■復活した「メード・イン・ジャパン」
日本企業が本国に回帰する理由はそれだけ工場を運営しやすい環境になったからだ。安倍晋三首相は輸出競争力を強化するため、円安誘導政策を推進。2012年に30%だった法人税率を今年は23.2%まで引き下げる。06年には地域の均衡が取れた発展を名分としていた「工場再配置促進法」をなくし、首都圏での工場進出規制を全面的に廃止した。財界関係者は「韓国も首都圏規制が企業による投資で最大の障害だが、歴代政権は地元の反発を懸念し、手を付けなかった。日本政府は破格の規制改革を断行した格好だ」と述べた。
外国企業も日本行きを選択している。中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は昨年6月、中国企業としては初めて、千葉県船橋市に50億円を投資し、大規模な通信設備工場と研究開発拠点を設けると発表した。中国の自動車メーカー、長城汽車も再来年、日本に電気自動車、自動走行車の研究拠点を設け、中国のスマートフォンメーカー、中興通訊(ZTE)はモノのインターネット(IoT)の研究所を東京に置いた。米国企業では世界3位の半導体メーカー、マイクロン・テクノロジーが昨年5月、広島工場に20億ドル(約2240億円)を投資し、3年以内にDRAMを量産すると発表した。
ソウル経済研究院のヤン・グムスン上級研究委員は「日本をはじめとする世界各国が企業投資を誘致するため、法人税引き下げと規制緩和などに熱心に取り組んでいるが、韓国は逆行している。韓国の投資環境を企業にやさしいものへと改善しなければ、企業が海外に脱出する製造業の空洞化が加速し、雇用問題がさらに深刻化する」と指摘した。