何かについて公に整理する時、まず真っ先にすべきことは語り手と聞き手の間で行われるスタートとゴールの共有です。
なので、まずは例のアレ界隈とはなんぞや、そして理想の形は何かということへの個人的な推理を述べていこうと思います。
あくまで個人的な整理なので今後指摘などを考慮しより深めていくと思います。
○はじめに
さて、僕達が普段楽しみ、また日夜様々な動画が投稿されている例のアレタグですが、ここではこれまで多種多様なコンテンツが育まれてきました。
あるときは白人のレスリングAV、あるときはカルト教団の芸能人、またあるときは昭和のクソアニメ、634隊長、ホモビ、糞遊びレポート、クソヴォイスドラマ、無職、クソアニメ、脱糞弁護士、クソ、クソ、クソ。
彼らは皆まごうことなきクソでありますが、しかし皆に笑顔を届けられるクソであり、また近年のネットミームにおいて常に主要な位置にありました。
今や、ニコニコ動画では当然のように総合ランキング上位に乗り、Twitterでは皆が語録を操り、UNEIはホモの靴を舐め、海外からのコンテンツ参入も起こるようになりました。
しかしながら、ここまで肥大化しておきながら、例のアレとは何か、というテーマはほとんど着手されない領域であります。
こ↑こ↓を明らかにしない限り、多くの例のアレerたちは例のアレという拡大しすぎたジャングルを彷徨ってしまうことになります。
というわけで、退廃的な例のアレ密林に界隈論という道、道理を設置しましょう。
○例のアレとは
1.例のアレユーザーにとっての理想の形
通常のコンテンツにおける理想の形の絶対的条件は、何であれユーザーが満足することです。
視聴者、投稿者、両者が満足し、その活動が恒久的に行われる。投稿者が原料を集めて作品を作り、ユーザーがそれに反応を返し投稿者のモチベーションとする。これを満たせなければ、視聴者と投稿者の共倒れによる零細化が容易に想像できます。
零細化すれば投稿される動画が減り、視聴数が伸びず、さらに零細化するという悪循環により、今までユーザーが培った文化が跡形もなく吹き飛ぶことでしょう。
しかしながら、例のアレユーザーには特定の趣向はありません。彼らに理想の総意など存在しないのです。
アニメやゲーム、実況者や歌い手、youtuberならば、それを好む人が集まるという明確な指標があるでしょう。しかし例のアレにそんな便利なもんはありません。あるのはあらゆる退廃的コンテンツの密林だけです。
ユーザーの気分によってアニメや仮面ライダーを転載し、呑気に「ホモと見るシリーズ」などと銘打つこともあれば、ホモビ男優、素人声優、弁護士、その他をリンチし青い背景の下で屍体を解体する。またあるときはその屍体から意味の分からない前衛芸術を生み出してシュールな笑いを楽しむ。
傍目から見れば統率されていない蛮族にしか見えません。
当然、統率されていないので互いに争います。同じユーザーが様々な動画を楽しむなんてことはなく、同じ投稿者は特定の素人声優に入れ込み続け、同じ視聴者は淫夢実況シリーズタグを見続けます。
ここに協和は無く、共栄は無く、互いの意地で常に弱肉強食が展開される、まさしくただのジャングルなわけです。
では、一見全てのユーザーが満足することは不可能で、視聴者も投稿者もてんでバラバラな方向を望み、場合によっては憎しみ合う。他のタグでこんなことをやろうものなら光の速さでコンテンツが崩壊するであろう例のアレの構造を支えるモノとは何か。
2.「掃き溜め」としての例のアレ
そもそも例のアレのUNEIにおける定義とはこうです。
"ニコニコ動画内でそれなりの規模を持つシリーズの動画においては、
実際の内容とは関係無く、カテゴリ「ファッション」に登録されるという問題がありました。
これに対応する為、カテゴリ「例のアレ」を追加しました。
「例のアレ」の意図としては、ビリー兄貴シリーズや、現在「ファッション」にて
多数を占めているような動画で利用される事を期待します。
『カテゴリ追加と廃止のお知らせ』 2010年1月13日"(ニコニコ大百科『例のアレ』より引用)
