【ニューヨーク=稲井創一】米ゼネラル・エレクトリック(GE)が24日に発表した2017年10~12月期決算で最終損益が98億2600万ドルの赤字(約1兆円、前年同期は34億8600万ドルの黒字)となった。保険事業の評価見直しによる特別費用を計上したほか、人員削減などのリストラ費用も膨らんだ。電力事業が不振で、米製造業を代表するGEの苦境が続いている。
四半期での1兆円を超える赤字は15年1~3月期に金融事業縮小に伴う費用を計上して以来。「電力の落ち込みが激しい。当面、厳しい市場の状況が続く」。ジョン・フラナリー最高経営責任者(CEO)は決算資料で巨額の赤字についてこうコメントした。
10~12月期の売上高は5%減の314億200万ドル。ガスタービンなど火力発電関連の機器販売の低迷が続き、電力部門の受注も前年同期比で25%減と落ち込みが厳しい。成長分野の再生エネルギーも競争激化で受注は2%減と振るわない。
損益面でも電力事業が足かせとなっている。火力発電部門の人員削減や在庫圧縮など業績回復に向けた構造改革費用が大幅に膨らみ、電力部門の営業利益は9割減の2億6000万ドルとなった。
1月16日に発表した保険事業見直しによる62億ドルの特別費用計上も響き、税引き前損益(継続事業ベース)は126億300万ドルの大幅な赤字(前年同期は28億9300万ドルの黒字)に転落した。
航空機エンジンや医療機器部門は拡大傾向が続き、売上高営業利益率は20%台と高い収益力を確保している。不振が続いていたオイル&ガス部門も原油価格の回復基調を受け、受注が73%増と急拡大した。
GEの複合経営は投資家から非効率だとの批判が出ており、航空機エンジンなど中核事業の分離を検討している。巨額の赤字により事業分割への圧力はさらに強まりそうだ。
17年10~12月期にリストラ費用や評価損なども出尽くしたとの見方から、24日のGE株は一時、前日比を上回る場面もあった。