NHK高校講座 世界史「中国の現代史〜解放から開放へ〜」[字] 2018.01.19
(眞鍋)マジカル・ヒストリー倶楽部にようこそ!歴史を知れば旅はもっと楽しくなります。
今回も世界を旅して歴史を学んでいきましょう。
さあ今回のミッションは「中国の現代史」。
中国については清朝が革命によって滅んでアジア最初の共和国が誕生したっていうところまで勉強したよね。
(永松)はい。
その革命の前後中国の民衆の多くは厳しい生活を強いられていました。
しかし今では……の経済大国まで発展したんです。
そうだよね。
じゃあ今日はそんな中国の発展の歴史を見ていく訳だね。
はい。
その発展に重要な役割を果たしたのが指導者の存在でした。
今日はその指導者たちがどのような方法で中国を豊かで強い国にしようとしたのかそれを見ていこうという旅です。
はい。
それではマジカル・ヒストリー・ツアーに出かけましょう。
まずは今回の見どころです。
いざ3つのビューポイント!今回のマジカル・ヒストリー・ツアーは現代中国発展の歴史をたどる旅。
訪れるのは中国。
時代は…この時代まずアジア最初の共和国中華民国が建国されます。
その後内戦と戦争を経て…現代中国誕生の背景を探ります。
そして豊かで強い国にしようとした指導者たち。
彼らはどのような方法を取ったのでしょうか。
マジカル・ヒストリー・ツアー。
現代中国発展の歴史をたどる旅へさあ出かけましょう!内戦と戦争を経てっていう事は内と外両方で戦争してたっていう事?はい。
そうなんだ。
じゃ日本もその歴史に深く影響してるんだね。
はい。
その戦いの結果現代の中国中華人民共和国が誕生します。
それではファースト・ビューポイント!いざテイクオフ!テイクオフ!マジカル・ヒストリー・ツアー。
まず初めは中国の首都…世界遺産故宮に隣接する…1949年ここで中華人民共和国現代の中国の建国が宣言されました。
建国に至るまでの中国は戦火が絶えない時期が続きました。
現代中国はどのようにして誕生したのでしょうか?それを探るために…。
マジカル・ジャンプ!1929年アメリカ・ニューヨークの株価暴落をきっかけにアメリカ経済が大恐慌に陥ります。
この大恐慌はたちまち世界に波及し資源を持たない日本は大きな打撃を受けました。
この事態を打開するため日本は現在の中国東北部を満州と呼んでそこで権益を拡大しようとします。
1931年満州に置いていた日本の軍が鉄道を爆破。
この事件を口実に満州事変を起こし東北地方全域を占領します。
翌年の1932年には満州国を建国させ日本の支配下に置きました。
当時中国は孫文によって中華民国が成立してからも政府は分裂し国内が混乱していました。
このため大多数の民衆は貧困にあえいでいました。
政治勢力として…孫文の死後後継者となったのが…介石は国民党の指導者としてまず国内の安定を図ろうとします。
アメリカの援助を得て…一方…共産党は労働者や農民を中心とする貧富の差のない社会を目指しました。
その方法は計画経済。
資本主義の市場経済ではなく国家の計画によって生産を行うというものです。
共産党は毛沢東が指導者としての地位を確立します。
彼は介石率いる国民党政権と激しく衝突し戦いを繰り返しました。
世界恐慌日本の満州支配が続く中中国は内戦状態にあったのです。
そして1937年。
北京郊外の盧溝橋で起こった軍事衝突をきっかけに日中戦争が始まります。
中国では日本に対抗するためこれまで争っていた国民党と共産党が協力して戦いました。
国共合作と呼ばれる協力体制で中国は日本との戦争を戦い続けます。
1945年日本の敗戦で第二次世界大戦が終結。
中国各地を占領していた日本軍は撤退し中国は日本から解放されました。
第二次世界大戦後介石率いる国民党政権と毛沢東が指導する共産党が再び衝突し内戦に突入します。
当初軍事的に優位だった国民党は政治の腐敗や経済混乱で民衆の支持を失い農村部を押さえた共産党が勝利しました。
1949年毛沢東は中華人民共和国の建国を宣言。
こうして共産党が指導する社会主義国家の建設が進められていく事になります。