つまり、異質であり行き場もないが、勢い良く増殖し、いつかは界隈を滅ぼすガン細胞的な白人AVに対するUNEIの隔離政策です。
現在のニコニコではUNEI=横暴なクズ、爆破というイメージが先行していますが、この隔離は決して横暴ではなく、むしろ良い判断です。
というのも、前項で述べた通り、ユーザー間の需要の差が生まれた時点でコンテンツはまず持ちません。少なくとも一方、特に少数派のユーザーが切り捨てられます。このどこぞの電マの夢みたいな切り捨てを繰り返せば、間違いなくそれは廃コンテンツと化すことでしょう。
それをあろうことか、全く違う、異質な、行き場のないコンテンツがやってきて、めちゃくちゃに荒らせば、原住民の文化は一撃のもとにたちまち灰燼に帰すでしょう。(少なくともファッションタグに保護すべき文化が当時あったかどうかはさておき)
それを保護するという名目であれば、例のアレの設置はまさしく英断であったのです。
また、同時に侵略側であったレスリング勢力にとっても、通常であればその他で括られるであろうところを、「例のアレ」という名前のついた一つのコンテンツとしての「仮面」が与えられたという恩恵がありました。
つまり、本来はあり得ないはずにも関わらず、「宿主を殺すガン細胞」という性質を持ったまま、しかし「自分自身が宿主」という性質が同居した、無敵の怪物になることが出来たのです。
ガン細胞でありながら、一見は一つの独立した領域として振る舞う。他に攻撃されていた異質なガン細胞たちも、その領域を求め集まる。
彼らは瞬く間にガン細胞の連合国家を構築していきました。
3.ミームの支配者としての例のアレ、その「皇帝」である淫夢 そして例のアレ安定期
しかし単に隔離されて生き続けるガンの塊であるだけでは、それは何の意味もなさないでしょう。どんなに瞬間的な勢いがあろうと、大規模なネットミームの嵐を現在のように維持することなど出来ないのです。
別にガンはガン同士仲良くできるなんてことはありません。彼らは外部から見れば連合のように振る舞いながらも、常にお互いを喰らい合いました。そしてそれは今も続いているのは日常的に確認されています。古典的なエ、レ、オワピなどは現在は鳴りを潜めていますが、他コンテンツへの干渉の痕跡は多くの大百科記事に残されています。
(『本当に兄貴を愛してる奴は出張しない』『本当に阿部さんを愛してる奴は出張しない』大百科記事より)
淫、ク、恒心、無職、糖質などの新例のアレ勢力に至っては、現在でも互いに攻撃し合い、また外部にも無条件に受け入れられる存在ではないのです。
これらはいずれはお互いを喰らいつくし、滅ぶのを待つだけの存在であるはずでした。
では一体何が彼らの独立を守り、またSNSを中心に一般人にまで広まる機会を得たのか。
それは、2010年前後に淫夢が主導権を握った頃に拡大した例のアレ自身の持つ凶暴性、そしてそれに基づいた侵略主義と密接に関係しています。
淫夢厨の拡大時期は、凄惨な地獄絵図がネット各所で展開されました。現在は何食わぬ顔でホモビ男優と腕を組む素人声優も無職も糖質も、元は淫夢厨共が引っ立てて晒し者にした人間たちです。
当時ニコニコ萌え萌えコンテンツで覇権を握っていた、御三家と称された東方、ボカロ、アイマスのうち、たまたまHZNが酷い出来のヴォイスドラマを展開した東方に対して特に手酷い侵攻が行われました。
"淫夢と無関係な動画をMAD素材に無断使用された動画投稿者が淫夢ネタ専用に隔離投稿された動画を権利者削除した。これに対し淫夢厨が逆ギレ・逆恨みし、元動画・作者記事・コミュ生放送等を荒らし、時には個人攻撃も行った。この結果、荒らされたコミュニティが閉鎖されるといった事態を生んだ。"(ニコニコ大百科『淫夢厨』より)
また、アイマスでも我那覇ちゃん(僕はアイマスはよく知らないが普通に褐色でエロくてかわいいと思う)などが風評被害に遭い、その他各コンテンツでも淫夢語録と少しでも共通点があれば尽く例のアレまで連行され、共通点が無くとも淫夢くん(リスザル)に似ている(似ていない)スローロリスが腕を上げただけで、たまたまそのBGMに使用された『Unicorn』まで汚染されました。
