の真偽を確認している言い方になる。「違うの?」の音便化は「ちゃん」で既に完結しているのであり、語末の「う」はその語感のキツさを和らげるために付け加えられる「別の要素を持った言葉」なのではないかという印象を私は持っているのだが、どんなもんなんだろう。
- どないせぇちゅーねんな…「どうしろと言うんだよ」に相当。
- じぶんのやりかた見とったらやー…この「やー」は東京弁の「そしたらさー」の「さー」みたいな感じで使うのだが、大阪では私が知る限り、使われていない。なぜか大阪を間に挟んで、奈良と神戸で使われている。近鉄と阪神電車が難波で乗り入れを開始するまで、昔は奈良と神戸はものすごく隔絶した世界というイメージがあったのだが、不思議とこの2つの地域の言葉には、共通点が多い。「何してんねん」を「なんしとー?」と言うのも、奈良と神戸の特徴である。地下水脈みたいなものでも、存在してるのだろうか。誰か詳しいことを知ってる人がいたら、教えてください。
…しかし、ムキになってこんなこといろいろ書いてみても、まともに読んでくれる人なんて、いるのだろうか。フツーにビートルズの歌詞を知りたくて検索でここに来た人は、詐欺にあったような気持ちになるんではないだろうか。普段はあまりそんなこと考えないのだけど、我に返って見ると何だかメチャメチャなことをやっているような気が、だんだん、してきた。
ではまたいずれ。
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=楽曲データ=
Released 6 August 1965
Recorded 19 February 1965, EMI Studios, London
John Lennon: vocals, acoustic rhythm guitar
Paul McCartney: backing vocals, bass, piano
George Harrison: backing vocals, lead guitar
Ringo Starr: drums, bongos
Key: E