ECサイト構築支援などを手がけるエルテックスによると、
2017年、多くのEC事業者が考えるビジネス上の重要課題は
「売上拡大」でした。
次いで「新規顧客の獲得」、「既存顧客へのサービス向上」が2位3位と続いています。
エルテックス 第9回通信販売調査レポート(外部リンクが開きます)
売上拡大の方法はいくつかありますが、キャンペーンなどの単発施策を繰り返すだけでは、売上を継続的に伸ばすことは出来ません。
商売の基本である「集客→売る」による、「売上ベースアップ」が、非常に重要です。
「売上のベースをあげる」=「柱の商品をつくる」ということ。
売上ベースとは、毎日10個以上売れる「柱の商品」が「いくつある」のか?がポイントです。
例えば、毎日10個売上る2,000円の商品があるとすると、その商品だけで1日に2,000×10=20,000円の売上がありますよね。
こういった「柱の商品」が10点あれば、20,000×10=200,000円の売上が、必ずある事になります。
これが売上ベースです。
「柱商品をつくる」以外にも、取扱点数を増やすことによる「まとめ買い、並行買いの頻度を増やす施策」、
関連商材を増やすことで店舗離脱を抑え、購入に直結しやすい施策を打つなど、少ない集客でも売上を支える方法はいくつかありますが、今回は弊社が実践する「柱商品のつくり方」についてご紹介します。
楽天市場のユーザーでは、どのようなチャネルを経て商品ページにたどり着くのでしょうか。
ここでは集客における3つの主なチャネルを紹介します。
楽天市場内の検索流入は、広告費をかけずに確度の高い顧客を流入させることのできるチャネルです。
売上ベースUPにはモール内検索からの流入増が不可欠ですが、それには地道なSEO対策が必須です。
検索結果の上部に表示される楽天CPC広告、バナー広告、メルマガ広告などがあります。
自店商品を買ってもらったことがあるお客様を、ダイレクトに集客することのできるチャネルです。
有用なチャネルである一方、短期間に何度も行える施策ではありません。
本記事では楽天市場のモール内検索における近年のSEO対策について、弊社が行っている実例を元に、
実際の業務で何を行えばいいのか、解説していきます。
楽天市場で検索順位を上げるためには、そのロジック(仕組み)を知っておく必要があります。
しかし、楽天市場の検索ロジックは頻繁にアップデートされ、またその中身は公開されていません。
そこで、弊社がSEO対策をしていく中で導き出した、ここ数年で変わっていないと思われる検索ロジックをご紹介します。
楽天市場の検索では、以下の4つの要素が重要視されています。
検索されるキーワードが商品情報に含まれているかどうか、です。キーワードの有無は商品タイトル、商品キャッチコピー、商品説明文がチェックされます。
キーワードの位置が商品タイトルの前側ほど重要だと認識され、検索順位に影響します。
また、キーワードの配列は完全一致の方が高く評価されます。検索のサジェストで「ソファー3人掛け」と表示されているのであれば、この通りのキーワードの方がSEO的には有利です。この場合「ソファー 3人掛け」(スペースが間に入っている)では上位の検索順位を取れない可能性があります。※
「商品が売れている数」は、検索順位を決定する非常に重要な要素です。
「売れている→需要が高い」ので楽天市場としても、検索順位を上げて、より多くのお客様に見せたいわけです。
いくら検索キーワードが商品情報に含まれていても、売れていない商品は検索順位が上がりません。
また、「売れている数」と言うのは「買ってくれた人の数」です。一人の顧客が大量に購入しても検索順位が上がるわけではありません。
転換率は商品ページアクセス数に対しての、売れた数の割合です。転換率が高いほど、検索順位向上が望めます。
アクセス数だけでなく、転換率の高いキーワードを探し、対策するようにしましょう。
商品レビューの質(数とレビューの高さ)も検索順位に影響すると言われています。
「レビューが多く、高評価→人気があり、顧客満足度も高い」ので、検索順位の上位に表示されやすい、というわけです。
たまに、レビュー数が少ないのに、売上が急増したため検索順位の上位に上がる商品もありますが※、稀です。
高い商品レビューを書いてもらえるような商品作り、施策は常に続けておくべきでしょう。
上で説明した通り、楽天SEOではキーワード対策も重要ですがそれ以上に「売上数」が重要です。
では、新しく登録した商品などの「まだ売上のない商品」はどのように検索順位を上げていけばよいのでしょうか?
