東京都は26日、2018年度予算案を発表した。一般会計総額は7兆460億円で17年度比1.3%増。羽田空港アクセス線など鉄道6路線の事業化に向けた基金を創設、国や鉄道事業者との費用分担などの検討を加速する。同時に公表した中長期の財政見通しでは、社会保障やインフラ維持など主な財政需要が今後25年間に15兆2000億円増えるとの試算を示した。
対象の路線は(1)羽田空港アクセス線(田町駅付近―羽田空港)(2)新空港線(蒲田―京急蒲田)(3)有楽町線(豊洲―住吉)(4)大江戸線(光が丘―大泉学園町)(5)多摩都市モノレールの南北2区間――の計6路線。いずれも国土交通相の諮問機関、交通政策審議会は30年ごろの開業を目指すべきだとしている。
創設する「鉄道新線建設等準備基金」は総額1兆円を見込む建設費への充当を想定する。都が47%保有する東京メトロ株の配当の累計約620億円を18年度に積み立て、19年度以降も年数十億円の配当を繰り入れる。予算案には鉄道網の調査費として17年度の2倍の8000万円を計上した。
中長期の主な財政需要は、高齢化で社会保障費が年300億~400億円膨らむほか、公共施設などインフラの維持・更新費が年平均約1300億円のペースで拡大。さらに首都直下地震などの防災対策費や20年五輪開催費約1兆4000億円が加わる。
予算案は市場会計など全会計の合計では17年度比11%増の14兆4400億円。国民健康保険が区市町村から都に移管されることで1兆円程度膨らんだ。