60年代のウィーン・フィルの映像を固めて観ている。
この頃のVPOはちょっとした端境期にあったと思う。
まぁぶっちゃけ言うと、出来にムラがある、ということだ。
ていうかライブは大概ヤバめの演奏が多い。
クナッパーツブッシュとのコンサートは、正直なかなかに粗い。特に弦。ピッチがバラバラだ。
やっぱりフルトヴェングラーという絶対的な存在を失った後、カラヤン・バーンスタインはまだ若手、ベームですら国立歌劇場を追い出されたり、まだ舐められてたような時代だ。
ちょっと弛んでいたのだろう。
70年代からはベームの天下となり、技術的向上が著しくなる。
ベームは後年こう言っている。
「ベルリン・フィルは勤勉だ。だからポンコツな指揮者でも一定のクオリティを保つ。しかしウィーン・フィルはダメだ!ポンコツ指揮者が来ると途端にメチャクチャしやがる!」
その頃のVPOの象徴なのがボスコフスキー。
「野武士軍団」と化したVPOの親分だ。
しかしそんな彼も楽団が嫌になってしまったらしく、晩年は付かず離れずの関係を保った。
彼こそがもっとも「ウィーン的」な奏者だったと言えるかも知れない。
それはヴァイオリニストとしてだけではなく、ニューイヤーコンサートの指揮にも表れている。
まぁーなんというむせぶようなウィーンの香り!この現場だけは「野武士軍団」も華麗な紳士に変身する。
『美しく青きドナウ』は、あのカルロスよりも上、ベストだと思う。
ウィーンの独特な三拍子が克明に聴ける。
翻って、今のVPOはなぁ。
なんかもういろいろ骨抜きになっちまって、ダメかも。