- 小室:
- こんばんは、小室哲哉です。えぇとですね、もう日本は梅雨なんですが、ええ、毎年、大体この時期はですね、外国行ってまして、逃げてんですけど、今回はですね、あの、こうやってレギュラーを持っちゃってるんですね、ん? 大丈夫ですか? 一週間ごと、必ずここにいなきゃいけないので、まあ、今年は日本にいるといった感じなんですが。えぇと、今日のゲストの方もですね、もうここ毎週大御所なんですが、今週も僕なんかとしては、中学、小学校からもう聴いていたという、吉田拓郎さんをお招きしてですね、お話を進めていきたいんですが。どうも。
- 吉田:
- どうも。
- 小室:
- よろしくお願いします。
- 吉田:
- どうも、お久し振りでした。
- 小室:
- あの、まあ、4月から始めてて。
- 吉田:
- あ、この番組? ええ、ええ。
- 小室:
- このあいだ坂本龍一さんとか、桑田さんとか、B'zとかですね、いろんなもう、人、飛鳥とかですね、いろいろ来てもらってるんですけど、拓郎さんあの、僕の方からお願いしたんですけども、今の、僕も含めてなんですけどね、音楽ってどう見えますかね? とりあえず。
- 吉田:
- え? いや、それは、どういう意味ですか?
- 小室:
- えっと………、音楽のなんですかね? 傾向ですかね? ヒットチャートとかですかね?
- 吉田:
- ヒットチャート? もう、さっぱりわからない。
- 小室:
- あんまりやっぱ聴かないですか? そのへん。
- 吉田:
- いや、だけどね、それは聴きますけども、僕、やっぱ正直いって、僕はやっぱ、感覚的に自分がズレてんのかな? と思うぐらい、あんま、ぜんぜんこう、ピンとこないですよね。だから、そうとう自分がズレてるな、って気はするんだよね。
- 小室:
- あ、それ、興味ありますね、すごくね。どういうところがこう、ピンとこないかっていうのはね。
- 吉田:
- いや、小室君がいろいろその、ヒット曲とか作るじゃないですか。僕、さっぱりわかりませんよ。いや、本当にね、だから、あ、これはだから、このあいだのだから、ダウンタウンの浜田君のあれ、それは率直に言って、僕、すげぇいい歌だなって思って、あれ、すごいシビレてるんですけどね。
- 小室:
- ありがとうございます。
- 吉田:
- まあ、中にはシビレないのもあったりして。
- 小室:
- ええ、そうですよね。
- 吉田:
- でもなんか、小室さんがやるからいいのかな? とか。音楽ってほら、そういうのあるでしょ? なんかちょっと、妙なカリスマみたいなものが通る、みたいなとこがあるから、だからなんか、僕はもう、よくわからいんですよ。ええ、正直いって。
- 小室:
- 例えばあれですかね? すごい展開がメチャクチャ早かったり、転調しまくってたりとか、音が詰まり過ぎてるとかですかね? 自分でも、どんどん、どんどんあの、エスカレートしてるのはわかるんですよ。刺激がやっぱりあの、一般のユーザーの人っていうのは、イントロからエンディングまで、どんどん、どんどんなんか、びっくりしたりとか、面白かったりとか、カラオケで歌う時にこう。
- 吉田:
- そうなんだよね、カラオケで歌うものね、みんな。
- 小室:
- そうなんですよ。カラオケのこと考えちゃったりするんですけど。
- 吉田:
- なるほど、考えるんですか? カラオケのことも。
- 小室:
- 考えますね、やっぱりね。
- 吉田:
- それは勉強になりますよね。
- 小室:
- そうですか?
- 吉田:
- カラオケ考えてないですよね、私は。
- 小室:
- やっぱ張り上げてね、みんながこう、歌った時に、そういう人たちが張り上げた時に、やっぱりなんか、みんなが「おっ?」って思うような曲とかまで考えちゃうんで、どんどんエスカレートしちゃうんですよね。曲調、特にシングルですけど、それは。だから、どんどんこう、詰まってく感じはあるんですよ。
- 吉田:
- 例えば、あれなんですか? 小室さんなんかの感じだと、例えばアレンジっていうのを、人にもう、任しちゃうっていうような気にはなれない?
- 小室:
- アレンジから作りますからね。
- 吉田:
- ああ、やっぱりね。そっちからいきますか。
- 小室:
- アレンジ任せたらもう、ほとんどまあ、自分のね、あの、弟子とかっていうか、自分の周りのブレーンとかには任せますけど。
- 吉田:
- まったく知らないその、アレンジャーに任せるのはちょっと?
- 小室:
- 難しいですね。やれないことはないと思いますけど。とにかく、オケ全部作っちゃってから、最後にあの、メロディ自分で歌って乗っけて作るんですよ。
- 吉田:
- それだよね、うん。ここなんだよね。もう、そこをオジさんずいぶんズレてるなと思って。
- 小室:
- いや、そんなことないですよ。まあ、僕は特殊な方だと思うんですけども。
- 吉田:
- あ、そうですか?
- 小室:
- うん。やっぱりあの、若い人でもその、ちゃんとこうギター片手に、やっぱり歌いながら作る人も。
- 吉田:
- ちゃんとしてないけどね、ギター片手っつうのもなんか、大してね。
- 小室:
- まあ、同時にね、コードと歌が出るっていう作り方してる人も、たくさんいると思いますけど。
- 吉田:
- あ、そうですか。
- 小室:
- 僕の場合は、やっぱりあの、自分が最終的に歌うんじゃないとこもあって、やっぱ、どうしても誰かに歌ってもらう部分で、自分でそんな最初から歌っちゃうと、あまりにもなんか、自分が色が出ちゃうっていう。
- 吉田:
- 出ちゃいますよね。
- 小室:
- 怖さがあって。それでもまあ、出ちゃうんですけど。そういう意識もあると思うんですけど。
- 吉田:
- なんか自分でこう、例えばAっていう作品を何年か前に作ってさ、で、ずいぶん月日が流れてから、なんか曲作ってる時に「あれ?」と思って「あの曲に似てらぁ」と思ったら自分の曲だったっていうのとか、そういうのないですか?
