この記事は━━
━━の続編である。
先日、警察に痴漢の疑いをかけられて覆面パトカーの中で尋問され、さらに2枚ほど写真を撮られたことがあったのだが、それから数週間がたった昨日、再び前回と同じふたり組の刑事たちがメシア家にやってきたのだ。
彼らによると被害者の女性に私の写真を見せたところ、被害者の女性が『犯人と似ている』と発言をしたのだという……まったくもって頭にくる女性である。犯人の痴漢魔は女装をした背の高い男らしいのだが、女装をすれば顔や雰囲気はあやふやなものになるはずだといのうに、どんな根拠を持って『似ている』などとぬかしたのだろうか?
私が被害者の女性だったら、無実の可能性がある犯人候補の男のことを憂慮してこのような発言をしている。
「男性が女装をすれば顔も雰囲気もがらりと変わってしまうものです。写真だけでは似ているかどうかはわかりません。現時点ではなんともいえません」
……それから刑事たちは前回同様、私の部屋に女装道具があるかないかを調べたいといってきた。無論、私はそれを断った。すると刑事はこういった。
「なにも後ろ暗いことがないなら、家宅捜査をされても別にいいんじゃないの?」
たしかに一理あるかもしれないが、なにも後ろ暗いことがないからこそ『なんで無実の私が家宅捜査されなきゃならないんだ!?』という怒りの感情が勝る場合もあるだろう。それにこの世の誰に聞いてみても、たとえ警察だろうと赤の他人に自分の部屋を隅々まで調べられるというのは気持ちのいいことではないはずだ。
だいいち、100歩ゆずって仮に私の部屋から女装道具が見つかったとしても、私が犯人である証拠になどまったくなりはしない。私が━━
「はい、ミッツ・マングローブさんに憧れて、最近女装の趣味に目覚めたんです。なにか悪いですか?」
━━と切り返したら、警察側は反論できるのだろうか?できないはずである。決定打にはなりえないのだ。
そもそも家宅捜査の前日に女装道具をすべて処分していたらなんの意味もないと思うのだが……。
しかし、被害者の女性の証言で、私への嫌疑がさらに濃厚なものになってしまったことは否定できない。そういえば前回の記事にこのようなコメントが送られた。
「疑われてしまったら、無実を証明する必要がありますよ」
……私が無実であることを証明するのは造作もない。
痴漢が発生しているのは朝の4時から6時くらいまでの間らしいのだが、その時間帯にメシア家の前を毎日張り込めばいいのだ。それも1年間にわたって。
私が犯人ならばその時間帯に外出するはずである。それも女装姿で(笑)。もしも私が1年間にもわたってその時間帯に外出をしなかったら、私の無実が100%完璧に証明されるはずである。私の家の前で張り込みをおこない、私が朝の4時から6時までの間に外出をしないことをその目で確認すればいいだけのことなのだ。わざわざ裁判所から許可を得て、わざわざ家宅捜査をする必要などまったくない。もっといえば、本人のもとを訪れて尋問する必要性すらないといえる。
①━━痴漢犯の疑いがある男がいる。
②━━その男の住まいの前を数ヶ月間張り込む。
③━━犯人候補の男が痴漢事件が起きる時間帯に外出をしなかったら、その男を
容疑者リストの中からはずす。
たったのこれだけでいいのだ。たったのこれだけで疑いがかけられた男の無実を確認することができるのである。
たとえ事件が起きる時間帯に外出することがまれにあったとしても、尾行をして男の行き先を確認すればいい。そしてただ飲みに出かけただけだったとか、そうした裏付けをとればいいだろう。
これだけで次々と犯人を絞り込むことができるのである。無実の人間のもとを訪れて家宅捜査させろだの、そんな失礼で面倒なことをする必要はないのだ。
これで一件落着なわけだが、この程度のことを警察というのは考えつけないものなのだろうか……?