こうしたDMCA削除申し立ての濫用は、上院議員候補者、中小企業、エクアドルの大統領など広く行われている。また、ロボットの暴走や、パブリックドメイン作品、ホワイトノイズへの削除申し立てといった問題も発覚している。企業が自社の悪評を消し去ろうとする試みも増加傾向にある。企業、あるいはその背後に暗躍するオンライン・レピュテーション・マネジメント会社(企業炎上コンサルタント)は、その悪評のコピーをインターネットの何処かにタイムスタンプを改ざんして「公開」する。その後、そのコピーが侵害されたと偽って、DMCA削除を申し立てるのだ。
また、DMCA削除申し立ては、政治的な言説、あるいは不愉快な言説を標的にすることもある。我々EFFは、ビデオの内容には賛同し得ないが、ハーレムシェイクするFCCのアジット・パイ議長のビデオがDMCA削除されたことを批判した。さらに、あるユーチューブ「パーソナリティ」が差別的な発言をしたあと、彼のゲーム実況動画を削除するためにDMCAを利用しようとしたゲームメーカーにも同様の懸念を抱いている。著作権は言論を取り締まるためのものではない。
著作権はDMCA以外にも、検閲ツールとして利用されている。たとえば、オンライン不動産データベースのZillowは、建築ブログ「McMansion Hell」が使用する物件の画像は著作権法におけるフェアユースに該当しないと主張し、同ブログを脅したことがある、しかし、MacMansion Hellは、マックマンション(粗製乱造された豪邸)にユーモアを交えた批評を加えるために写真を使用しており、フェアユースであることは明白であった(さらに、Zillowは写真を所有してすらいなかった)。EFFはMcMansion Hellに代わって反論し、ブログは残された。
コンテンツの所有者たちは、インターネットの言論を排除するため、アップロードフィルタリングやドメイン名の凍結など、より強力なツールを求めて続けている。こうしたツールはクリエイターを助けるとは到底考えられず、検閲のための便利な手段として用いられることになるだろう(また、YouTubeのようなフィルタリングメカニズムの構築に既に多額の投資を行っているプラットフォームの地位をさらに高めるだけである)。こうしたシステムは、明確な基準や手続きを必要とせず、言論を迅速かつ容易にインターネットから消し去れるよう設計されている。政府が検閲に乗り出すとすれば、まずは著作権フィルターという体裁で導入されることになるだろう。そのようなフィルターが導入されないようにすることが、我々の責務だ。
Copyright, The First Wave of Internet Censorship | Electronic Frontier Foundation
(EFF) / CC BY 3.0 US
Publication Date: January 18, 2018
Translation: heatwave_p2p