- 小室:
- ああ、もう、ほとんどそうですね。
- 吉田:
- メチャクチャ自分の曲の盗作してるっていうの。
- 小室:
- そうですね。ほとんどありますね。
- 吉田:
- ただ、それが結局やっぱりでも、そうすると小室節っていうのが、どっかにそうなんか、あるんだよね、きっと。
- 小室:
- ああ、そうだと思います。自分では気付かないんですけど。
- 吉田:
- うん、気が付かないな。
- 小室:
- でもやっぱりあの、他の誰か、まあ、例えばビートルズとかっていうんじゃなくて、自分の中の真似になっちゃうんですよ。
- 吉田:
- そういうのあるでしょうね。だから小室君の曲とか、いろんなそのプロデュースなんかした曲を、ずーっとこう聴くと、やっぱりなんか一貫したものが、どっかにあるんでしょうね。
- 小室:
- そうだと思いますね。
- 吉田:
- なかなか気が付かないのかな。
- 小室:
- 自分、まあ、気が付かないですね。あの、それをなんていうんですか? まあ、あの、タイアップとかで「それ出してくれ」っていうこともありますけど。
- 吉田:
- ああ、逆にね。そういうこと言っちゃうんだ?
- 小室:
- まあ、ありますから。
- 吉田:
- タイアップでね。「それでやってくれ」って? すごいな、それ。
- 小室:
- 「わからないと困るんです」っていう感じもありますから。
- 吉田:
- ああ、逆にね。
- 小室:
- 最近の面白い話で、あの、コマーシャルってなんか、いろいろな規定がありますよね? あの、いくつ以上のなんか、提供しちゃいけないけど。だから、僕の名前は出したい時があるわけですよ、スポンサーとしては。プロデュース・小室哲哉。
- 吉田:
- ああ、やりたいね。
- 小室:
- でも、その歌ってる人も出したいと、で、曲も出したいという、そんな3つも絶対出しちゃいけなくて、で、どれ出そうか? とかいって悩む企業がありますからね。
- 吉田:
- それ、悩んでんの?
- 小室:
- そういうの悩みます、ええ。
- 吉田:
- ああ、そうか。そういうのってでも、痛快でしょう? なんか気分は。
- 小室:
- 今はそうですね。今はもう、なんか「そんなに使いたいんですか?」っていう感じです、もう。
- 吉田:
- そうそうそう。それってなんか、わりとウチ帰ってほくそ笑むんじゃないですか? そういうのってありますよね。
- 小室:
- うーん、今はなんか、そういうのがまあ、多少感じて………感じさせてもらってるって感じですね。
- 吉田:
- 感じてるでしょ? いっぱい。ねぇ。そういう気するんだよね。
- 小室:
- あ、そうですか?
- 吉田:
- うん、なんかテレビなんてもさ、例えばあの、某歌手なんかのその、なんつうの? お世話役みたいな形で横に出てくるじゃないですか? 時々。そういうの見てると「ほくそ笑んでるな」っていう気がするよね、やっぱりね。ウチ帰ってけっこうニタニタしてない?
- 小室:
- うーん? ウチ帰ってっていうかもう、どうですかね?
- 吉田:
- もう、年中ニタニタしてんでしょ?
- 小室:
- あ、一番落ち着く場所スタジオなんで、自分のとこなんで。
- 吉田:
- ああ、スタジオだね。
- 小室:
- まあ、スタジオでその、自分のあの、スタッフとかと、そういう自慢話とかしますね。
- 吉田:
- しますよね。
- 小室:
- それはしょうがないですね、やっぱり。
- 吉田:
- けっこう自慢話って、周り嫌なんだよね。周りは。もう、参ってるんだよね、大体。
- 小室:
- たくさん参った方がいたんじゃないですか? じゃあ。
- 吉田:
- みんな辞めていきますよね、自慢話ばっかりやってるから。
- 小室:
- そうですか。あの、さっきの前の自分の曲をね、に、盗作っていうのは、思っちゃうっていうの、拓郎さんとかもやっぱり、いまだにありますか?
- 吉田:
- もう、ムチャクチャ最近、だから時々その、恥ずかしいなと思ってる曲なんかあるんですよ。人にあげた曲なんかでも。そして、その人にすごい御迷惑なんだろうけども、その時はその、そうも思ってなくて作ってたんだけど、たまたまなんかのラジオなんかでこう、流れたりすっと、すっごい申し訳ない気分になって「これってあの曲のパクりでした」っていうの自分で思うとね、なんか、その人になんかこう、御挨拶に行かなきゃいけないのかな、っていうぐらいね、けっこういっぱいね、やってますね、盗作を。
- 小室:
- 盗作ですか。うーん、僕、拓郎さんのあの、意識はしてないんですけど、コードとかでね、自分で弾いて「あ、これ拓郎さんになっちゃった」って思う時ありますよ、でも。
- 吉田:
- ああ、そうっすか。
- 小室:
- あの、具体的に言うともう、AmからCに戻ると。
- 吉田:
- あ、戻るんですね。
- 小室:
- 戻ると「あ、これ、拓郎さんなっちゃうよ」とかいうね。
- 吉田:
- あれ、気分いいんですよ。
- 小室:
- ああ、やっぱ、あれ好きなんですか?
- 吉田:
- 僕、大好きなんすよ。だから、例えばその、CからAmへ行くってよりは、AmからCへ行く方が好きなんですよね。同じメロディにしちゃって、コードそっちにしちゃいたいっていうのが。
- 小室:
- 僕たちにとっては、すごいカルチャーショックですけどね、あれが。「AmからCに、なんで行くんだろうね?」っていう話をよく、まあ、いまだにしてましたけども。それで、Cで終わればいいものもっていうか、Cで終わるはずなのにAmに戻りますよね?
- 吉田:
- うん、Amで終わっちゃう。
- 小室:
- あの2つっていうのは、やっぱり、いまだに思いますね。
- 吉田:
- あれはボブ・ディランなんですよ、でも。
- 小室:
- あ、そうなんですか。
- 吉田:
- うん、ボブ・ディランて、意外なね、あの、人なんですよね、なんかそういうところ、ポップな。だから、ボブ・ディランなんですよ。あれを聴いてるとね、昔のヤツなんて特に、大体AmからCに行くんですよ、あの人。
- 小室:
- そうですか。
- 吉田:
- そしてAmで終わっちゃうんですよ。
- 小室:
- ああ、ボブ・ディランはちょっと僕、エアポケットなんですよね。
- 吉田:
- そうですか。
- 小室:
- ええ。
- 吉田:
- あの人の中に、けっこうそういうポップのエッセンスがいっぱいあって、で、逆にほら、イメージとしてはフォークシンガーで、なんかそういうプロテストを作ってるみたいな感じなんだけど、メチャクチャなんかメロディメイカーっていうか、それ、僕なんかは好きなメロディっていうの、いっぱいあるんですよね。これもだから、いっぱい盗作しましたけどね。
- 小室:
- あ、そうですか。あの、ボブ・ディランていえば、僕なんかは最近だと「We are the World」でね、歌ってて。
- 吉田:
- ああ、ヘタでしたね、一番。浮いてましたもんね。
- 小室:
- でも、みんな歌っちゃって、もう完パケに近いのに「キーは変えちゃいけねぇのか?」とかいって、質問してましたよね。
- 吉田:
- まだ、間に合わない男なんだよね、アイツって。いつでもそういう感じ、あの人は。
- 小室:
- ああいうところ、拓郎さんあるんですかね?
