インフルエンザは毎年冬になると流行する病気です。
感染力が強く毎年ニュースになりますよね。
今年もインフルエンザが猛威を奮っています。
今年のインフルエンザの厄介なところは、「A型とB型どちらも流行しているということです。」
A型が治ったと思ったら、今度はB型にかかってしまう可能性もあるので、油断は禁物。
さらに今年は良くテレビやネットでよく見聞きする「隠れインフルエンザ」にも注意が必要です。
あまり高い熱が出ないとか、軽い症状で、自分がインフルエンザだと思わず、外で感染拡大をしてしまうケースが多いそうです。
そこで体や免疫力が弱っている方に感染させてしまうと重症化してしまうことも多々あります。
さて、インフルエンザの予防と言えば「インフルエンザワクチンの予防接種」
治療薬といえば「タミフル」と、連想する方も多いのではないでしょうか。
この記事では知っているようで知らない抗インフルエンザ薬の効果や服用方法について詳しく解説していきます。
インフルエンザとは?
インフルエンザウイルスがのどや気管支、肺で感染・増殖することによって発症します。
インフルエンザウィルスは気道に付着すると20分程度で細胞内に取り込まれて増殖を繰り返します。
そのため、インフルエンザは高熱を伴って急激に発症し、全身倦怠感、食欲不振などの「全身症状」を強く現します。
関節痛、筋肉痛、頭痛も現れます。
また、インフルエンザは、中耳炎や肺炎、インフルエンザ脳炎などを合併して重症化することがあります。
基本インフルエンザは自然の免疫力で治す病気です。
個人差はありますが、通常約1週間~10日ほどで症状がおさまるといわれています。
ただし、症状がおさまっても数日はウイルスが体内に存在しており、他の人に感染させるおそれがあります。
一般的にインフルエンザに感染した人の鼻や喉からウイルスが排出される期間は、インフルエンザ発症前日から発症後3~7日間といわれています。
抗インフルエンザ薬の役割
排出されるウイルスの量は熱が下がるとともに減少しますが、解熱後もウイルスを排出します。
そのため重症化や長期化を防ぐため抗インフルエンザ薬を服用します。
抗インフルエンザ薬は、体内に侵入したインフルエンザウイルスの増殖をおさえる働きがあります。
発症から48時間以内に使用すると、発熱する期間が通常1~2日短縮され、鼻や喉から排出されるウイルスの量が減少すると言われています。
逆に発症してから48時間以上経ち、ウィルスが増殖しきってしまってからでは効果がありません。
抗インフルエンザ薬は主に3種類あり、年齢や症状によって選ばれます。
タミフル
A型インフルエンザおよびB型インフルエンザ両方に効果があります。
粉薬とカプセルがあり、生後2週目のお子さまから服用できます。
生後2週目~1歳未満の赤ちゃんには、1歳以上のお子さまの1.5倍量を服用することになっているので、お薬の量は多めです。
そのままでも飲めますが、多めの水で飲ませてあげるようにしましょう。
1歳から9歳までの子どもや、成人(20歳以上)の方は服用できます。
一方で、10歳以上20歳未満の未成年者には、異常行動による転落事故等の報告があったため、原則的には用いられません。
1日2回5日間飲まなければなりません。
妊婦・授乳中でも服用可能です。
腎臓病を持っている方は注意が必要なお薬です。
リレンザ
A型インフルエンザおよびB型インフルエンザ両方に効果があります。
吸入する抗インフルエンザ薬です。
このお薬は自宅でパウダー状の薬を自分で口から吸入します。
5歳以上のお子さまで、上手に吸入できる子に使われます。
正しく吸えないと効果が出ませんが、1日2回1回2吸入を5日間も吸入する機会があるので、わずかなお薬でも吸入できれば効果は得られるでしょう。
成人や、タミフルの使用が差し控えられる10代の若者に使われることが多く、5歳未満の上手に吸入ができない小さなお子さまには使われないことが多いです。
インフルエンザウイルスが増殖する気道にピンポイントで作用するため効果が速く、全身への影響も少なく、副作用の発生も比較的少ないです。
1日2回5日間使用し、妊婦・授乳中でも服用可能です。
喘息・乳製品アレルギーの方は注意が必要なお薬です。
イナビル
イナビルはリレンザと同様、吸入する抗インフルエンザ薬です。
A型インフルエンザおよびB型インフルエンザ両方に効果があります。
このお薬は長時間効果があるので、1回の吸入でインフルエンザの治療が終了します。
インフルエンザウイルスが増殖する気道にピンポイントで作用するため効果が速く、全身への影響も少なく、副作用の発生も比較的少ないです。
- 10歳未満のお子さまは1容器(2吸入で治療終了)吸入
- 10歳以上のお子さまは2容器(4吸入で治療終了)吸入
1回で正しく吸えないと効果がでないという難点がありますが、イナビルは半分も吸い込めば効果は十分と言われていますので、成人や、タミフルの使用が差し控えられる10代の若者に使われることが多く、5歳未満の上手に吸入ができない小さなお子さまには使われないことが多いです。
妊婦・授乳中でも服用可能ですが、喘息・乳製品アレルギーの方は注意が必要なお薬です。
成人および10歳以上の子どもは1日1回(吸入容器1本、20mg)服用×2日間または1回(吸入容器2本、40mg)、10歳未満の子どもは1回(吸入容器1本、20mg)を服用してください。
予防投与
抗インフルエンザ薬は、年齢に合わせて決められた量をきちんと服用することで、治療や予防に効果を発揮します。
インフルエンザ感染者の同居家族・共同生活者には、予防目的でこれらの抗インフルエンザ薬を使うことができます。
抗インフルエンザ薬は「ノイラミニダーゼ阻害薬」と呼ばれ、インフルエンザウイルスA型・B型のそれぞれの表面にある「ノイラミニダーゼ」が、細胞から放出されることを抑え、細胞内にウイルスを閉じ込める働きを持っているため、感染拡大を防ぐことが可能となります。
抗インフルエンザ薬予防投与の対象となる方は、高齢者や慢性呼吸器疾患や腎機能障害など基礎疾患のある方等、原則的にインフルエンザに感染すると、重症化するリスクが高い方となっています。
受験生や妊婦さんなどで、インフエンザに感染できない事情がある場合には、医師に相談することで処方箋を貰えるケースがあります。
一般的に、予防接種は免疫力を高めて、発症予防および重篤化を押さえることから、打ってから効果が現れるまで、約2週間かかるとされています。
しかし、抗インフルエンザ薬の予防投与では、治療同様インフルエンザウイルスの増殖を抑えることから、すぐに発症予防効果が期待できます。
ただし、飲んでいる間(10日間)しか、効果は持続しません。
また、治療と同様に予防投与の場合でも、インフルエンザ感染者に接触後48時間以内に服用する必要があります。
まとめ
抗インフルエンザ薬の予防投与は治療ではないため、健康保険は適用されず自費診療になります。
予防投与を行った場合でも、完全に発症を防ぐことはできません。
また、既に感染が成立していた場合には、予防量では防げないことがあります。
手洗い・うがい・マスク着用を心がけ、十分な睡眠、栄養のある食事で免疫力を高め、インフルエンザを予防しましょう。