昨年12月10日の世界人権デーの日、米ホワイトハウスは、独裁主義の「yolk(卵黄)」に苦しむ人々を支援するという声明を出した(編集注、本来、yolkではなくyoke=くびきと書くべきところを、つづりを間違えた)。
“卵まみれ”になったホワイトハウスの面々を巡るジョークが飛び交ったのは言うまでもない。トランプ政権は年がら年中、つづりの間違いを連発しているが、今回のはとりわけ秀逸だった。
トランプ政権が示す人権への関心は薄い。それでも最低限の対応をしようと考えて、世界人権デーに発表した声明だったが、その最低限の仕事をするにしてもスタッフの数が足りていないだけでなく、そのスタッフのレベルが低いことも露呈した一件だった。こうした細かいところに目をむけると、実に多くのことが見えてくる。
ただ、誤字や脱字をチェックする校閲担当者でなくても、トランプ大統領が人権などほぼ気にかけていないことは分かる。今回のつづりの間違いは、トランプ氏という人間像を浮き彫りにした。それは、楽しませてくれると同時に、ゾッとするものでもあった。
記者の経験からも『炎と怒り』の内容には信憑性があると言える
マイケル・ウォルフ氏がトランプ氏について執筆した問題作『炎と怒り』についても、同じことが言える。本書を巡る騒ぎがきっかけで、トランプ氏は首席戦略官・上級顧問だったバノン氏と手を切った。
バノン氏は、白人至上主義などを唱えている右派思想「オルト・ライト」を掲げるトランプ氏の腹心で、本書の最大の情報源でもある。資金的な後ろ盾だったマーサー家などの信頼を今回の本で失ったバノン氏は1月9日にオルト・ライトの代表格とされるニュースサイト「ブライトバート・ニュース」の会長も辞任した。今頃、著者にここまであけすけに語ったことを悔やんでいるはずだ。
いただいたコメント
コメントを書く