- 吉田:
- ないです、ないです。僕、けっこう小器用な方ですから。彼は典型的なあの、不器用でしょ?
- 小室:
- ああ。
- 吉田:
- うん、あれで通しちゃうんだからすごい。
- 小室:
- 通しちゃうっていうね。
- 吉田:
- それと、周りがもうしょうがないから彼に合わしちゃうっていうのが、素敵な世の中だなと思うんですけどもね。
- 小室:
- じゃあ、そこまではかたくなというわけではないですね。
- 吉田:
- うん。僕はもう、けっこうね、その、人に好かれたいタイプだから、一生懸命、裏で勉強してるんで。
- 小室:
- そうか。じゃあ、そうですね、僕、今日、今お話ししてて「あ、けっこう聴いてもらってるんだな」っていうのは、率直に思いますけどね。
- 吉田:
- いや、聴いてますよ。聴いてますよ、だってもうね、本当にうるさい。
- 小室:
- うるさい。
- 吉田:
- うるさい。trfっていうのは、あれはいいんだ? ねぇ、あれはやっぱり。
- 小室:
- いいっちゅうのは?
- 吉田:
- いいっちゅうのは結局さ、あの、売れるっていうアレがあるんだ、やっぱり。
- 小室:
- あ、売れるっていう、その方程式ですか?
- 吉田:
- うん、なんか。
- 小室:
- うーん? どうかなぁ? もうけっこう、もう自分では話し飽きちゃってることなんですけど、あの、もう、とにかくディスコとカラオケ、プラス…………あ、ディスコ、プラス、カラオケ割る2なんですよ、trfっていうのは。
- 吉田:
- 割っちゃうのがすごいよね、2で。
- 小室:
- それがtrf。
- 吉田:
- 割っちゃうと、ディスコもカラオケも、なんか違うとこいっちゃうわけ?
- 小室:
- いっちゃうわけですね。
- 吉田:
- ああ、普通の2分の1になるわけじゃないのね?
- 小室:
- 2分の1にならないですね。うん、まあだから、今はディスコっつったって「ディスコ行こうよ」なんつってる若い人、多分いないと思うんですけどね。多分まあ、クラブとかっつっても、まあ、少ないですよね。ほとんどカラオケに食われちゃったりしてますけど、でも、あの、trfを始めた時はちょうどいいバランスだったんですよ、両方ともありだったんで。で、あの、なんですか? 風営法とかも絡んでくるんですけど。
- 吉田:
- あ、そういうのもあるの?
- 小室:
- 風営法は、やっぱ時間がね、制限とかいろんな規制がありますから、カラオケのほうがないんですよ。
- 吉田:
- ああ、ないよね。
- 小室:
- なにかと。そういう分でいろいろ無理が出来るんで。酒飲もうが。
- 吉田:
- 君、店やってんじゃないんだから。
- 小室:
- 店はやってないですよ。
- 吉田:
- やってない? 本当? どっかのオーナーと話してるみたいだから。
- 小室:
- やっぱりあの、ジュリアナとかね、12時で終わらざるを得ない。
- 吉田:
- ジュリアナは、君の店じゃないでしょうね?
- 小室:
- じゃないですけど。そこらへんやっぱり、すごい音楽以外のことをこう、リサーチしてますから。
- 吉田:
- 好きなんだ? そういうの。
- 小室:
- 好きなんですよね。
- 吉田:
- あ、そっか。それ、けっこうマメなんですね? じゃあ。
- 小室:
- そういうとこはマメですね。
- 吉田:
- それ、しないんですよね、俺たちって、ぜんぜん。家にいてやろうとしてるからね。それ、ダメだね。
- 小室:
- 噂でしか知らないんですけど、お家が好きなんですよね?
- 吉田:
- 家は好き、家はすき、もう。本当に腰が重いんですよ。家が好きで、旅行が嫌い。
- 小室:
- 旅行が嫌い? じゃあ、ツアーとかも嫌いですか?
- 吉田:
- 嫌いです。ツアーとか、海外旅行とかも。だからその、毎年ロンドンにいたっていうのが、もうとても信じられないぐらい、もうホームシックがすごい強いです。だから、家にいるのが一番居心地がこう、よくて、一番安心してるっていう。昔から、若い頃からね、そういう人なんですよね。
- 小室:
- まあ、僕もね、ツアーとかはね、好きじゃないんですけど、ぜんぜん。まあ、家はずっといたくない方なんでね。
- 吉田:
- 小室君、今、気分としちゃあその、ソロでっていうか、一人でやってるのとか、前の、つまりチームみたいなのあったじゃないですか? 人間の。ああいうのとだったら、自分の本質はやっぱ、一人でやってる方が面白いんですか?
- 小室:
- うーん? 本質は世話好きなんでね、一人でも嫌なんですけど。まあ、さっきあの、ほくそ笑むお話じゃないんですけど、やっぱりそういう、ズルいですね。
- 吉田:
- タイプだよね? でもね、絶対。いるんだ必ず。
- 小室:
- そうですか?
- 吉田:
- どの時代にもね、そういうね、困ったヤツ。
- 小室:
- 困ったヤツ?
- 吉田:
- うん、いるんだよ。
- 小室:
- え? 拓郎さんの時代でも、その、ちょうど一番、まず走り出した時期っていうの、例えばどなたですかね? 小室等さんじゃないですよね? まさか。
- 吉田:
- 違いましたね。これ、小室さん本名ですか? 哲哉は。
- 小室:
- もう、本当、相変わらず最近までいわれますね。小室等さん。
- 吉田:
- ずいぶん違うタイプですよね、同じ小室でもね。
- 小室:
- そうですね。あの方、あれじゃないですかね? 福島の方の方じゃないですよね?
- 吉田:
- あれ、東京なんですよ。
- 小室:
- 郡山じゃないですよね? 郡山って、小室って多いらしいんですよ。
- 吉田:
- ああ、そっちなんですか?
- 小室:
- らしいんですけどね、くわしくは知らないんですけど。
- 吉田:
- 知らないんですか?
- 小室:
- ええ、僕も一応、三軒茶屋なんですけど。
- 吉田:
- あ、三軒茶屋なの? 一応って三軒茶屋なの?
