任天堂は25日、同社初のスマートフォン(スマホ)ゲームの「Miitomo(ミートモ)」のサービスを5月9日に終了すると発表した。2016年3月のスマホゲーム参入から約2年間で4本を配信してきたものの、まだ収益の柱には育っていない。自社キャラクターの認知拡大や課金モデルの研究といった段階からの脱皮が求められる。
任天堂は15年3月にディー・エヌ・エー(DeNA)と資本・業務提供を結んだ。ミートモは初めて両社が共同開発したスマホゲームとして配信当初は注目を集めた。「Mii(ミー)」と呼ぶ自分の分身となるキャラクターをゲーム内に作り、友達との交流を楽しむ仕組みだ。
「ニンテンドースイッチ」などの据え置き型ゲーム機と連携し、同じキャラクターを共有できる。サービス終了により、ミートモでしか入手できなかった服などはゲーム機内で使えなくなる。
任天堂はこれまでスマホゲームで様々な課金モデルを導入してきた。ミートモではゲーム内で使えるコインを購入し、アイテムを手に入れられる。2作目となる16年12月開始の「スーパーマリオラン」では1200円での買い切り型、17年1月の「ファイアーエムブレムヒーローズ」では「ガチャ(有料の電子くじ引き)」を採用した。
スマホゲームの収益化に向けたノウハウを蓄積してきたとみられる。マリオなど同社のキャラクターに触れる機会を増やし、17年3月に発売した「スイッチ」への関心を高める狙いもあった。
スマホゲームを含む事業領域の17年4~9月期の売上高は179億円で、全体の5%にすぎない。17年11月に配信を始めた「どうぶつの森 ポケットキャンプ」も課金無しでゲームを進められる部分が大きく、業績への貢献は限られるとみられる。
任天堂はスマホゲームの運営資源を最適化するためにミートモを終了する。年2~3本を配信するとしている中で、これまでの「実験作」でためてきた実績をどこまで生かせるかがこれからの課題となる。(上田志晃)