ハッカーに盗まれたNEMの行方、ホワイトハッカーが捕捉し包囲網

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 仮想通貨NEMが、国内取引所Coincheckから5億2300万XEM盗まれたことがわかりました。取引所がNEMをホットウォレットに保管し、マルチシグを掛けていなかったことが原因ではないかと考えられます。

 この盗まれたNEMについて、現在ホワイトハッカーが追跡中です。ホワイトハッカーはNEMコミュニティの日本人開発者で、NEMのモザイクという仕組みを使い、盗難犯のアドレスからの送金にマーキング。犯人の追尾を行っています。

 そもそもNEMを含む仮想通貨はブロックチェーン、分散型台帳技術を用いています。トランザクションごとのブロックがハッシュによって鎖状になっており、お互いに台帳の整合性を確認する仕組みです。つまり台帳は全世界に公開されており、取引所やユーザーのアドレスから、そのアドレスには通貨をいくら保持されていて、どこに送られ、そこからまたどこに送られたかというのは追跡が可能なのです。

 一方で、こうした非中央集権的性質のため、盗まれた分だけを直接停止・強制回収することはできません。

 そこで先程のホワイトハッカーのモザイクが目印として役に立ちます。世界中の取引所に今回の事態を通知し、この目印が付加されているXEMは盗難されたものであり、取引や換金を拒否すべきものだ、というのが一目瞭然となります。

 NEM財団も自動追跡用の仕組みを24時間~48時間以内に導入すると述べています。受け取ったアカウントもマーキングし、取引所に対してそのマーキングを見分ける方法を伝えているとのこと。

 いわば「これは犯罪によって盗まれたものだ」という文字が、紙幣に突如として印字されるようなもの。世界中の取引所は換金を拒否するでしょう。犯人もNEMをどこかに売ることができないとわかれば、送るのも持っているのも無駄です。身代金を支払うことを条件に盗難分を返還する、などといった交渉も可能となるかもしれません。

 仮想通貨への信用が揺らぎかねない一方で、実は仮想通貨というのは最新技術で作られており本質的には民主的で、追跡が容易で、マネーロンダリングも困難である、デジタルならではの通貨なのだと周知されるきっかけとなる可能性もありそうです。