- 小室:
- その、親父の親父がの方とか。
- 吉田:
- あ、そうか、近所だね。
- 小室:
- あ、近所ですか。
- 吉田:
- そうか、それでこのスタジオで撮ってんの? そういうことはない?
- 小室:
- それはないです。
- 吉田:
- それもずいぶんだよね。わがままなヤツだな。
- 小室:
- 生まれがです、ただ。
- 吉田:
- あ、生まれがね。あ、そうか。
- 小室:
- 生まれがなんで、ぜんぜん関係ないですけど。
- 吉田:
- でも、絶対あれでしょ? かなりわがままでしょ?
- 小室:
- うーん? なんでしょうね。
- 吉田:
- いや、わがままだと思うな。
- 小室:
- 自分では気は使ってる方なんですけどね、思ってるんですけど、気は使ってると。
- 吉田:
- わがまま通っちゃえば最高ですよね。
- 小室:
- それのまあ、初代は拓郎さんたちなんじゃないかな、と思うんですけどね。
- 吉田:
- いや、でも、僕らの頃ってあの、残念ながらほら、例えばその、アイドルたちの曲作ったりすると、わりとほら、やっかみとかさ、そういうのがこう、まともにミュージシャン仲間でもあったりとか。わりとなに? 卑怯者とかね、言うわけですよ。
- 小室:
- 卑怯ですかね?
- 吉田:
- そうだよ、卑怯だって言うんだから。その、生き方なんてどうでもいいわけなんだけど、そういうことをうるさく言うっていう時代だったから。つまり、フォークソングは四畳半に住んでなきゃ、とかいうようなこと言う人がいるんですよ。で、今、そういう馬鹿いないから、だからね「楽しそうだな」って思って。やっぱ、今、一番わがままが言えるのが、一番楽しいんだよ。
- 小室:
- あ、今が。
- 吉田:
- 俺たちの時代って、ちょっとわがままがね、ちょっと過ぎるとね、ツマハジキみたいなところがあったんですよ。
- 小室:
- ああ、僕たちでも、わがまま言ってないつもりがわがままなんですかね?
- 吉田:
- いや、言ってるよ。言ってる、言ってる。言ってないつもりでいるわけ? 相当だよ。
- 小室:
- 相当ですかね? あ、一番、自分が言わないのが一番わがままですね。
- 吉田:
- 自分でわかってないでしょ? それ、相当だっていうことだと思うな。小室さん、相当な男ですよ、いや、見てて。
- 小室:
- あ、そうですか?
- 吉田:
- あの、そばにこう、横にね、出てくるんだからね、これ、たまらないんだな。なんとなくこう、立てといて、横へスーッっていってさ、それで「みんなが自由にやってっから楽しいんだ」みたいなこといってて、もう内心、ほくそ笑んでるのがね、伝わってくるとね「相当わがままなんだろうな」と思うんですよね。
- 小室:
- うーん。なんか深いとここう、えぐられますね、なんか。
- 吉田:
- テレビってほら、出るじゃないですか? そういうのって。で、ステージって、意外とごまかし効くんだけど、テレビってね、出てるんですよ。
- 小室:
- あ、テレビはそうですね。
- 吉田:
- で、小室さんみたいなタイプは、わりとテレビでバレちゃうタイプですね。
- 小室:
- あの、それを避けてるというか、あの、すごく心配してる方がこの番組にね、僕に話してきてくれるんですよ。
- 吉田:
- あ、そうなんだ。
- 小室:
- みんなかたくなに、やっぱり、そういうの嫌がってる人が多いですよ。
- 吉田:
- 嫌がってる人?
- 小室:
- 嫌がってますね。
- 吉田:
- どうすんの? それに対しては。
- 小室:
- そうすると、あの、そっち側になんか、いい気なもんで立っちゃうんですよ、僕は。うん、だからまあ、そっちの気持ちも本当にわかるんで。
- 吉田:
- いい加減な男だよね。
- 小室:
- いや、そっちもわかっちゃうんですよ、でも。
- 吉田:
- わかっちゃうの? それって、すっげぇいい加減だよね。
- 小室:
- どうしたもんですかね?
- 吉田:
- いや、どうする気もないでしょ? ぜんぜん。
- 小室:
- ええ、どうする気もないです。
- 吉田:
- 口から出まかせ言ってるだけでしょ? すっげぇいい加減だね。
- 小室:
- で、困っちゃうんですよ。だから、あの、その時本当に、例えばミュージシャンで、自分もそういうところがあったんで、その気持ちでいれるんですけど、テレビとかまあ、本当はじゃあ、拓郎さん的な解釈でいくと、僕なんか嫌じゃないんでしょうね。
- 吉田:
- テレビですか?
- 小室:
- 出るのね。
- 吉田:
- ああ、出るの、本来的にいうと好きなはずなんですけどね。
- 小室:
- そうでしょうね。
- 吉田:
- ポーズとしちゃあ嫌なんですよ。
- 小室:
- ポーズとしてはね。
- 吉田:
- 絶対に嫌なんです。
- 小室:
- 嫌なんですよ。
- 吉田:
- 嫌なんですよね。嫌だよね。
- 小室:
- 嫌なんですけど、本質はじゃあ案外。
- 吉田:
- そうそう。本質はこの番組いる時、気分いいでしょ?
- 小室:
- ああ、そうですね。
- 吉田:
- でも嫌ですよね? 出るのはね。だから、そういうもんだよ。
- 小室:
- そういうもん。
- 吉田:
- 誰も理解してくんないでしょ、こんな話。
- 小室:
- あ、そうですよね。ただのわがままですね、それね。
- 吉田:
- 「じゃあ、やめりゃあいいじゃない」ってことになるもんね。やめんの嫌だもんね。
- 小室:
- そういうことですね。
- 吉田:
- うん、理由もなくね。
- 小室:
- 理由なく。
- 吉田:
- うん、理由なく。なに言ってんだろうね。君と結婚すると不幸になるよね。
- 小室:
- 独身ですけどね。
- 吉田:
- 唐突な話だけどね。
- 小室:
- 声を大にして言っておいていただきたいですね、それは。
- 吉田:
- いや、それは、よした方がいいな。大変なことだと思うな、一緒に暮すのは。
- 小室:
- 拓郎さんは、お家がね、それだけ好きだとしたら。
- 吉田:
- 僕ほら、家は好きだから。僕はそうやってその、あちこち行かないから、大事にしてあげるんだけど。あなたダメでしょ? そのへん。
- 小室:
- ダメでしょうね。あ、でも、すごくなんか、指針になる方、初めて見付けた感じがしますよ、本当に。
- 吉田:
- あ、そうですか。
- 小室:
- ええ、これ、初めてですね、こういうトークは、本当に。
- 吉田:
- あ、そうですか?
