消費が今ひとつ盛り上がらないと言われる中で、大阪がひとり気を吐いている。
日本百貨店協会が1月23日に発表した全国百貨店売上高(店舗数調整後)では、大阪地区の売り上げが前年同月比12カ月連続でプラスを続け、2017年1月から12月の累計では、6.6%の増加となった。
全国平均は0.1%の増加だったから、そのすさまじさが分かる。ちなみに東京は0.5%増、名古屋は0.4%減だった。
大阪の百貨店売り上げは2017年1月から前年同月比プラスに転じ、6月には同7.3%増、9月には13.9%増を記録するなど、好調ぶりが目立った。
この結果、百貨店売上高全体に占める大阪地域の割合は13.6%にまで上昇、東京の27.0%に次ぐ規模に。東京の「10分の1経済」などといわれて久しいが、百貨店売り上げだけで見る限り「商都復活」といった趣きなのだ。
ずばり、外国人観光客による「インバウンド消費」の急増が百貨店の売上増に直結している。
産経新聞が大阪観光局の推計として報じたところによると、2017年に大阪府を訪れた訪日外国人客は1100万人。その消費額は1兆1731億円にのぼったという。消費額は3年前に比べて4倍になったというから、大阪の消費底上げに大きく貢献している。
日本政府観光局(JNTO)の推計による日本全体での訪日外国人は、2017年1年間で2869万人だったので、3人に1人が大阪を訪れた計算になる。
訪日外国人とくに中国人によるインバウンド消費が、日本の消費を下支えしているのは間違いないが、なぜ、大阪なのか。
ひとつは「足の便」。
関西国際空港に格安航空会社(LCC)専用のターミナルができるなど、LCC便の数が大きく増えたことが背景にあるとみられる。また、香川・高松空港など周辺の空港でもチャーター便などの発着増が増えており、周遊客が大阪を訪れやすくなっているとみられる。
だが、一方で、人数増だけでは説明ができない点もある。地域別百貨店売上高の年間データで、大阪以外の関西エリアの業績がパッとしないのである。京都は0.1%減だし、神戸に至っては9.4%減である。やはり「大阪」人気が盛り上がっているのだ。