ホコリは家の中で常に移動している
これまで、家の中のホコリやカビと病気の関係について解説してきました。ここでは、「家の汚れと掃除の基本的な関係」についてお話ししましょう。
当たり前のことではありますが、そもそも汚れであるホコリには原因があります。
部屋が汚れる原因である「ホコリの発生源」となるものが必ず存在するのです。
代表的なホコリの発生源としては、
●衣類からの繊維 ●布団やクッションからの綿ボコリ ●人間の皮脂 ●抜け落ちた髪の毛 ●外から持ち込まれた土砂 ●食べこぼし
などが挙げられます。これらが混ざり合って、ホコリはできあがっていきます。
このように、ホコリの種がなければ、ホコリの花は咲きません。
次に大事なのは、発生したホコリの種は家の中で「拡散」するという点です。
ホコリは空気中を浮遊したあと、非常に軽いもの以外は、床や棚などの水平面に向かって落ちていきます。
そして、家の中で人や物が動くたび、それがわずかな動きであっても、必ず「気流」が発生します。いったんはある場所に落ち着いたホコリは、人や物が動いたり、窓を開けたり、エアコンをつけたりするたび、この気流に乗って飛散、移動するのです。
床に落ちたホコリは、はじめは部屋の中に散らばって点在しています。量も少ないうちは、細かいホコリは目に見えにくいため、部屋はきれいに見えています。ところが、このまま放置していると、人や物が動いて起こる気流で、だんだんとホコリは部屋の隅や家具の周りに集まっていき、これが部屋を汚く見せているのです。
家の中で具体的にホコリの集まりやすい場所としては、
●廊下の隅 ●部屋の壁際 ●家具の周り ●換気扇のある場所 ●静電気を帯びたテレビなどの電化製品周り ●エアコンの下
などが挙げられます。
これらを効率よく回収し、ホコリや、そこに含まれるカビやウイルスによる病気を予防するには、次の方法で掃除をするようにしてください。
空気中のホコリが床に落ちきった早朝に、上で挙げた「ホコリの集まりやすい場所」の床を、ドライシートのフローリングワイパーで一人静かに掃除していきます。ウェットシートのほうがホコリをよく取ると思われがちですが、実は床の水拭きは、汚れや雑菌を塗り広げてしまうため、おすすめしません。
また、テレビなどの電化製品のホコリは、マイクロファイバーのクロスでそっと拭き取ってください。マイクロファイバーは繊維が細かいため、小さな粒子のホコリも逃さずキャッチします。
この「掃除は一人で、静かに」というのには理由があります。人が動くことにより発生する気流を抑え、ホコリの舞い上がりを極力減らすためにも、起きて活動している人の数は少なければ少ないほどいいからです。
また、フローリングワイパーやマイクロファイバークロスの動かし方もポイントです。乾いたホコリを取り去るのが目的ですから、力を入れてゴシゴシこする必要はありません。フローリングワイパーは、体からできるだけ離して、床に密着させ、力を入れすぎずに、前方に向かって静かにゆっくり床を滑らせます。マイクロファイバークロスでの拭き掃除も、一方向にそっと静かに動かすことで、ホコリの舞い上がりを最小限に抑えることができるのです。
普段、みなさんはあまり気にされていないかもしれませんが、そもそも掃除の基本は「汚れを集める→回収する」の繰り返しです。この工程を効率よく行うことさえできれば、必ずしも家中を一生懸命掃除する必要はないということです。
すべての箇所を均等に掃除するのではなく、ホコリが集まりやすい場所を重点的に掃除することで、ホコリに含まれるカビ・ウイルスなどによる病気の感染リスクを効率よく下げることを目指しましょう。
●まとめ●ドライのフローリングワイパーやマイクロファイバークロスで、ホコリの集まる場所を重点的に掃除し、ホコリの絶対量を減らすことが大切。