- 小室:
- この、えぐられた感じがするのは初めてですよ、本当。
- 吉田:
- そういう番組じゃないんだよね?
- 小室:
- あ、そういう番組でもあるんです。あの、いや、ないわけですから、中にはね。
- 吉田:
- 「ロンドンはいいね」かなんか話してるわけ?
- 小室:
- うん、大体ね、一般的につまんない話ですね。
- 吉田:
- それって、これまで出たヤツらがつまんねぇ、ってことになっちゃうよね。
- 小室:
- うーん、僕が多分、ホストとしては、ぜんぜんつまんない進行してるんだと思うんですけどね。
- 吉田:
- おまえはいいよね。そうやって言っちゃってさ。それ最高だよね。
- 小室:
- 最高ですかね? いや、本当、思うんですよ。
- 吉田:
- もう、それでね、そう思ってるんでしょ?
- 小室:
- 本当に思ってます。
- 吉田:
- 思ってるんだと思うんだけど、それは伝わらないと思うね。
- 小室:
- 伝わらないですね。
- 吉田:
- それ、知ってるでしょ? 伝わらないの。
- 小室:
- ああ、最近わかってきましたね。
- 吉田:
- 知ってるんだ? ズルいよ。ズルい。君は本当にズルいよ。
- 小室:
- どうしたもんかっていうのね。
- 吉田:
- どうする気もないでしょ?
- 小室:
- もう、なに言ってもダメですね。
- 吉田:
- いや、小室さんがよく見えましたよ今日。
- 小室:
- 見えました?
- 吉田:
- ええ。近づいてみるもんだな、人間は。
- 小室:
- どういうヤツだと思いました? もうちょっとなんか。
- 吉田:
- まあ、見た通り。
- 小室:
- 見た通りでしょ?
- 吉田:
- ええ、そういう人だと思ったんですよ。ずいぶん昔ね、あの新譜ジャーナルっていう本があったでしょ?
- 小室:
- はいはい。
- 吉田:
- そこのオオゴシっていうのがいたでしょ?
- 小室:
- はいはい。
- 吉田:
- そうそう、彼がよくねT.M.Nの話をあの、してた時に、あの、連載なんかしてましたよね?
- 小室:
- はい、やってました。
- 吉田:
- で、それ僕、マメに読んでたんですよ。で、音楽やる人が書くのって、僕けっこう気になって見てたんですけどね、なに書いてあるのかなって思ってて、あそこからほら、いろんな情報を、コンピューター情報を仕入れて、で、シンセサイザー情報をいろいろ仕入れて、面白い人だなって思ってたんですよ。多分、こんな人だなって思ってたんですけど、その通りな人ですよね。
- 小室:
- そうですか。
- 吉田:
- 大体その直後にその、単身ロンドンへ行ったりとかするタイプってのがね、もう、ほとんど信用できないヤツだもん。
- 小室:
- そうですね、あの、そのね、わかるんです、それは。大体だからみんな、特にチームって意味でバンドのメンバーとか、一緒にこう、歩んできてるはずだと思う人間がいますよね?
- 吉田:
- うん、いるいる。共に同じ青春を歩んでるって思ってるわけ?
- 小室:
- こう「えぇっ!?」って、「え!? なに?」って感じの、こう、鉄砲玉食らったような感じですか?
- 吉田:
- うん、そうでしょう。
- 小室:
- そういうのが、多分、何回も味わせちゃってるんですよね。
- 吉田:
- そうでしょうね。
- 小室:
- それは、味わせちゃってるんでしょうね、じゃなくて、味わせちゃってるんですよ。それはもう、ちゃんとわかってるんですけど。
- 吉田:
- それ、わかっててくんないと、困るもんね。
- 小室:
- そうですよね。
- 吉田:
- そんなこと自慢してんの?
- 小室:
- いや、それでね、それでもう、ここまできちゃってるんですよね。
- 吉田:
- それって開き直りじゃない?
- 小室:
- そうでしょうね。
- 吉田:
- 最初から、あんまり考えてないな。
- 小室:
- そうですかね?
- 吉田:
- うん。かなりいろんなヤツが迷惑してんだけど、あんまり気にしてないよね?
- 小室:
- してないです。
- 吉田:
- 悪いとか思ってないでしょ?
- 小室:
- それは、悪いとは思ってないですね。拓郎さんとかでも、バンドとかってそれでやんなかったんですか?
- 吉田:
- いや、僕は今でもだから、バンドが組みたくて。バンド組んで迷惑かけたいっていうのが、すごい今、本当に。バンドは組んどいて、わがままいい放題で、そのメンバーにものすごい迷惑かけてみたいっていうね。自分でほら、一人でやってると、結局、自分で責任とっちゃうでしょ? そういうの嫌なんですよ。本来、責任はスタッフが取るもんだとか、まわりが取るもんだって、ずっと若い頃から思ってるんですよ。自分は取らない人なんだっていう。だから、バンドを組んで、誰かのせいにして生きていたいなっていうのが、ずっと今まであったですね。
- 小室:
- なるほど。例えばだから、プロデューサーとか、まあ俺なんかやってるようなヤツが、もしも着いたら、そいつのせいにっていう、そこで出来ますよね?
- 吉田:
- もう、人のせいにして、なるべく人のせいで生きていたいんですよね、ずっと。
- 小室:
- ああ、なるほどね。やっぱりじゃあ、俺なんかのじゃあ、今のポジションはおいしいなって思われますよね? それはね。
- 吉田:
- ええ、思いますよ、思いますよ。おいしいって言葉は、このためにあるんじゃない? 他のヤツが使うとおかしいって気がするぐらいね、あなた今、おいしいと思いますよ、気分も。今が食い時だよね。
- 小室:
- そうですね。
- 吉田:
- そんな気するな。そんな人ごととは思えないぐらい、食い時なんだなって。昨日ね、小室哲哉さんと明日あれですね、っつったら、食い時だねって話してて、ずっと盛り上がったんですけどね。
- 小室:
- あ、俺がですか?
- 吉田:
- ええ、小室哲哉って食い時なんだなっていうのはすっげぇ。食い時っていいんだ。
- 小室:
- うーん。
- 吉田:
- うーんじゃなくて。本当に人ごとだよね、話が。
- 小室:
- 拓郎さんとかは自分で食い時って?