それらのコンテンツは皆、MADにより晒し者にされ、罵倒され、素材としてこき使われました。
この頃から「淫夢厨」「ホモガキ」「風評被害シリーズ」などが問題視され、これらに対応してUNEIによる厳しいレス削除や、反淫夢厨的ユーザーによる例のアレ外での語録の使用への反対活動などが大規模化しました。
この抗争による緊張は2011年末UNEIの手により完成した「ニコファーレ」、そして淫夢厨によるニコファーレ占領、それに対する報復としての「ホモコースト」の一連の事件にてついに爆発します。
元々動画サイトとしてのスペックがおざなりであったにも関わらず12億もの予算を用い、東日本大震災の募金後に都合よく完成したニコファーレ。並行して行われていたこれも予算ドカ食いの「超会議」など、複数の問題を抱えていたUNEIに対する不満に基づいた占領活動。
更にこの対立は、淫夢厨側はUNEIが推す実況者や歌い手の登場によってその姿を変えつつあったニコニコを良しとしない古参ユーザーの勢力までも飲み込み、対してUNEI側は反淫夢的な各コンテンツユーザーの支持を受け、現在も続く大規模な運営対例のアレ戦争に発展します。
(この戦争の最高潮は2015年、ケツエメこと「鋼兵」によるUNEI批判動画を皮切りとした大規模な批判活動でしょう。その後はUNEI側が押され、UNEIの指導者的立ち位置であった夏野川上も、2018年現在の時点で一方は合併したカドカワ側に移動、もう一方は単純な降格で権力を喪失、淫夢厨に友好的な生放送主などがUNEIと共に活動するに至ります。
また鋼兵事件と同時期に、恒心教徒によりMMD界隈との工作戦争が行われ、その頃の恒心クリエイターの一部が例のアレで現在も活動しています。)
これにより淫夢厨を主体とし、もはやニコニコという動画サイトの文化そのものと融合した例のアレ民の攻撃性、及び影響範囲は更に増し、また実質的にニコニコにおける主要コンテンツの正統な後継者という立場をももぎ取ったのです。
それにより、例のアレは「野蛮人どもの吹き溜まり」から「日本人ネットユーザーの文化が育まれる場所」へと進歩し、その影響は海をも超えて洋の東西でさえも関係なく多くのユーザーを魅了し、取り込み、独自の文化圏を作り上げました。
4.現在の例のアレとその本質
現在の例のアレは淫夢を中心としたその被害者達及び恒心、その他古典的コンテンツによる強固な連合が維持されています。
彼らはお互いに対立しつつも、同じタグ内で共に活動することでゆっくりと融和しています。また彼らはSNS方面への拡張も激しく行い、茶色いおっさんと弁護士のイラストがTwitterなどで常に飛び交う事態になりました。
ニコニコ動画においては本来の役割である行き場のないコンテンツの保護、SNSにおいては悪質なユーザーへの攻撃のための釣り、特定などを彼らが主体となって行ったのも(彼らにとっては娯楽であったとしても)、肯定的なユーザーを増やす一因でした。
現在例のアレでは他のコンテンツでは見られない多様性を持ち、独特の文化を楽しみとするユーザー、単純に多数のネットユーザーが集まり交流する場とみなすユーザー、あるいはただひたすらに外部に進出し続けることを望むユーザーなどが、争いながら、しかもサイトを問わない広い範囲で活動しています。
これらはもはや、動画サイトの1カテゴリとしての原型を無くし、また過激なコンテンツとしての隔離地域としての性質も希釈され、完全に独自の文化を形成しました。
結果として、例のアレの本質は「あらゆるコンテンツの闇鍋」であり、「日本人ネットユーザーの独立性及びその文化の象徴」であり、「アングラ文化の人権をも顧みない負の歴史の象徴」であり、「企業が提供する娯楽とは真逆の退廃的文化の極致」となるわけです。
他のコンテンツがコンテンツそのものに価値を見出されるのとは異なり、例のアレはその存在そのものがユーザーの理想なのです。
もはや、例のアレは他のコンテンツとは全く異なる規格であり、この構造そのものがユーザーたちの創作活動を維持しています。
