1月21日放送『おしゃれイズム』(日本テレビ系)で、番組MCの上田晋也が、ゲストの千葉雄大に対して同性愛者なのかを問うワンシーンがあった。
お酒がすごく好きで、後輩とよく飲みに行くことが多いという千葉に、上田は「お酒を飲むとどんな感じになるの?」と質問。
千葉「(肉体的な)距離が近くなる。後ろから抱きつく」
上田「千葉くん、前から疑いはあったんだけど、コッチ(手のひらを顔のそばで返す。男性同性愛者を揶揄するジェスチャー)だよね?」
千葉「うーん、でもいいかなって」
上田「否定はしないのかよ!」
千葉「まだ持ち帰られたことはない」
上田「当たり前だよ!」
上田の発言は実にわかりやすく偏見に満ちていた。まず、肉体的な接触があるというだけで、ゲイ(あるいはバイセクシュアル)とする短絡さだ。同性同士であろうが異性同士であろうが、肉体的な接触がタブー視されるものではない(もちろん、同性同士であろうが、異性同士であろうが、一方が望まない形で肉体的な接触をすることも問題だが、そこにセクシュアリティや性自認は関係しない)。
また上田が「コッチ」という隠喩を使うのは、ゲイ(あるいはバイセクシュアル)を「公にしてはいけないもの」だと考えているからなのだろう。「(コッチであることを)否定はしないのか!」「(持ち帰りされていないのは)当たり前だよ」というのは、ゲイ(あるいはバイセクシュアル)を「否定するべきもの」と考えている証拠だ。
さらに、上田のイジリは、本人が望まない形で性自認やセクシュアリティを公表する「アウティング」に繋がりうることも懸念される。
問題の『おしゃれイズム』を見たときに思い出したのは、昨年8月に放送された、24時間テレビ『愛は地球を救う』の「今夜限り!生しゃべくりでタレコミ続出!その真相を初告白007」というコーナーのワンシーンだ(亀梨和也に「カミングアウト」を迫り石原さとみをコンパニオン扱いする、「24時間テレビ」のホモソーシャル)。
この放送でやはり司会を務めていた上田晋也は、タレントのIVANから「酔うとオネエになる」とタレコミを流されたゲストの亀梨和也を以下のように「イジって」いる。
上田「(オネエだってことを)言っちゃっていいと思うよ」
上田「(亀梨がピンクのTシャツを着ていることに対して)自分で選んでるんじゃないの~?」
上田「(周囲からいじられた亀梨がオネエっぽい仕草をすると)亀梨くんが認めてくれてよかったよね」
このシーンで上田は、執拗に亀梨が「オネエ」であることを認定し、また認めさせようとしている。千葉へのイジりも同様だが、これはセクシュアリティや性自認を公表するように促す行為はアウティングの強要になりかねない。亀梨や千葉のセクシュアリティや性自認が実際にどうであるか、とは別の問題だ。
なお問題のある上田のイジりに対して、千葉は「コッチ」であることを否定も肯定もしない対応を見せた。「やめてくださいよ、違いますよ」といった形で否定していた場合、千葉もまた「ゲイであるとされるのは嫌なこと」と考えているように思われかねなかった。
2017年は、とんねるずの石橋貴明が『とんねるずのみなさんのおかげでした』の30周年記念番組『とんねるずのみなさんのおかげでした 30周年記念SP【タモリたけし&みやぞん】』(フジテレビ系)で、男性同性愛者を揶揄するキャラクター「保毛尾田保毛男」を復活させ、大きな批判が巻き起こった一年でもあった(とんねるず“保毛尾田保毛男”が深刻な差別を孕んでいると気付かないフジテレビの愚行)。
願わくば、2018年はメディアでの偏見や差別的言動を見かけることが少しでも減っていく一年であって欲しい。
(wezzy編集部)