楽天 Kobo で購入した電子書籍を calibre で管理することにした。calibre を使えば印刷やフォーマット変換も自由自在。
NHK の語学講座は,語学学習のペースメーカーになってくれるのでありがたい存在である (nlog(n): 「実践ビジネス英語」の2週間音読計画と実践結果)。テキストを持ち歩いて,スキマ時間に音読すれば効率的に学習ができる。
さて問題はこのテキストである。1冊 (1か月分) を持ち歩くのは厚すぎるので量を減らしたいし,書き込みをして繰り返し使いたいという希望がある。最初は,紙のテキストを購入してスキャンして PDF 化し,必要なページを印刷して持ち歩いていた。しかし,傾いたりして品質がよくない。そこで,印刷可能な電子ブックのサイト Fujisan.co.jp に登録し,Bullzip Free PDF Printer を使って PDF 化することにした (nlog(n): 印刷可能な電子書籍を無理やり PDF 化)。ところが,これをするには見開きの2ページずつ同じ処理を繰り返さなければならないため,手間と時間が異常にかかってしまうという欠点があった。
これまでの問題を一気に解決してくれるのが楽天 Kobo である。Kobo デスクトップアプリは印刷ができないという欠点があるが,電子書籍管理ソフト calibre を使うと Kobo の電子書籍を取り込むことができて,印刷が可能になる。Kindle 等へのフォーマット変換もできる。何よりも電子書籍の一元管理ができるのが嬉しい。
楽天 Kobo というと,「電子書籍リーダー」のハードウェアである Kobo Touch の場合と,「電子書籍自体」を指す場合があるが,この記事で扱うのは「電子書籍」そのものの意味である。
楽天 Kobo の電子書籍をパソコンで読むには,楽天Koboデスクトップアプリを使う。ただし,インストールして同期すると,購入した書籍は「すべて一括で」ダウンロードされるので,注意が必要である。購入してある書籍が大量にあるとパケ死するので,Wi-Fi 環境で実行したい。
購入した書籍の一部だけをダウンロードしたい場合は,楽天のサイトにログインし,「マイライブラリ」で「同期」を OFF にする必要がある。ただし,同期を OFF にすると,ダウンロード済の書籍も PC から削除されてしまうのが難点。同期を ON にすれば,書籍の数が多くなればなるほど (ダウンロードしなくても) 同期に時間がかかるようになってしまう。
calibre はフリーの電子書籍管理ソフトウェアである (calibre - 窓の杜ライブラリ,calibre - Wikipedia)。楽天 Kobo にはデジタル著作権管理 (DRM) がかかっているが,これを解除して calibre に取り込むプラグインが公開されいる。
前述のように,楽天の書籍の同期に関する設計はよくないが,calibre で管理することにしてしまえば,必要な書籍だけを同期させることで,ディスク容量や同期にかかる時間を節約することができるのだ。
動作環境は,MacBook Pro, Mac OS X 10.11.4 El Capitan, 楽天 Kobo デスクトップ 3.19,calibre 2.58, Obok DeDRM Plugin 3.2.0, Acrobat Professional 8.1.7 である。
楽天Koboデスクトップアプリ,calibre をダウンロードしてインストールする。calibre のプラグイン Obok DeDRM Plugin は,DRM 解除ツール DeDRM_tools の一部である。この「全部入り」をインストールしてもいいが,Kobo 用だけをインストールする手順は以下の通り。ダウンロードしたプラグイン obok_plugin.zip は展開しないでよい。
Obok DeDRM は,calibre プラグインの「ユーザーインターフェースアクションプラグイン」として登録される。バージョンは Obok DeDRM (6.3.6) と表示されるが,これは全部入りの DeDRM Tools のバージョンで,Obok DeDRM 単体のバージョンではない。
楽天 Kobo 電子書籍を PDF 化する流れは以下の通り。
calibre でも EPUB→PDF 変換は可能だが,品質が落ちてしまうので,画像ファイルを直接 PDF にする方法をとる。calibre の EPUB 形式のファイルは次のフォルダにある。
このフォルダは場所が覚えにくいという欠点がある。Mac のファインダなら,「コンピュータ名」→「ユーザ名」→「Calibre Library」の順でたどることになるが,一番簡単なのは,calibre の書籍名を右クリック (⌘ + クリック,または2本指タップ) して,「保存先のフォルダを開く」を選択することである。