このように、例のアレコンテンツは私達の下に届けられるようになりました。
5.例のアレの未来
盤石に見える例のアレカテゴリもその実、前述の4要素の一つが欠ければ容易に崩れる脆弱性を持っています。
まず、あらゆるコンテンツを複合しなければ「そこにいるだけで楽しめる場所」という性質が喪失し、日本人のネットユーザー文化としての象徴性を失えば「そこに作品を産み出すことにある意味」が、アングラ文化としての負の象徴性を失えば「外部に生まれる新しいコンテンツを飲み込む機能」が、退廃的文化を失えば「企業により提供されるコンテンツにシェアを奪わせない能力」が失われます。
もしもそれが破綻したときは、アングラコンテンツが表に出ることも無くなり、流行は企業の作り出す当たり障りのないコンテンツに埋まり、皆が個々にそれを楽しむようになり、創作はあくまでそれらに追随する二次創作に限られるようになっていくでしょう。
例のアレという巨大な生命を持続させるには、決してこのバランスを崩してはいけない。投稿者たちには、そのために人体のようなホメオスタシス(恒常性)を維持する役目があるのです。
○あとがき
如何だったでしょうか。ここまで読み進めてくれましたか。
自分としてはやはりあまり作文は得意ではないなという感想が出ました。久々のブログなので至らない点が多く、今後も研鑽していきたいですね。
あとやっぱりちょっと表現を盛ってますね。日本ネットユーザーの文化の中心は例のアレの他にも多くあります。でも、企業や特定の個人が作り出したものに対する単純な需要とは明らかに異質であるし、「独自で生み出したもの」という括りで言えば、間違いなく唯一無二の中心地ではあります。
また、お絵かきの合間にまた暇になったら執筆しようと思います。
Twitter(https://twitter.com/agata5065)などで感想をお待ちしてナス!
なので、まずは例のアレ界隈とはなんぞや、そして理想の形は何かということへの個人的な推理を述べていこうと思います。
あくまで個人的な整理なので今後指摘などを考慮しより深めていくと思います。
○はじめに
さて、僕達が普段楽しみ、また日夜様々な動画が投稿されている例のアレタグですが、ここではこれまで多種多様なコンテンツが育まれてきました。
あるときは白人のレスリングAV、あるときはカルト教団の芸能人、またあるときは昭和のクソアニメ、634隊長、ホモビ、糞遊びレポート、クソヴォイスドラマ、無職、クソアニメ、脱糞弁護士、クソ、クソ、クソ。
彼らは皆まごうことなきクソでありますが、しかし皆に笑顔を届けられるクソであり、また近年のネットミームにおいて常に主要な位置にありました。
今や、ニコニコ動画では当然のように総合ランキング上位に乗り、Twitterでは皆が語録を操り、UNEIはホモの靴を舐め、海外からのコンテンツ参入も起こるようになりました。
しかしながら、ここまで肥大化しておきながら、例のアレとは何か、というテーマはほとんど着手されない領域であります。
こ↑こ↓を明らかにしない限り、多くの例のアレerたちは例のアレという拡大しすぎたジャングルを彷徨ってしまうことになります。
というわけで、退廃的な例のアレ密林に界隈論という道、道理を設置しましょう。
○例のアレとは
1.例のアレユーザーにとっての理想の形
通常のコンテンツにおける理想の形の絶対的条件は、何であれユーザーが満足することです。
視聴者、投稿者、両者が満足し、その活動が恒久的に行われる。投稿者が原料を集めて作品を作り、ユーザーがそれに反応を返し投稿者のモチベーションとする。これを満たせなければ、視聴者と投稿者の共倒れによる零細化が容易に想像できます。
零細化すれば投稿される動画が減り、視聴数が伸びず、さらに零細化するという悪循環により、今までユーザーが培った文化が跡形もなく吹き飛ぶことでしょう。
しかしながら、例のアレユーザーには特定の趣向はありません。彼らに理想の総意など存在しないのです。