- 吉田:
- いや、もうすっかり湯冷めしちゃいましたね。
- 小室:
- そうですか。
- 吉田:
- ちょっと食い時終わっちゃったなって気は、自分でしますね。不思議でね、だから、そういう音楽やってて、長いあいだやってるでしょ? で、時々こうやって小室さんとかと会えたりとか、いろんな人に会えたり、時々あるでしょ? だから、そういう時に、必ず最近はやっぱ、確認できちゃうんですよ、自分との距離が。以前はね、あんまり変わんないと思ってたんですけどね、最近やっぱ、距離がはっきり見えますね。小室さんとの距離も、今、こうやって、今、感じてますもんね。
- 小室:
- そうですか?
- 吉田:
- 年齢的な距離とか、いろんな距離を感じてますがね。話はよくわかるんだけど、ついてくのは嫌だなと思いますね。
- 小室:
- ああ、ついてくのはね。
- 吉田:
- この人と一緒には組めないと。
- 小室:
- それは、ああ、そうか。
- 吉田:
- だって、僕よかは、ひどいわがままだと思うからね。そういうのあるじゃないですか? 自分よからがままなヤツがいるとね、すごい不愉快なの。そういう気がするんですよ。
- 小室:
- 拓郎さんなんかは、僕たちがその、中学、高校の時っていうのはその、典型的でね。
- 吉田:
- もう大変でしょう? お山の大将で。
- 小室:
- うん、わがままに見える人でね。
- 吉田:
- いや、見えてました?
- 小室:
- うん。
- 吉田:
- あ、そうですか? 僕、一目にはね、すごくね。
- 小室:
- あ、それはでも、僕たちから見りゃあ、あの、なに? 一つの指針ですから。それこそ憧れの。
- 吉田:
- ああ、わがままのね。
- 小室:
- うん。「あそこまで言っていいんだよ、おまえ」とかいう感じの話でしたから。
- 吉田:
- ああ、そうなの? それってあんまり、誉められたこっちゃないんだけどね。
- 小室:
- 「やっていいんだよ」とか、そういう感じですよ。で、あの、僕たちももちろんこう、やっぱ雑誌とかね、そういうのはよく見てましたから、だからやっぱり、とょっとした発言でもこう、いい方に取っちゃいますからね。
- 吉田:
- あ、そうそうそう。いい方に取ってもらって。こりゃあ、いいですよね。だって、こっち、すごい悪気があっていってるのに、いい方に解釈されて、すごい助かったっていうのがありますからね。
- 小室:
- やっぱ、ここまで人はね、なんか自由にどうのこうのとか、そういうのも全部いい方に取っちゃいましたたからね。
- 吉田:
- それって幸せ者ですよね。小室さん、今、幸せ感じてるでしょ?
- 小室:
- その……………?
- 吉田:
- みんながいい方に取ってますよ。いや、なに言ったって。大丈夫よ、今は。
- 小室:
- その、どれぐらいで痛い目に会うんですかね?
- 吉田:
- え?
- 小室:
- 痛い目には会うんですかね?
- 吉田:
- 十年後じゃない?
- 小室:
- 十年後ですか?
- 吉田:
- うん。十年後。でも、十年は長いよ。
- 小室:
- そうですかね?
- 吉田:
- けっこう時間ある。
- 小室:
- あ、今をその、食い時という時期にしたらですか?
- 吉田:
- うん。僕だって、ここ、この音楽って、まあ、音楽って、どのへんが音楽でね、自分でやってたのは、アマチュアに毛が生えたようなことだったから、わからないけど、けっこう、居心地いい時間が長いなって思いましたよ、意外と。僕、もっと短いかと思ったの、こういうところって、サイクルが。意外と長いことが今、わかってね。そんなこと話す場合? なんか「食い時は長いぞ」って。馬鹿だね。それをまた、勝手な言い分でさ、誰もそう思ってないかもね。
- 小室:
- うーん、いや、どうですかね?
- 吉田:
- きっと、わがままなヤツが十人ぐらい集まってね、話、始めたらもう、大騒ぎでしょうね、それって。で、さっき聞いてると、ここにゲストで来てる人、相当わがままな人、挙げてましたね、さっきね。
- 小室:
- あ、さっき。
- 吉田:
- みんなね。
- 小室:
- みんな、でも「小室が一番わがままだ」と思ってるから来てるんですか?
- 吉田:
- ああ、そうか。みんな、打ちひしがれて帰ってんじゃないですか? 「あいつのわがままひでぇ」って。
- 小室:
- かなわないってかんじですか?
- 吉田:
- うん。だから今度、同窓会、この番組のゲストの人に開いてもらえれば、あなたの悪口、みんなで言いますよ。「あいつ、最低だ」って。「あんなわがままと、もう話したくない」っていう会合、開きません? 今度。
- 小室:
- あの、ウチのメンバーとかはね、もう、いつも会ってやってますね、それはね。僕いなくて、そこで話はしてると思います。
- 吉田:
- してると思うわけ? それ、そうやってまた、してると思うとこがさ、汚ねぇよね。
- 小室:
- あの、してるっていう話も聞きますけどね。
- 吉田:
- 聞くよね。ちょっと気になるよね? やっぱり、なに言ってんだか。そんなその、人前でさ、気になるから聞いてこいってわけにいかないけど、まあ、知ってるんなら教えてみろよっていうような話って、けっこうあるじゃない? スタッフから。まあ、聞く気はないんだけど、話したいんなら話なよっていう感じで聞いてて、ええ!? そうなの? って。そういうことしてるんでしょ? ずっと、スタジオで。
- 小室:
- 大体…………うん、大体、当たってますね。
- 吉田:
- いいんだこれが。十年。
- 小室:
- 十年?
- 吉田:
- うん。十年たったら、また会おうね。
- 小室:
- そんなに会ってもらえないですか? 十年も。
- 吉田:
- うん。十年経って、また会った時に「やっぱ十年経っちゃった、ダメだこりゃ」とかいう話が出るかもしんないしね。俺、十年後にちょっとあれだ、その、ディスコとカラオケを2分の1に、それを割る割り算をちょっと勉強しとこ。十年ぐらいかかりそうだな、勉強するのに。意外と音楽ってほら、人のやってきた音楽って、認めるのに時間がかかるんですよ。
- 小室:
- あ、そうですかね?
- 吉田:
- 僕なんか、すごく頑固だから、頑固と不器用、両方いるからね、こん中に。だから、自分が正しいと思ってずっと生きてるもんだから、ちょっと正しくないんじゃないかな? と思い始めると、けっこうその、正しくないっていう、きっかけになったものを理解するのに、けっこうが時間かかるんですよ。
- 小室:
- きっかけっていうのは、僕じゃないですよね?
