卵巣がんのメカニズムを解明して、
新しい治療につなげたい
―お二人とも今は研究をされていますが、産婦人科医をめざしたきっかけはなんですか?
古宇: 僕は父親が産婦人科医だったので、その姿を見てなりたいな、というのが最初です。ただ、研修期間中は他の科にも色々と魅力を感じたのですが、最終的に産婦人科へ研修に来た時、一番自分に合っているな、と。また、研修医として一緒に働かせていただいた先生がいい方ばかりだったので、その影響もありますね。
皆川: 私の場合は少し違っていて、もともとは内科志望だったんです。というのも、超音波の検査が好きで。研修医2年目に産婦人科を回ったとき、超音波を使って胎児エコーをしたのがとても面白く、その影響で産婦人科医になりました。腎臓や肝臓、腫瘍などを診るのではなく、お腹の中にいる胎児を診ることにとても感動したんです。
―大学院生とはいっても、外来や病棟の担当医もされるのですか?
古宇: 学年によって、研究に専念できる時期もあるし、今は研究がひと段落ついたので臨床と研究を並行して進めています。
皆川: 私の場合は、去年までは病棟勤務がメインで、合間を縫って実験していたのですが、いよいよ今年から研究に専念していきます。
脳性麻痺で産まれてくる赤ちゃんの治療法を研究しています
―おふたりの研究内容は?
古宇: 僕は腫瘍が専門ですので、婦人科のがんのなかでも卵巣がんについて研究しています。卵巣がんと一口に言ってもタイプがいろいろあり、一部には、抗がん剤が効きにくい方もいます。その理由や、メカニズムを解明することによって新しい治療につなげられたら、と思い、主に薬剤や抗がん剤を研究しています。
皆川: 私は、脳性麻痺で生まれてくる赤ちゃんにに対し、何か新しい治療法はないかということが研究テーマです。赤ちゃんへ実際に治療できたらということが最終目標ですが、今の段階はマウスやラットを使って、薬剤を用いて研究や実験をしています。
脳性麻痺は分娩時に低酸素にさらされることによって起こる避けがたいもので、治療法は確立されていないんです。だから、新しい可能性を探りながら何かしらの治療ができるのではないかと、模索しています。
―研究内容の決め方は?
古宇: いろいろな形があります。医局の特徴もあって、教授から指導されることもありますし、他の科から情報をいただき、それを研究内容にすることもある。また、先輩たちがやられてきた研究の流れを踏襲することもあります。基本的には、自分のやりたいことを伝えて、ベテランの先生にアドバイスと相談をうけながら決めていきます。
―産婦人科のいいところはどこですか?
皆川: 元もと超音波に興味があったので、母体の検診は毎回とても楽しみです。お母さんと一緒に赤ちゃんをみながら、「これが顔ですよ、足ですよ」といって一緒に見ることができるのはとても充実した時間です。あかちゃんの成長を、お母さんはもちろん家族の方とも一緒に感じることができるのはいいですね。今は、3D画像で、とてもリアルに見えますし。
―将来の展望や夢は?
古宇: 研究がひと段落したので今から臨床に入るのですが、腫瘍を研究しているので、がん患者さんに少しでも手助けできるように頑張っていきたいですね。
皆川: まだ実験を始めたばかりですので、いい結果を出したいです。
―医局を希望される方に、メッセージをお願いします。
古宇: 患者さんと一緒に喜べるし、女性の一生に携われりみていける科というのは他にないですよね。赤ちゃんからおばあちゃんまで何世代にもわたってみていけることもありますし、やりがいあはあると思いますね。
皆川: 産婦人科の先生はみんな楽しいといっています。仕事自体を楽しんでやっている人が多いですね。やることはたくさんあるし、常に意欲をもって仕事ができると思いますね。 実際、働いてみてとても楽しい科です。