アニメやゲーム、実況者や歌い手、youtuberならば、それを好む人が集まるという明確な指標があるでしょう。しかし例のアレにそんな便利なもんはありません。あるのはあらゆる退廃的コンテンツの密林だけです。
ユーザーの気分によってアニメや仮面ライダーを転載し、呑気に「ホモと見るシリーズ」などと銘打つこともあれば、ホモビ男優、素人声優、弁護士、その他をリンチし青い背景の下で屍体を解体する。またあるときはその屍体から意味の分からない前衛芸術を生み出してシュールな笑いを楽しむ。
傍目から見れば統率されていない蛮族にしか見えません。
当然、統率されていないので互いに争います。同じユーザーが様々な動画を楽しむなんてことはなく、同じ投稿者は特定の素人声優に入れ込み続け、同じ視聴者は淫夢実況シリーズタグを見続けます。
ここに協和は無く、共栄は無く、互いの意地で常に弱肉強食が展開される、まさしくただのジャングルなわけです。
では、一見全てのユーザーが満足することは不可能で、視聴者も投稿者もてんでバラバラな方向を望み、場合によっては憎しみ合う。他のタグでこんなことをやろうものなら光の速さでコンテンツが崩壊するであろう例のアレの構造を支えるモノとは何か。
2.「掃き溜め」としての例のアレ
そもそも例のアレのUNEIにおける定義とはこうです。
"ニコニコ動画内でそれなりの規模を持つシリーズの動画においては、
実際の内容とは関係無く、カテゴリ「ファッション」に登録されるという問題がありました。
これに対応する為、カテゴリ「例のアレ」を追加しました。
「例のアレ」の意図としては、ビリー兄貴シリーズや、現在「ファッション」にて
多数を占めているような動画で利用される事を期待します。
『カテゴリ追加と廃止のお知らせ』 2010年1月13日"(ニコニコ大百科『例のアレ』より引用)
つまり、異質であり行き場もないが、勢い良く増殖し、いつかは界隈を滅ぼすガン細胞的な白人AVに対するUNEIの隔離政策です。
現在のニコニコではUNEI=横暴なクズ、爆破というイメージが先行していますが、この隔離は決して横暴ではなく、むしろ良い判断です。
というのも、前項で述べた通り、ユーザー間の需要の差が生まれた時点でコンテンツはまず持ちません。少なくとも一方、特に少数派のユーザーが切り捨てられます。このどこぞの電マの夢みたいな切り捨てを繰り返せば、間違いなくそれは廃コンテンツと化すことでしょう。
それをあろうことか、全く違う、異質な、行き場のないコンテンツがやってきて、めちゃくちゃに荒らせば、原住民の文化は一撃のもとにたちまち灰燼に帰すでしょう。(少なくともファッションタグに保護すべき文化が当時あったかどうかはさておき)
それを保護するという名目であれば、例のアレの設置はまさしく英断であったのです。
また、同時に侵略側であったレスリング勢力にとっても、通常であればその他で括られるであろうところを、「例のアレ」という名前のついた一つのコンテンツとしての「仮面」が与えられたという恩恵がありました。
つまり、本来はあり得ないはずにも関わらず、「宿主を殺すガン細胞」という性質を持ったまま、しかし「自分自身が宿主」という性質が同居した、無敵の怪物になることが出来たのです。
ガン細胞でありながら、一見は一つの独立した領域として振る舞う。他に攻撃されていた異質なガン細胞たちも、その領域を求め集まる。
彼らは瞬く間にガン細胞の連合国家を構築していきました。
3.ミームの支配者としての例のアレ、その「皇帝」である淫夢 そして例のアレ安定期
しかし単に隔離されて生き続けるガンの塊であるだけでは、それは何の意味もなさないでしょう。どんなに瞬間的な勢いがあろうと、大規模なネットミームの嵐を現在のように維持することなど出来ないのです。
別にガンはガン同士仲良くできるなんてことはありません。彼らは外部から見れば連合のように振る舞いながらも、常にお互いを喰らい合いました。そしてそれは今も続いているのは日常的に確認されています。古典的なエ、レ、オワピなどは現在は鳴りを潜めていますが、他コンテンツへの干渉の痕跡は多くの大百科記事に残されています。
