【概要】
2003年のブタペスト・オープンアクセス・イニシアチブと2013年のG8オープンデータ憲章は,科学アカデミーからのボトムアップな自主活動とトップダウンの政策提言という互いに交錯しつつも共通の方向を目指し,「オープンサイエンス」の実現を加速する転回点となった。
しかし,この方向が社会全般にわたるデジタル化の動向と軌を一にするものであるとしても,人類がこれまで営んできた科学という活動の本来のあり方をついに実現しようというのであるのか,それとも,デジタル化といういわば道具の変化が科学活動の本質を変えようとしているものであるかの見極めはついていない。実際,デジタル化とともに学術コミュニケーションの形態は大きく変化し,研究室,教室,「図書館」における知識の生産と伝達の様式は予測不可能なほどに変貌しつつある。
この変化の中で,我々が向かうべき具体的活動の方向性を明らかにするためには,このセミナーの一日だけでも立ち止まり科学と学術の本来の姿を議論することによって,学術知識の生産に従事する関係者にとっての本筋を見出し,参加者が自らの状況に照らして次に進む一助となることを期待している。
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