(英フィナンシャル・タイムズ紙 2018年1月23日付)
中国の検索エンジン、百度(バイドゥ)の人工知能(AI)部門の幹部だった林元慶氏は先月、厄介な仕事になり得る任務に乗り出した。
スタートアップ企業のために資金を調達することだ。だが、同氏の場合、唯一の難題は、誰のお金を退けるか、ということだった。
事情に通じた2人の投資家によると、実業界へのAI応用に特化した愛筆智能科技(アイビー)は最初の資金調達ラウンドで、会社の価値が8億ドル超と評価され、2500万ドル以上の資金を集めた。
2人の見方では、アイビーの事業計画は「明確なプロダクト」を欠き、しかも人員がほんの数人しかいなかった。
しかし、これが妨げになることはなかった。アイビーの資金調達は、アリババ集団やバイドゥ、騰訊控股(テンセント)など、ずば抜けて有名な企業を引き寄せた。
最終的に全員が投資したわけではないが、米国の著名ベンチャーキャピタル(VC)企業セコイア・キャピタルや大きな尊敬を集めているニューヨークのハイテク投資会社ジェネラル・アトランティックも参加した。
アイビーは、中国ハイテク業界の多くの分野――中でもAI――でバブルが膨らみつつあるという懸念を煽る最新事例となった。