実際にかぼちゃの馬車の公式サイトで物件を検索すると、比較的立地・賃料などの条件が良いにもかかわらず、ほぼ全空のような物件が散見される。

全17室の全空物件(かぼちゃの馬車公式サイトより)※2018年1月25日現在

一部のオーナーによると、空室状態を改善させるために、説明されていた家賃より低い金額で入居させていたケースも多かったという話もある。あるオーナーは「最初は家賃6万円と説明されていたが、実際には4、5万円だったと後から知った」と語る。入居率が低い上に家賃も抑えていたのであれば、サブリース賃料との逆ザヤ状態はさらに拡大していたことが伺える。

入居率の低さは当然という見方もある。中古戸建をリノベーションしたシェアハウス5棟34室を所有する「投資家ずん」さんは「募集媒体を自社サイトに限定していることがある種の機会損失になっている」と指摘。かぼちゃの馬車は共用リビングを造らない仕様のため、シェアハウス募集サイトの中には共用リビングが一定の広さでないと掲載しないサイトが多いことも影響しているとみられる。

物件価格に関しては、スマートデイズが建築コストに儲けを上乗せして販売し、その金で家賃保証を補填していたとみられている。投資家ずんさんはスマートデイズが新築で得た売上の内訳に関して「仮に1億円で販売されたかぼちゃの馬車があったとして、土地建物の価値は5000万円程度。販売協力会社へのマージンなど諸々の経費が1000万円で、残りの4000万円くらいが利益だったのでは」と分析している。

自身の所有物件は全て自主管理で、平均利回り20%を超えている。「私の物件は家具家電まで含め1500万円程度の投資で7室のシェアハウスを立ち上げています。つまり1室あたりの金額は200万円代ですが、かぼちゃの馬車の1室あたりのコストは立地にもよりますが1000万円を超えている。新築と中古の違いはあるにせよ、投資家目線からすると割高感は否めません」

なぜ、高属性のオーナーが被害に遭ってしまうのか

かぼちゃの馬車を購入したオーナーは、高年収のサラリーマンや弁護士、公認会計士などの有資格者が多いとされている。スマートデイズが急速に売上を伸ばしてきた背景には、こうした高属性の個人オーナーたちの「信用」によって、さまざまなリスクを肩代わりさせてきたという面がある。

なぜ、このように属性が高い数百人ものオーナーが、このビジネスモデルの欠陥に気づかず被害に遭う結果となったのか。背景には「社会貢献」という言葉、そしてスマートデイズとスルガ銀行の歪んだ関係が見えてくる。(後編へ続く)

(楽待新聞編集部)

○取材協力
投資家ずんさん(https://goodasset.net/