- 吉田:
- 君です。君ですよ。君以外、君だからここへ来たの、確認しに。
- 小室:
- ああ、それはでも光栄ですね。
- 吉田:
- いや、もう、それは絶対、小室君です。あ、もう一人の小室君っていうのはね、ぜんぜん気にしなくていいところなんですけどね。これはもうね、本当に楽だったんですけどね、付き合うのもね。適当に言っときゃあ、ごまかし効きましたけどね。同じ小室でも、これはちょっと大変だと思って。
- 小室:
- ああ、そうですか。
- 吉田:
- ええ。
- 小室:
- なるほど。今日はちょっと話しやすいんでね、もう、ちょっと、わがままついでで、テレビの話とかしたいんですけど。あの、どうですか? あの、浜ちゃんとかの番組は。
- 吉田:
- 面白い。
- 小室:
- あの、松本さんと。
- 吉田:
- 面白い。
- 小室:
- あの、はさまれてお話したりとかっていうのは。
- 吉田:
- いや、まだぜんぜんあの、飛行機の中で一瞬お見受けしたぐらいでね、遠くからあの、幸せを祈ってるぐらいのことなんですよ。本当に面白いなと思いながら、痛快でしょうね、あの二人もね。あれはまた、それがまた面白いっていう、なんか。
- 小室:
- こういう話はしてみたりとかは? あの二人に。あの二人はまた、ぜんぜん別なんですかね?
- 吉田:
- でしょうね。
- 小室:
- ミュージシャンじゃないんで。
- 吉田:
- ミュージシャンぽいですよね、でもなんかね。
- 小室:
- 俺はミュージシャンぽいなと思うんですけど、やり方とかが。
- 吉田:
- ぽいよね。彼らの発言てミュージシャンぽいんだよね。なんかそのつまり、お客さんに対しての接し方って、一歩間違うと泉谷しげるですからね、あんなの。それを間違わないところが、間違わないところが彼らのすごいとこ。ダウンタウンの。だから、そういうのもなんか、けっこう見てて面白いですね。僕ね、ああいう、つまり、ああいうっていうか、この、笑いを提供してくれる人って、すっげぇ好きなんですよ、昔から。だから、志村けんなんかだと、死ぬほど好きなんですよ。だから、そういう人の番組だったら、いつでも飛んでいくっていうぐらいね、歌番組とかは出たくないけど、ああいうお笑い、あの、なんかああいうの、ドリフの番組、出たくてしょうがねぇんだけど、出してくんないんですよ。
- 小室:
- あ、そうですか?
- 吉田:
- なんかそういうのにこう、そばにずっといたい感じがする。
- 小室:
- あ、じゃあ、浜ちゃんと松ちゃんのあいだ、話のなんか、ネタ的に参加してみようとかっていうのは?
- 吉田:
- いや、そこまで積極的じゃなくて、ファンとしてね。
- 小室:
- あ、ファンとしては。
- 吉田:
- ファンとしてなんか、番組なんか作ってるとこを、横でずーっと見てたいなっていうぐらい。こう、わりとミーハー。わりとっていうか、本当にミーハーで、そういうミーハーな気分でいたいの、あの、ダウンタウンとか、だから志村さんそう。お笑いの人のそばでね、ミーハーとして、一、こうやってこう、見てたいですよね。だから、テレビもう、本当に見ちゃう。
- 小室:
- それはまたぜんぜん。
- 吉田:
- テレビってみません?
- 小室:
- うーん。気にしては見ないですね、そんなに。
- 吉田:
- 自分が出た番組って見ません?
- 小室:
- 最近は見ないです。
- 吉田:
- 最近はって、なんですか? それ。
- 小室:
- 昔あの、バンドで音楽番組とかっていうのはこう、すごいチェックしたりとてましたけどね。
- 吉田:
- それ、なにチェックするんですか?
- 小室:
- なんでしょうね?
- 吉田:
- 自分の写り具合とかそういう?
- 小室:
- うーん。そうですね。自分じゃないですね。やっぱその、ヴォーカルなんかでうん、やっぱ、よかったかどうかだけですけど、それは。
- 吉田:
- じゃあ、絵的なのを、けっこうチェックしたりする?
- 小室:
- ええ、そうですね。まあ、昔は、ある種アイドルバンドでしたから、TMとかっていうのは。
- 吉田:
- ある種じゃなくて。
- 小室:
- あ、モロですか。やっぱりその、絵っていうのが大事なんで。
- 吉田:
- ええ、ええ。絵は大事だと思うよね、すっげぇ。
- 小室:
- だから、それは見てましたけどね。
- 吉田:
- あれだ、テレビとか、そういうの例えば、こういう番組なんかやってても、もう、カメラのその椅子に座ってみたいとかさ、自分でカメラやってみたいとかなんか、向こう側で人を操って、操ってっていうかなんか、番組は作りたいとか、そういうのはないですか? まあ例えば、歌番組とか作っちゃうとか。
- 小室:
- うーん。あ、そうですね。あんま、絵はあんまり、自信なくしたこと何回かあるんですよ、今まででも。そのわがままついでの中で、まあ、あったとしますね、まあ、あったんですけど、まあそういうの。それでやっぱり絵までは入る気ないです。
- 吉田:
- 例えば、映画作るとか?
- 小室:
- そうです。ぜんぜんないですね、それはね。
- 吉田:
- 映画に出るとか?
- 小室:
- も、ないですね。
- 吉田:
- 役者やるとか?
- 小室:
- もう、いっさいないですね。
- 吉田:
- うん。やめた方がいいみたい。
- 小室:
- もう、何回も断ってるんですよ、もう、そういうのは。
- 吉田:
- あ、それ、君、絶対そのオファーあると思うけど、やめた方がいい。その性格がね、場を壊すね。
- 小室:
- もうそれは、自分でもわかってるというか、やってないですね。
- 吉田:
- みんな気を使うだろうしね、かえってそれがまた、チームワークを壊してね、ろくな映画できないと思うな。
- 小室:
- そりゃあ、もう、なんとなくわかってますね。
- 吉田:
- だから、ドラマとかもやめた方がいいですよね。
- 小室:
- 拓郎さん出ませんでしたね。
- 吉田:
- いや、よくないです、絶対。出ちゃうのはいけないです。で、やっぱりね、一回出るとね、すっげぇ自分がヘタなのに気が付いて、今度はちゃんとやろうとか思い始めると、もうね、地獄ですよ。だから、絶対やめた方がいいです。お芝居に出るとか、お芝居をやるとかいうのは、もうステージで喋ってるぐらいで、ドラマはね、絶対やりません。
- 小室:
- なるほど。ああ、なんとなく、テレビのその、なんか、感じ方みたいのちょっとわかりましたけどね。
- 吉田:
- いや、小室君、歌番組作ったら?