敗れた介石と国民党は台湾に逃れ中華民国政府を維持していきました。
なるほど。
これが今の中国の体制につながっているんだね。
でこの時の内戦で毛沢東側が勝ったっていう事は格差のない社会を目指しながら豊かになろうっていう社会主義でいく事になったんだ。
そういう事です。
中華人民共和国はまずソ連をはじめとする…長い間新中国とアメリカは対立する事になるんです。
そうだったんだ。
でその新しい中国の方は順調に国づくりが進んでいったの?いえ毛沢東の理想の国づくりは現実との間で矛盾が生じ中国全土で大混乱が続いていく事になります。
そして新しい指導者が現れます。
そこでセカンド・ビューポイント!いざテイクオフ!テイクオフ!マジカル・ヒストリー・ツアー。
続いては東シナ海沿岸の都市…上海は社会主義政権の下市場経済を取り入れる経済技術開発区の都市として中国最大の経済都市に発展しました。
この豊かな社会の実現までにはさまざまな試行錯誤がありました。
それはどのような道のりだったのでしょうか。
それを知るために…。
マジカル・ジャンプ!建国以来毛沢東を主席とする中国は計画経済を取り入れ社会主義建設を推し進めていました。
1958年毛沢東の指導で大躍進と呼ばれる運動が展開されていきます。
これは農業は集団化によって工業は外国の技術に頼らず自力で発展させようとするものでした。
しかしそれは社会の実情に合わない性急でずさんな計画だったため経済建設は破綻。
運動は失敗に終わります。
また自然災害にも見舞われ…このころ…核兵器を持つアメリカを脅威と感じていた中国はこの動きに反発しソ連と対立するようになります。
1966年大躍進の失敗で指導権を失っていた毛沢東は復権を目指し文化大革命という運動を起こしました。
これは毛沢東を支持する青少年を動員し思想文化の変革を掲げて党や政府の幹部知識人を攻撃するものでした。
多くの都市の若者や知識人が農村に送られ過酷な労働を強いられる事もありました。
この運動は10年にも及び中国の政治経済は大混乱に陥ります。
しかしこの間政府は経済を立て直すため対立していたアメリカとの関係修復に努めていました。
1972年にはアメリカ大統領ニクソンが訪中し国交改善について話し合われました。
そして同年日本と日中共同声明に調印し国交の正常化を実現します。
中国は資本主義国との関係を強めていきました。
次の指導者になったのが…小平は市場経済を導入する改革政策を進めました。
…と大きく経済政策の方針を変更。
中国経済は急速に発展します。
その一方で政治の民主化を求める運動が活発化すると小平を中心とする政府は武力でこれを鎮圧します。
しかし小平の改革開放政策は中国が後に経済大国となる原動力にもなりました。
「豊かになれる者から先になれ」っていうのは社会主義の国なのに格差を認めちゃってる気がして何か矛盾を感じるよね。
そうですよね。
さて現代の中国は経済成長を優先させる中後回しにした格差の問題だけでなく新たな課題にも直面します。
それでは最後のマジカル・ヒストリー・ツアー。
サード・ビューポイント!いざテイクオフ!テイクオフ!マジカル・ヒストリー・ツアー。
最後は再び…首都北京を覆う光化学スモッグ。
北京は今人体に有害な大気汚染物質の発生が問題になっています。
なぜこのような事が起きているのでしょうか?それを探るために…。
マジカル・ジャンプ!1990年代から中国は社会主義市場経済を掲げ急速な経済成長を続けます。
これは共産党の一党支配を維持しながら市場経済導入の道を選んだ結果でした。
21世紀に入ると外国資本の導入と貿易の自由化をより一層推し進め輸出を伸ばしていきます。
そしてGDP国内総生産が2010年には世界第2位にまでになりました。
しかし急速な経済成長は新たな問題も生み出します。
都市を中心とした大気や土壌の汚染などの環境問題です。
健康被害をもたらす大気汚染の物質の発生は自動車の排気ガスや工場の排煙などが原因といわれています。
首都北京は環境基準を大きく上回る大気汚染の対策に迫られているのです。
また所得の格差も解消されていません。
例えば都市部と農村部の所得の格差は3倍以上に達しています。