(『本当に兄貴を愛してる奴は出張しない』『本当に阿部さんを愛してる奴は出張しない』大百科記事より)
淫、ク、恒心、無職、糖質などの新例のアレ勢力に至っては、現在でも互いに攻撃し合い、また外部にも無条件に受け入れられる存在ではないのです。
これらはいずれはお互いを喰らいつくし、滅ぶのを待つだけの存在であるはずでした。
では一体何が彼らの独立を守り、またSNSを中心に一般人にまで広まる機会を得たのか。
それは、2010年前後に淫夢が主導権を握った頃に拡大した例のアレ自身の持つ凶暴性、そしてそれに基づいた侵略主義と密接に関係しています。
淫夢厨の拡大時期は、凄惨な地獄絵図がネット各所で展開されました。現在は何食わぬ顔でホモビ男優と腕を組む素人声優も無職も糖質も、元は淫夢厨共が引っ立てて晒し者にした人間たちです。
当時ニコニコ萌え萌えコンテンツで覇権を握っていた、御三家と称された東方、ボカロ、アイマスのうち、たまたまHZNが酷い出来のヴォイスドラマを展開した東方に対して特に手酷い侵攻が行われました。
"淫夢と無関係な動画をMAD素材に無断使用された動画投稿者が淫夢ネタ専用に隔離投稿された動画を権利者削除した。これに対し淫夢厨が逆ギレ・逆恨みし、元動画・作者記事・コミュ生放送等を荒らし、時には個人攻撃も行った。この結果、荒らされたコミュニティが閉鎖されるといった事態を生んだ。"(ニコニコ大百科『淫夢厨』より)
また、アイマスでも我那覇ちゃん(僕はアイマスはよく知らないが普通に褐色でエロくてかわいいと思う)などが風評被害に遭い、その他各コンテンツでも淫夢語録と少しでも共通点があれば尽く例のアレまで連行され、共通点が無くとも淫夢くん(リスザル)に似ている(似ていない)スローロリスが腕を上げただけで、たまたまそのBGMに使用された『Unicorn』まで汚染されました。
それらのコンテンツは皆、MADにより晒し者にされ、罵倒され、素材としてこき使われました。
この頃から「淫夢厨」「ホモガキ」「風評被害シリーズ」などが問題視され、これらに対応してUNEIによる厳しいレス削除や、反淫夢厨的ユーザーによる例のアレ外での語録の使用への反対活動などが大規模化しました。
この抗争による緊張は2011年末UNEIの手により完成した「ニコファーレ」、そして淫夢厨によるニコファーレ占領、それに対する報復としての「ホモコースト」の一連の事件にてついに爆発します。
元々動画サイトとしてのスペックがおざなりであったにも関わらず12億もの予算を用い、東日本大震災の募金後に都合よく完成したニコファーレ。並行して行われていたこれも予算ドカ食いの「超会議」など、複数の問題を抱えていたUNEIに対する不満に基づいた占領活動。
更にこの対立は、淫夢厨側はUNEIが推す実況者や歌い手の登場によってその姿を変えつつあったニコニコを良しとしない古参ユーザーの勢力までも飲み込み、対してUNEI側は反淫夢的な各コンテンツユーザーの支持を受け、現在も続く大規模な運営対例のアレ戦争に発展します。
(この戦争の最高潮は2015年、ケツエメこと「鋼兵」によるUNEI批判動画を皮切りとした大規模な批判活動でしょう。その後はUNEI側が押され、UNEIの指導者的立ち位置であった夏野川上も、2018年現在の時点で一方は合併したカドカワ側に移動、もう一方は単純な降格で権力を喪失、淫夢厨に友好的な生放送主などがUNEIと共に活動するに至ります。
また鋼兵事件と同時期に、恒心教徒によりMMD界隈との工作戦争が行われ、その頃の恒心クリエイターの一部が例のアレで現在も活動しています。)
これにより淫夢厨を主体とし、もはやニコニコという動画サイトの文化そのものと融合した例のアレ民の攻撃性、及び影響範囲は更に増し、また実質的にニコニコにおける主要コンテンツの正統な後継者という立場をももぎ取ったのです。
それにより、例のアレは「野蛮人どもの吹き溜まり」から「日本人ネットユーザーの文化が育まれる場所」へと進歩し、その影響は海をも超えて洋の東西でさえも関係なく多くのユーザーを魅了し、取り込み、独自の文化圏を作り上げました。
4.現在の例のアレとその本質