商品を売るには、商品ページへのアクセスが必要ですが、売上のない商品はSEO的に弱いため、モール内検索からの流入は見込めません。
そのため弊社では、以下の施策の流れで、売上の低い商品のモール内検索集客力を高めています。
①検索以外のチャネルから流入を増やし、売上を作りつつ、
②SEO対策を行い検索順位を上げ、モール内検索からの流入を増やす
それぞれの施策についてご説明します。
メルマガや、全商品ページにバナーを貼るなどの店舗内回遊で、集客力を上げたい商品ページへ誘導します。
まだSEO的に全く強くない商品ページなので、転換率はあまり気にせず、その商品の売上を作る事に集中しましょう。
将来の集客への投資として、多少の赤字覚悟でクーポン発行や期間限定価格を設定して、買うハードルを下げるのも一つの手です。
とりあえず商品を売り、どんな小さなワードでもよいので、「何かしらのワードに表示されること」を目指しましょう。
売上を作る施策と並行して、SEO対策を行います。
作業としては
「検索キーワード選定」
「商品タイトルの作成」
「商品情報へのキーワード挿入」
です。
作業の具体的な説明に入る前に、まず「ビッグワード」と「スモールワード」について説明します。
ビッグワードとスモールワードの違いは、検索ボリュームの大きさの違いです。
検索ボリュームとは、そのキーワードが検索されている回数です。ボリュームが大きいほど検索回数も多いため、
表示される回数も増えますが、競争率もまた非常に高い傾向にあります。(みんな自分の商品を、多くの人に見せたいですよね)
これがビッグワードと呼ばれるキーワードです。
一方スモールワードはビッグワードよりも検索ボリュームが低く、より商品の特徴を説明したキーワードです。
例えば、北欧風のローソファー商品を扱っていたとします。この場合、「ソファー」はビッグワードで「ローソファー」「北欧 ソファー」はスモールワードになります。
まだ売上のない商品を、いきなりビッグワードの検索結果の上位に持っていくのは、非常に困難です。
そのため、弊社ではまず、スモールワードで検索上位にいくようにSEO対策を行い、そこからの流入→売上が出来るようになってから、ビッグワードでの検索上位を狙うように対策しています。
では、ビッグワードとスモールワードの検索ボリュームの大きさは何で判断できるのでしょうか?
これは後述の「検索キーワードの選定」で具体的にご説明します。
モール内検索からの流入を増やすために、どの検索キーワードを対策するのか、キーワードの選定は非常に重要です。
弊社では以下の手順で対策キーワードを選定しています。
①商品に関連するキーワードを洗い出す。
②検索サジェストからキーワード選定
③注目キーワード一覧 から商品と関連性の高いキーワードを選定
④競合他社の関連性の高い商品は、どのようなキーワードで対策しているか調べる。
⑤キーワードが出そろったら、そのキーワードの検索結果に出ている商品群のレビュー数でビッグワード、スモールワードを設定する。
北欧風のローソファー商品を例に、キーワードの選定をしてみましょう。
①この商品に関連するキーワードは「家具」「インテリア」「ソファー」「北欧」が挙げられます。
②ソファーで検索するとサジェストで「ソファー 3人掛け」というキーワードが出ました。関連性の高いキーワードなので追加します。
③注目キーワード一覧に「モノトーン」というキーワードがあり、この家具の色味に合っているため追加します。
④競合他社の商品タイトルを見ると、「コンパクトソファ」「ローソファ」「モダン」「布」「おしゃれ」「ファミリー」などの、材質や、見た目、使うシーンなどソファーの特徴を説明するようなキーワードが使われていました。
これらを一度検索サジェストで確認し、サジェストされたキーワードは追加します。
「家具」「インテリア」はソファー以外の家具全般の商品が競合となるため、非常に競争が激しく、また範囲が広いキーワードなので狙うのはあまり意味がありません。「ソファー」をキーワードとして残し、最終的に以下のようなキーワードを選定しました。
ソファー,ソファー 3人掛け,モノトーン,コンパクトソファ,ローソファ,モダン,布,おしゃれ,ファミリー
商品タイトルは前述のSEOロジックの通り、対策したいキーワードをタイトルの前の方に配置します。
検索ボリュームが大きめのスモールワードを前に配置し、次いでボリュームの小さいキーワード、そしてビッグワードを後ろの方に配置します。※
この時注意したいのが、キーワード配列の組み合わせによってもボリュームが違う、と言う点です。例えば以下のような2種類の配列の組み合わせを検索してみると、検索結果のレビュー総数が異なります。
スモールワードの検索対策を行う場合は、検索ボリュームが低いとそもそも検索されない可能性があるので、検索ボリュームの大きいキーワード配列になるようにしましょう。
SEO対策は、キーワードの調整だけでなく、クリックされるための検索結果のサムネイル画像の調整や、商品のカテゴリ登録場所など
様々な要素の作業が必要です。
キーワード調整以外のSEO対策チェックリストを用意したので、これら参考にしながら、継続して調整を重ねてみましょう。
次のページでは集客した後の、「商品を売る」と言う点についのノウハウをお伝えします。