こうした大きな課題を抱えながら21世紀中国は世界の中で存在感を高めています。
経済大国にまでなった中国にパワーを感じるけどもこれから公害にしても経済政策にしてもお隣の国だから日本にもたくさん影響があるよね。
そうですよね。
どうなってくのか気になるところだね。
はい。
注目していきましょう。
ここからは歴史の深いお話です。
アドバイザーの上田先生…。
(2人)よろしくお願いします。
さあ先生今日はどんなお話でしょうか?今日は北京オリンピックの話をしたいと思うんですけれども。
8が続きますね。
そうですね。
8という発音が実を言うとこの漢字。
これ中国語でファーというふうに言いますけれどこれは発財。
豊かになるとか発展の「発」なんですけれどもこれに近い縁起がいいという事でこの言葉に関わる時間が選ばれたんですね。
私は北京オリンピックの準備が慌ただしい北京を訪ねる事がありました。
その時の写真を今持ってきましたのでちょっと見て頂きたいと思います。
こちらが北京の発展のための模型を展示した所で撮ったんですけれどもここに故宮博物院。
昔の宮殿であった紫禁城がありますね。
それのちょうど真北の線上にオリンピックの会場があります。
これがその5月。
まだ建築中の…これから3か月後にオリンピックが始まる。
これが中国の発展の一つのシンボルという事になりますがちょうどその時中国北京の下町で写した写真がこちらなんですね。
大きなビルが迫ってますけれども街の昔の人たちがず〜っと住んでいた所が取り壊されて住民たちが立ち退かなければならない…というような状況になっていました。
こういう建物取り壊す…というような所にはこういう字ですね。
これ中国語でチャイというふうに発音するんですけれども日本語で取り壊すとかそういうような意味なんですが。
…だという事になっています。
ですから政府が必要だという事になりますと住民は本当に3か月ぐらい本当に短い期間のうちに立ち退かなければならない。
そういうようなところから立ち退きに抵抗感のある人たちがある種の反対運動を起こしたりというような形で中国の社会の矛盾という形も見えていくと。
ある意味で中国というのはこちらのファーですね。
発展とか豊かになる発財とかいうような言葉のファーというのとその一方でこういう取り壊されてある意味で光と影というのがこの言葉の中に漢字の中に込められている…という事になるかと思います。
意外なお話でした。
先生どうも…。
(2人)ありがとうございました。
さあ今回まで今につながる中国四千年の歴史見てきたけどどうだった?やっぱり成り立ちを知るとその国の見方も変わってきますね。
そうだよね。
いや先生中国さすがに歴史もダイナミックでしたね。
はい。
そうですね。
2018/01/19(金) 14:20〜14:40
NHKEテレ1大阪
NHK高校講座 世界史「中国の現代史〜解放から開放へ〜」[字]
歴史を知ると、旅はもっと楽しくなる! 世界各地の遺跡や観光地に隠された歴史の秘密を解き明かすマジカル・ヒストリー・ツアーに、みなさんも出かけましょう。
詳細情報
番組内容
今回のツアーで訪ねるのは20世紀の中国。清朝が滅んだ頃、中国の大多数の民衆は困窮していた。中国をいかにして豊かで強い国にするか、時の政権は試行錯誤を繰り返した。毛沢東率いる共産党は国家による計画経済を推し進めたが失敗してしまう。それはなぜだったのだろうか? その後共産党は経済政策を大胆に転換するが、それはどんな政策だったのだろうか? 上海や北京を訪ねてその謎に迫る。【出演】眞鍋かをり、永松文太
出演者
【講師】立教大学教授…上田信,【司会】眞鍋かをり,永松文太,【語り】山田みほ
ジャンル :
趣味/教育 – 中学生・高校生
バラエティ – その他
趣味/教育 – 大学生・受験
映像 : 480i(525i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
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