この EPUB ファイルを展開するには,拡張子を zip に変更して開くか,展開用アプリケーションを使うかどちらかになる。拡張子を変更して展開し,また epub に戻すのは面倒なので,私は The Unarchiver を使っている。このアプリケーションであれば,拡張子が epub のままデスクトップに展開してくれる。
画像ファイルは「item」→「image」フォルダにある。画像は,表紙も本文も 1128×1600 ピクセルの JPEG ファイルになっている。200 dpi として計算すると,203 mm × 143 mm となって,A5 サイズの 210 mm × 148 mm とほぼ等しくなる。
気になるのはファイルサイズである。例えば,まいにちドイツ語2016年6月号の場合,EPUB ファイルは 37.5 MB,Acrobat で結合して標準ファイルサイズで PDF ファイルにすると 46.4 MB となった。Acrobat で OCR テキスト認識させると (複数言語指定はできないので「日本語」で),テキスト検索が可能になりさらにファイルサイズが小さくなって (若干の解像度を犠牲にして),25.7 MB となった。
楽天 Kobo の電子書籍を calibre に取り込むといろいろと便利になってありがたい。PDF 化の手間と時間も節約できるし,印刷もできるようになる。この記事では Mac を使ったが,Windows でも同様の環境を構築することができる。
Posted by n at 2016-06-07 16:31 | Edit | Comments (5) | Trackback(0)
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購入書籍は購入者の自由になるべきだと常々思っています。紙の本を購入したものが転売の自由を持ち、電子書籍購入者にはDRMで拘束されています。自己保管管理もままなりません。私もcalibre愛用者で非常に重宝しています。今回、楽天koboで購入した書籍を自己管理したくて、calibre 楽天koboでググって貴殿のサイトに辿り着き、無事自己管理が出来ました。有難う御座いました。kinoppyも何とかなりませんかね。
Posted by: haruyuu at December 14, 2016 05:44haruyuu さん
Posted by: n at December 16, 2016 05:28すべての電子書籍が自己管理できるようになるといいですよね。
bookliveもkobo(現在でも)も解除してプリントスクリーン、snippingやコピペはできるタイプなのでしょうか?
エバーノートにまとめる必要があるので聞いています。
補足calibre で Kobo 電子書籍をコピペ可能にしてエバーノートにまとめることできるようですが、
現在でも可能と考えてよいでしょうか?
calibreは無料で使えて窓の杜でダウンロードしてインストールできるのでウイルスのリスクはなさそうですが、
Posted by: ホト at January 13, 2017 15:07プラグインなども問題なさそうな、それなりに知られているものなのでしょうか?
ホト さん
Kobo に関しては,現在でも解除可能です。記事にも書いたように,calibre に保存されるデータには,各ページの JPEG フォーマットの画像ファイルが保存されていますので,どうまとめるかはお好きにどうぞ。
プラグインに関しては,ウイルス感染のリスクを気にするのであれば,この記事で紹介しているものはソースコードが公開されているので直接確認することが可能です。プログラムが読めなければ,GitHub での issue, プルリクエストなどの情報から間接的に判断してもいいかも知れません (多くの人が見ていて騒いでいなければリスクが低いと見るということ)。それなりに知られているかどうかは GitHub でのダウンロード数をご覧になって,ご自身で判断されるのがいいかと思います。
Posted by: n at January 13, 2017 15:36早速のお返事ありがとうございます。
bookliveはpdf化できるかわからないですがkoboはできるのですね。
そうしておけば楽天が撤退しても見れるしテキストもコピペできてまとめておけます。
割引はkoboのほうが少ないですが、それを上回るメリットがありますね。
Posted by: ホト at January 13, 2017 15:46アンドロイドでも見れますし。