現在の例のアレは淫夢を中心としたその被害者達及び恒心、その他古典的コンテンツによる強固な連合が維持されています。
彼らはお互いに対立しつつも、同じタグ内で共に活動することでゆっくりと融和しています。また彼らはSNS方面への拡張も激しく行い、茶色いおっさんと弁護士のイラストがTwitterなどで常に飛び交う事態になりました。
ニコニコ動画においては本来の役割である行き場のないコンテンツの保護、SNSにおいては悪質なユーザーへの攻撃のための釣り、特定などを彼らが主体となって行ったのも(彼らにとっては娯楽であったとしても)、肯定的なユーザーを増やす一因でした。
現在例のアレでは他のコンテンツでは見られない多様性を持ち、独特の文化を楽しみとするユーザー、単純に多数のネットユーザーが集まり交流する場とみなすユーザー、あるいはただひたすらに外部に進出し続けることを望むユーザーなどが、争いながら、しかもサイトを問わない広い範囲で活動しています。
これらはもはや、動画サイトの1カテゴリとしての原型を無くし、また過激なコンテンツとしての隔離地域としての性質も希釈され、完全に独自の文化を形成しました。
結果として、例のアレの本質は「あらゆるコンテンツの闇鍋」であり、「日本人ネットユーザーの独立性及びその文化の象徴」であり、「アングラ文化の人権をも顧みない負の歴史の象徴」であり、「企業が提供する娯楽とは真逆の退廃的文化の極致」となるわけです。
他のコンテンツがコンテンツそのものに価値を見出されるのとは異なり、例のアレはその存在そのものがユーザーの理想なのです。
もはや、例のアレは他のコンテンツとは全く異なる規格であり、この構造そのものがユーザーたちの創作活動を維持しています。
このように、例のアレコンテンツは私達の下に届けられるようになりました。
5.例のアレの未来
盤石に見える例のアレカテゴリもその実、前述の4要素の一つが欠ければ容易に崩れる脆弱性を持っています。
まず、あらゆるコンテンツを複合しなければ「そこにいるだけで楽しめる場所」という性質が喪失し、日本人のネットユーザー文化としての象徴性を失えば「そこに作品を産み出すことにある意味」が、アングラ文化としての負の象徴性を失えば「外部に生まれる新しいコンテンツを飲み込む機能」が、退廃的文化を失えば「企業により提供されるコンテンツにシェアを奪わせない能力」が失われます。
もしもそれが破綻したときは、アングラコンテンツが表に出ることも無くなり、流行は企業の作り出す当たり障りのないコンテンツに埋まり、皆が個々にそれを楽しむようになり、創作はあくまでそれらに追随する二次創作に限られるようになっていくでしょう。
例のアレという巨大な生命を持続させるには、決してこのバランスを崩してはいけない。投稿者たちには、そのために人体のようなホメオスタシス(恒常性)を維持する役目があるのです。
○あとがき
如何だったでしょうか。ここまで読み進めてくれましたか。
自分としてはやはりあまり作文は得意ではないなという感想が出ました。久々のブログなので至らない点が多く、今後も研鑽していきたいですね。
あとやっぱりちょっと表現を盛ってますね。日本ネットユーザーの文化の中心は例のアレの他にも多くあります。でも、企業や特定の個人が作り出したものに対する単純な需要とは明らかに異質であるし、「独自で生み出したもの」という括りで言えば、間違いなく唯一無二の中心地ではあります。
また、お絵かきの合間にまた暇になったら執筆しようと思います。
Twitter(https://twitter.com/agata5065)などで感想をお待ちしてナス!
コメント
コメント一覧
癌細胞の連立国家っていう表現が好き
自分の考えを何らかの形にまとめてアウトプットすることは精神によいのでもっとやれ
あと最強と化した掃き溜め連合ってアメリカやんって思った
http://www.honmotakeshi.com/archives/51541391.html
http://jin115.com/archives/52187510.html