- 小室:
- 歌番組? そんなのできませんよ。
- 吉田:
- 歌番組、面白いじゃん。ベストテン番組作ってよ。
- 小室:
- できません。
- 吉田:
- 君が作るベストテン番組。けっこう面白そうだけどな。
- 小室:
- ああ、きっとそれは、見てくれるんでしょうね、拓郎さんもね。
- 吉田:
- 見るよ、見る見る。いつもいろんな人に言うんですけどね、そう、つまり、そういうものに関心持ってるミュージシャンて、意外といたりしてさ。そしたらなんか、じゃあ、そういうテレビ番組作ってよっていうね、そういうなんか、なんか。誰もやんないですね、でもね。だから、歴代、誰もやらないってことは、やんない方がいいってことなのかな? 結局ね。
- 小室:
- そうですかね? ぜんぜん発想もなかったですね。
- 吉田:
- 歌番組なんかで、テレビなんかで歌うのっていうのは、つまり、抵抗なんかないんですか?
- 小室:
- 僕、歌わないじゃないですか?
- 吉田:
- うん。それがねぇ。
- 小室:
- うん、だから、これはもうメチャクチャ、ズルい典型ですけど。
- 吉田:
- バンドのね。
- 小室:
- そうですね。
- 吉田:
- 歌わしとくんだもんね。
- 小室:
- そうなんですよ。本当そう。
- 吉田:
- それがやりたいわけよ。バンド組んで、誰かに責任取らして。だから、ドラムとかの場所に。このあいだね、あの、泉谷が主催してるんだけど、チャリティーでやったんですよ。で、バンド組んで、いろんなその、大友とかみんな連中と。で、僕、ベース弾いてたの。すっと、ベースって弾くとすげえわかることは、バンドのこの、立つ位置なんか、歌うのと違う位置に立つじゃない? そうすっと、すっげぇバンドとかがよくわかるんだよね、なんか、みんながここ、どんなふうに弾いてると、歌ってるとかいうのが。すっと、すっごいここって楽しそうだなとか思って、バンドの中でもやっぱりほら、歌ってる人以外の方が、楽しそうだね、なんかね。
- 小室:
- うん、歌う………、まあちょっと、割りが合わないぐらい大変ですよね、歌ってる人って。
- 吉田:
- うん、割り合わないよ、歌って。だから、歌、あんまり嫌なんだけど、割りに合わないんだけど、後ろでやりたいんだよね。
- 小室:
- うん、なるほど。
- 吉田:
- バンドやりたかったよね。
- 小室:
- そうか、まあちょっと、いろいろ自分で話はしてみたいんですけど、これ、自分で一人で話してみたいですね、なんかね。
- 吉田:
- 一人で話すって?
- 小室:
- 拓郎さん今、話、聞いたことは、さっきの話じゃないですけどね、隠れて自分で確認したいこと、たくさんありますね、ええ。
- 吉田:
- あ、そうなの? 一人で確認すんの?
- 小室:
- とても、とてもちょっと、テレビの前でね、言えることじゃないんで。
- 吉田:
- 何すんだろうね? 確認するんだ?
- 小室:
- そうですね。
- 吉田:
- それがまたすごいな。俺、ぜんぜん確認しない。もう、どうでもいいやって思ってっから、その、言っちゃったからしょうがない。で、もう、早く忘れて。あんまりね、だからほら、面倒見いいんでしょ? 意外と。なんだかんだ言いながら、つまりその、面倒見いいっていうのは、あの、人が苦しんでる時に助けに行くような面倒見じゃなくて、なんとなくその、2~3人があの「どうしようか、どうしようか」っていうと「それはさぁ」っつってこう、相談乗っちゃうタイプでしょ? どっちかって言うと。面倒臭くならないんだよ、あんまり。おれ、すっげぇ面倒臭いんです、そういうことが。だから、例えば誰か「ねぇねぇ、ちょっと相談あるんだけど」とかいうと「勝手に決めれば?」と思うんだけど、小室君、意外と「じゃあ、ちょっと、どっかで会おうか?」っていう感じ?
- 小室:
- うん、そうですかね。
- 吉田:
- あんまりだからこう、親切心はないんだけど、一応、話に乗っちゃったりして、そっからなんか盗もうとしてるわけ?
- 小室:
- うーん、そっから…………? それはないですけどね。
- 吉田:
- まあ、人嫌いに見えるんだよね。
- 小室:
- うん、そうですね。
- 吉田:
- 人を遠ざけてるようなイメージがあるんだけど、この番組、そんなこと言ってらんないってとこあるじゃない?
- 小室:
- そうですね。
- 吉田:
- そうすっと、これをやるきっかけは、そこはもう、乗り越えようと?
- 小室:
- そうですね。で、もう今、そしたらあの、今の拓郎さんの話で、その、盗もうっていうのが近いかもしんないですね、それは。もう、で、今日の話でもう、俺はけっこうその、なんていうんですか? もらったのはありますからね。
- 吉田:
- ありますか?
- 小室:
- うん。
- 吉田:
- お金、それ、あれって、許可取ってる?
- 小室:
- 取ってないです。著作権ですか?
- 吉田:
- 俺ね、お金よこせとは言わないけど、一応、許可取ってほしいな。なんか、電話の一本でいいから。
- 小室:
- OKですか? これ、短いんですよ。
- 吉田:
- 知ってます。
- 小室:
- だから、今のでどこを採るか、ちょっとわかんないんですけど。
- 吉田:
- どうぞ。
- 小室:
- 僕が編集してないんでね。
- 吉田:
- あ、そうですか。どうぞ、どうぞ、ご自由に。
- 小室:
- じゃあ、あの、えぇと………。
- 吉田:
- 流れるような番組でしたね。
- 小室:
- 流れないですよね、ぜんぜんね。
- 吉田:
- 最初になんか、打ち合わせでね、流れるって感じで聞かされて、本当にすごい流れだ。
- 小室:
- 流れ作っていただいたって感じがする、もう。
- 吉田:
- いや、とてもうれしかったです、お会いできて本当に。
- 小室:
- ありがとうございます、本当。
- 吉田:
- いや、とんでもない、また、十年後に。
- 小室:
- ありがとうございます。あの、電話、じゃあ、あの、その。
- 吉田:
- 電話ええ、その、0468です。
- 小室:
- これは絶対俺だろうと、ちょっとなんか雑誌で見ててね。
- 吉田:
- なるほど。ああ、そうだね。
- 小室:
- もしも指摘してください、それ。
- 吉田:
- ああ、言っときます。「小室君、これ僕でしょ?」って、はい。
- 小室:
- お願いします。
- 吉田:
- わかりました。
- 小室:
- ありがとうございました。